南信州のりもの倶楽部♪

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LIFAN製125cc2次側クラッチエンジンにS15カムを組んでみた

2009年05月01日 18時38分48秒 | 輸入横型エンジン編
横型エンジンが大好きな皆さんお久しぶり。「のりもの倶楽部」南信州版ですよ。
今回は前に予告した通り、我々が作った物を紹介しようかと。
まぁ、何を作ったかって言うと、
どこにでもありそうな中華の横型エンジンに、
タ○ガワのS15カムを組み込んだスペシャルエンジンでございます。

上の写真がそのエンジンを分解し終わった所なんだけど、
このエンジンはしばらく使ってなかったので当然どこも消耗しておらず、
そして弱点と言われるゴムパーツも交換されており、
ナラシも終ってるのでベースとしては最適なんじゃないですかね。

しかしこのエンジン、
オークションでは悲しくなるほど安値で取引されていて、
現在では簡単に入手できるのですが、
52ミリのオーバーサイズピストンを使い、
ストロークアップして無理矢理125ccにされているので、
ノーマルカムでは上が全然回りません。
8000rpmくらいまでが使える回転域ではないでしょうか。

なので前まではウェーブ用の280°カムで上まで回していたのですが、
今回は売却を考えて300°のカムを入れて売ろうとしてた訳ですよ。
ところがこのカムだとオーバーラップ時に双方のバルブが接触してしまい使えない事が判明。
中華エンジンマニアの猛者どもはバルブの傘の端を削ってまでして、
ハイカムを組み込んでいるみたいなのですが、
僕らはアッサリと諦めて余っているS15カムを入れることになったって言う経緯があったりします。
昔から流用してみたかったし、どこまで回るか試したかったですからねぇ。

一応エンジンの簡単な詳細を書いておくと、
ボア×ストロークは 52.4×57ミリ、
バルブ径 IN23ミリ EX20ミリ
典型的なトルク型エンジンです。

それと、このエンジンはセルモーターが最初からついてますが、
セルが無いキックスタートのみのエンジンも存在します。
でもシリンダーやピストンやヘッドはたぶん同じだと思いますよ。










これはこのエンジンのピストンなんですが、
オイルが溜まるように溝が設けられて、
サイドには潤滑用の穴まで作られていました。
このおかげかピストンへのダメージは全く無し。

昔は中国製エンジンは壊れる、と言われていたもんですが、
壊れると言うか作りが雑なだけになったような気がします。
もし精度まで考えるように進歩していったら国産の脅威になるかもしれませんねぇ。

ちなみにこのエンジンのピストンピン径は13ミリ。
国産のエンジンと同じサイズみたいですが長さは測ってないので分かりません。










これが今回流用したS15カム。
前にも写真で紹介しましたね。

このカムも長さの帳尻あわせのために、
ベアリングの大きい方を外側にオフセットして装着しています。
このカムを回すカムスプロケットは、
昔に山ちゃんが作った32丁で2本穴タイプの特殊カムスプロケット。
今はもうどこにも売っていませんが、
簡単に手に入る補修用パーツで作ってしまう裏ワザを後ほど紹介します。

それと写真のヘッドに装着されてるキャブの角度変換アダプターも山ちゃんの自作パーツ。
ただ、外す前に僕のゴリラに装着してたため、
中の穴の内径が28ミリと少し大きめにされてます。
なのでこのアダプターに合わせてポートも28ミリに無理矢理拡大。
この時点で吸入効率とか考えずにエンジン作ったのがお分かりですかね。
300°のハイカムを入れようと山ちゃんが試行錯誤してる最中に、
僕がリューターでボリボリ削ってました。

それとこのエンジンにはまだ加工されている箇所がまだあって、
バルブはシェイプ加工されていたり、
あのクソ重たいオイルフィルターローターも山ちゃんが削って軽量化してあったりします。









