■ 4/23の紹介いただいた「高齢者のトレーニング」に関する記事に関してですが、
効率的・省エネ姿勢を保ち、あまり練習量にとらわれないトレーニングが良い、それが高齢者でもよいタイムにつながる。
長距離の大会参加を目的にしていても、フィニッシュまで省エネフォームが崩れない技術を磨く練習をするべきだ。
それが疲れも残さないし、結果的に高齢になってもタイムが落ちない、というような話だったと思う。
概ね賛成ですね。
自分が続けているスロージョギングとスイムについて、主にジョギングについて若干の異論を含めて整理してみたい。
異論は、
スピード・タイムにこだわるか、または、ランニング障害を回避して、ジョギングを万病の予防改善の薬ととらえて楽しむかの違い
によって生じる。
寝たきりにならない、いつまでも活動的で生きがいを持って長生きをする、そのためのジョギングでありスイミングだ。
スピードにとらわれると、高齢者の場合、得てして思わぬ時に、体の部位に障害が発生したりアクシデントが生じる。
息切れしない程度、翌日疲れが残らない程度に、楽しみながらで続けて行く方を選択したい。
記録は、結果としてついてくるもの。
以下に、関係する事柄を再整理してみた。
(1) 練習や大会に臨む心構え
① 「生老病死」は自然の摂理、そろそろ「上手に負ける」ことを学ぶべき年齢になっている
② あまり記録にこだわるのはやめよう
③ インターバルトレーニングもほどほどに、練習計画など立てずに、時計をはずして、自由に走って美味しいビールを飲みましょう
④ とはいえ、目標がないと継続が困難
そこで提案—10kmを60歳で60分、80歳で80分というように中高年ランナーの「エイジミニッツ」を決めてはいかがでしょうか?
健康でケガなく走り続けるランナーには程よい目標ではないかと思われる
走行距離も、65歳の月間300kmをピークに7kmづつ減らしても、70歳で265km、75歳で230km、80歳で195km、85歳で165km、90歳で130km、95歳で95km、60kmにすれば100歳まで走れる?!
⇒ スロージョギングの走り方を取り入れれば、上記にとらわれずにランの寿命を延すことができる
「2045年に100歳で10km100分」、というはるか彼方の軟着陸点を目指して、ゆっくり上手な減速を始めることにしよう
(2) トレーニングの原則
① 心身のバランスのとれた発達を運動の目的とする
② トレーニングの目的や方法を自覚する
③ 初めは、軽い運動から、徐々に持続時間、回数を増やしていく(高齢者は、ほどほどに)
④ トレーニングは、持続すること。上達するに従って回数を増やす( 〃 )
⑤ 本人の体力や健康状態に合った方法や強度を選ぶ
⑥ 安全な時間帯、安全な場所、安全な用具 を選ぶ
(3) トレーニングの10則
※ ゆっくり、ニコニコペースで、体調が悪ければペースダウンまたは休養する
タイムより、安全を前提に楽しみ、ゆとりと健康維持が目的
むきにならない
スポーツは、日常生活の緊張を解きほぐすためにある
① 絶対に身体を追い込まない
② 苦しいときは止める
③ 疲れているとき、体調の悪いときは休む
④ 練習中毒にならない
⑤ 自分を鍛えようと思わないこと
⑥ 勝負にこだわらないこと
⑦ 暑いとき(こまめな給水)、寒冷時(寒冷対策の服装)は避ける
⑧ 目標は、自ら設定し、他人と競わない、マイペース
⑨ 長く付き合えるスポーツを
⑩ スポーツの疲れを翌日まで残さない
(4) 行うときの注意
① 自分の体を過信せず、運動の許容量を知ること。特に転倒経験のある高齢者は要注意
② 加齢は体力とともに神経機能も低下させる。視力や聴力が衰え、とっさの動作がとれなくなる
体のバランスが ちょっと崩れると、立て直しができずに転びやすい
③ 無理せず、寝不足や風邪気味など体調の悪い時はしない
④ 準備体操・整理体操を欠かさない。
特に夏季は暑さの引いた時間帯、冬季は日中の暖かい時間帯に行う
⑤ 胸痛、不整脈、耳なり、強い息切れ、冷や汗、筋肉・関節痛など通常と異なる症状が出たら、ただちに中止する。
⑥ 運動終了後1時間経過しても疲労が残る場合、運動が過多、やや軽めに
⑦ 食後2時間以内、入浴後の運動は避ける。
(5) ランニング障害を回避しながら楽しむ
① ランニングを楽しむ人が増えたのはうれしいことですが、一方で足や腰を痛めたり、熱中症で倒れたりする人が増えて問題になっている。
ランニング中に心臓突然死を起こすという不幸な出来事もしばしば起こっている
② 痛みを感じたら走りを控えめに:障害は全身に及び、どこに起きるかわからない。その中で最も多いのは、下肢の関節、つまりひざや足首の障害です。
ひざは、外側や内側、前や後、いろいろな部分に症状が出る。痛む部分によって、障害の種類も多様
足首で痛めるのは、大半が足首の関節、アキレス腱、かかとの3か所です
もし、どこかに痛みを感じたら、とにかく走るのを控えめにすること、完全に止める必要はない、むしろやめないほうがよい
③ 無理をしなければ必ず治る:無理をしないこと、走るのを控えめにすること、これを守れるかどうかが一番大切なこと
目安は、走る「速さ、時間、頻度」の三つを通常の練習の半分にすること
なにもかも半分にしては物足らないという場合は、どれか一つを半分にして、あとは痛みが出ないようにする
「これくらいなら痛みが出ない」というころあいをはかりながら走る
焦らないこと:ころあいを見ながら軽く走り続け、時間をかけて治していくのが一番治りやすいです
④ どういう状態かを医師に診てもらう:治療のためというより、体に何が起きたのか?どういう状態になっているのかを診てもらう
一番心配なのは、ひざの障害、特に半月板損傷(後述)です
これは、一度傷つくとなかなか治らない
少しでも傷ついていたら、すぐに対処することが重要なのです
もし、足や腰など整形外科的な障害であれば、スポーツ整形外科を受診することを勧めます。他の診療科ですと『走るのを止めて下さい』と言われるだけだからです
それは、ランニング障害を治すうえで、決して好ましいことではありません。スポーツに詳しい医師であれば、走りながら、体を動かしながら治すことをすすめるでしょう