中日新聞の「くらしの作文」に「達観しとる」というタイトルで、68歳の女性が投稿されていました。
父は89歳の夏、脳梗塞で倒れ、二週間ほど入院しました。
リハビリに励みましたが、手足のまひは完全には治りませんでした。
年老いた母だけで父の面倒を見ることはできず、施設へ入居することになりました。
入居の話をした時、父から思いもかけない一言が返ってきました。
「いいぞ、わしはもう達観しとるから、大丈夫だ」。
父はこの言葉通り、施設での生活に愚痴一つ言わずに、六年間穏やかに過ごしました。
入居している間に、三回ほど入院したことがありました。
治療が終わり退院が決まると、うれしそうな顔をして、親指と人さし指で丸をつくってにっこりしました。
とろみがついた食事しかできないのに「うまいすしでも食べていこうか」と私たちを気遣ってくれました。
令和二年九月、コロナ禍で面会もままならない中、父は九十五歳で旅立ちました。
父に会いにいくたびに、とろみがついた栄養ドリンクのおやつを人さじずつ、ゆっくり食べさせたことが、大切な思い出になりました。
誰よりも尊敬できる自慢の父、最期まで優しくてユーモアがあった父、私たちの心の支えであり続けた父。
長い間、お疲れさま。
そして、ありがとうございました。
以上です。
>入居の話をした時、父から思いもかけない一言が返ってきました。
「いいぞ、わしはもう達観しとるから、大丈夫だ」。
このような言葉は、なかなか言えないです。
このお父さんは、ご自分のお気持ちより家族に面倒をおかけすることを懸念されたように思います。
ご立派なお父さんです。
ところでこの作文に「とろみ」というものが出てきています。
特別養護老人ホームで、守衛のバイトをしたことがあります。
「とろみ」は、誤嚥を防ぐためにお茶や食事につけるものです。
研修に出席した時、とろみ付きのお茶を飲んだことがありますが、飲めたものではなかったです。😅
子供の頃 片栗粉を湯で混ぜて出来上がったドロドロした物に、砂糖を入れておやつがわりにしたことがありますが、砂糖なしのドロドロした物に似ています。
誤嚥を防ぐ為やむ得ないですが、とろみを付けたお茶や食べ物なんて食べる気が起こらないです。😅
「とろみ」といえば、もう一つ苦労させられました。
食事後、入居者さんの使われたお茶を飲むコップを洗うのが私たち守衛の仕事に入っていました。
洗い場の人達は、大変な数の食器を洗われますが、とろみが入ったコップはなかなかとろみが取れないので、とろみの入ったコップだけ私たち守衛が洗うようになっていました。
湯で洗ってもなかなか取れず、苦労しました。
夕食後と朝食後、それぞれ200個ぐらいのコップを洗いましたが、なぜ守衛の仕事にこんな作業があるのかいつも疑問に思っていました。😅
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