このエンジンもスーパーヘッドと同じように、
小さい方のベアリングがヘッドに残るように加工しました。
これはベアリングを入れてからポンチで打って固定するだけなので簡単です。
しかしそのおかげでS15からS20へと交換する時も、
ヘッドを分解しなくてもカムは交換できるし、
これはなかなかオススメな加工かも。


それとベアリングが少し内側に出て固定されてるのが分かりますかね。
これもS15カムを流用するに当たっての長さの帳尻あわせで、
こうしないとカムとロッカーアームの当たりが変になってしまうからなんです。
何事も無加工でどうにかしようってのに無理があるって事ですかね。









ヘッドも組み終わって右側のカバーをつけようとしたら、
カバーの出っ張りがカムの中の穴径と合っていない事が判明。

簡単に済ますにはこの出っ張りを削れば問題ないように思えますが、
S15カムを組んだ時にベアリングを内側に出したまま固定してあるので、
このままだと油圧がベアリングの玉と玉の間から逃げてしまい、
カムの潤滑不良になって焼きつくのは目に見えていたので、
またカムを外して出っ張りに合うように10ミリのドリルでカムの中の穴を拡大しておきました。

中にはカバー側の出っ張りが無いのも存在しますが、
小さい方のベアリングが適正な位置に収まっていれば問題ありません。
ただこのような中華ヘッドにスーパーヘッドのカムを組もうとした時だけ問題なだけであって、
僕のタイガーエンジンに同じ事したらカムが間違いなく焼きつくでしょうな。
なので僕のエンジンの場合はベアリングから油圧が逃げないように、
金属シールタイプのベアリングを使用してシールする必要があると思います。
そうしないとカムの内部にオイルが行かず、
カムとロッカーアームが焼きつくばかりか、
オイルがカムから飛散されなくなるので… 

どうなるかもう分かりますよね。









とりあえず組み終わったのでエンジンをサクリと積み替えて、
早速エンジンをかけてみますが…

ブリッピングしただけでも回転上昇が鋭くなってるのが分かるくらい。
ちょっとアクセルを開けただけでも簡単に吹け上がってしまうので、
このままではキャブも容量不足だろって事で急遽PE24を装着し、
回る所まで空吹かしをしてみたらなんと14000rpmまで回ってしまった…
キャブのセッティングが出てればもっと回るだろうし、
実際は怖くてそんなに回せなかったってのが一番の理由なんですが。
単気筒のあんな高い音聞いた事無いんだもん…

後日、この仕様のままで実走してみましたが、
キャブのセッティングが全然合っていないのに、
11000rpmまでまでは回る事が分かりました。
セッティングがバッチリ出れば12000rpmくらいまでが実用回転域で、
スプロケまでいじってやれば今まで想像できなかったスピードが出ると思われます。

何でこんなに高回転まで回るのか。

これは我々の解釈なのですが、
S15カムは意外にもオーバーラップでバルブが両方開いてる時間が全くありませんでした。
普通はオーバーラップが長めな方が高回転向きだと思われがちですが、
オーバーラップが無い分、カムがバルブスプリングを両方縮めなくても良いって事になりますが、
このフリクションの少なさも高回転化に一役買ってるのかもしれないですねぇ。


んで、せっかくなのでセルスタートでエンジンをかけて、
実際に14000rpm以上空吹かしをしてる動画をyou tubeにアップしておきました。

ガレージでは近所迷惑なので河原に移動し、
死にかけたCBのバッテリーをリレーをかまさず強引に繋いで、
無理矢理エンジンかけてるのでちょいと始動に失敗してますが、
「こんなロングストロークでもこれだけ回ればOK」ってのを汲んでいただければ幸いかと。
興味のある方はどうぞ↓

エンジンの動画

 






 ~さらなる高回転を目指したい方へ~

え~と、ここからは我々が調べた中華エンジン部品の流用情報なんだけど、
中には面白そうなのがあったのでまとめて紹介しておきます。

まずは本編でもチラッと書いたカムスプロケットですが、
この中華エンジンの場合は昔の6Vエンジンのようにカムのサイドの穴が3本タイプなので、
特殊なカムスプロケットを作らなければ社外のハイカムは全く流用出来ないのですが…









この写真のカムスプロケットはイージーライダースさんが売っている
WIN120て言う横型エンジンのカムスプロケットで、
ネットでも補修部品として単品購入できるんだけど、
写真の白い点のあたりにM5の穴を空けてあげれば、
12Vエンジンタイプのカムを中華エンジンに流用するカムスプロケットとして使えるみたいです。

僕らが使ってるカムスプロケットは師匠である山ちゃんが作った物なんだけど、
カムを組む時スプロケセンターの穴に、
ヘッドで使われているノックピンを入れてセンター出しを必ず行っているので、
こうやって組めば多少穴の位置が合ってなかろうが、
穴径が大きかろうがスプロケとカムのセンターだけは出ると思います(笑

当然32丁なので穴さえ空けてしまえばどんな12Vタイプのカムでも使えるだろうけど、
とにかく重要なのはオーバーラップ時のバルブ同士の接触と、
ハイリフト化によるバルブとピストンのバルブキスの回避。
カムを組んだら必ずカムを回してバルブが接触しないか確認し、
ヘッドを組む時はピストントップに粘土を貼り付けてカムを回せば、
バルブリフト時のピストンとのすき間は確認できますし。

ハイカムを買ったら必ず行っていただきたいのですが、
僕らが調べた結果、このエンジンにはウェーブ用280°のカムは使う事が出来ても、
メーカー不明の300°とウェーブ用の330°はバルブが接触します。
後はバルブの傘をを削るか自身で判断して下さい。









これもイージーライダースさんで売られているWIN120エンジンのヘッドの補修部品なんですが、
どうやらスタッドボルトがワイドピッチな中華エンジンになら、
このヘッドは装着出来てしまうかもしれないです。
52.4ミリとかのピストンが入ってる中華エンジンなら流用可能じゃないですかね。
実際やってないので使えるかどうか知りませんが。

このヘッドの一番の魅力は僕らが使ってるタイガーエンジンと同じく、
バルブ径はIN27ミリ、EX23ミリとビッグバルブで、
さらにバルブとバルブガイドまでついて1万円以下で買えてしまうもの魅力的です。
ただバルブクリアランスを確認する穴のキャップがネジ2本で固定タイプなので、
タペットキャップも別に購入しなければしけませんが、
ガスケットを含め全て同じサイトで購入できる上に意外と安いので、
似たようなエンジンを使ってる人は試してみても良いのでは?
完成すれば吸入と排気の抵抗が減るので、
さらに高回転が回るようになるかも知れません。
僕もLIFANの125ccエンジンしか持ってなかったら試していると思いますが、
タイガーエンジン使ってるのでその必要は無いだけなんですけどね。

ただひとつ大きな問題は
イージーライダースさんのHPの膨大なページの中から、
そのページに出会えるかって事なんですが…
確かこのHPの中のオンラインストアのMINIのくくりの中の34ページ目だったような…


そんな訳でS15カムを組んだエンジンはただ今キャブのセッティング中。
どこまでエンジンが回るか楽しみではあるんですが、
大事な事書き忘れたので最後に一言。

このブログを見て真似してエンジン壊したり、
「流用出来ないじゃん!」って事になったとしても、
それは必ず自己責任って事でお願いしますよ。
エンジンは作れましたが流用情報は実際に試した訳ではないですし。

それと、高回転化は魅力的ではありますがクランクやクランクケース強度はたかが知れてますし、
クランクの芯もずれやすくなるので耐久性は減りますよ。
所詮は中華エンジンなので最初から耐久性を求めるのも無理がありますが。


さて、今回は頑張って長文書いてしまったので、
しばらくはお休みしてまたネタが出来たら更新することにします。
それではみなさんごきげんよう。



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コメント (20)
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