17日の土曜日、総武線方面に出る所用があり、その帰りに両国にある江戸東京博物館に行ってみた。ここには以前にも訪ねたことがあるのだが、東京に住んでから来るのは初めて。
両国国技館を後ろから見下ろすように建っているのだが、高層階の楼閣へと長々とエスカレーターが続く。この構造は結構不評のようだが・・・・。
見学フロアに出る。日本橋を渡ると江戸ワールドへご招待されるという趣向である。
この博物館の「売り」は、展示に模型や体験コーナーを数多く用いており、感覚的にタイムスリップできることだろう。棟割長屋の実物大模型があったり、越後屋がのれんを開けていたり、両国の花火大会の賑わいを模型で再現してみたり。私はこういう模型を見るのが好きで、思わず見入ってしまう。子どもの頃、友達がガンダムとかスポーツカーなどのプラモデルをたくさん集めている中で、私は城郭とか、そば屋とかの箱庭ものを造っていたことがある。もちろん今は全部捨ててしまったのだが、今でも博物館などで模型を見るのは楽しい。
見学客も、難しい史料や細かな説明文のところは軽く飛ばして(そりゃ、中にはひとつひとつをじっくり見ていた人も多いが)、模型の造りに感心している人が多い。これは子どもでも親しみやすかったり、あるいは外国人見学客が多いことにもよるのだろう。これらの前ではフラッシュつきの記念撮影もOKで、私も外国人カップルにシャッター押しを頼まれたりした。
日本橋の下をくぐって今度は明治以降の東京ゾーン。江戸ゾーンも日本文化の粋のような面もあって面白いのだが、ここからは今はやりの「懐かしさ」のムードが漂う。そういえば舞台は戦後の東京だが「三丁目の夕日」という映画もあったな。時間ができたらDVDを借りてみるか。
特別展示で「森永ミルクキャラメル」の展示があった。今も変わらない箱入りのおやつ。菓子の宣伝や広告というテーマでの紹介であったが、これも「懐かしさ」を感じさせる一品。
私がドキッとしたのが、日中戦争の前夜といえる時代のポスター。左手にはグラスを持つ女性を描いた「サクラビール」のポスター。今でもビール各社にキャンギャルがいて、居酒屋でビールを飲むときの目の楽しみだが、そのはしりか。まあこれはよいとしてその横に「享楽廃止」の貼り紙。昭和初期のモダンなムードと、その影で密かに忍び寄る戦争の足音。それが入り混じる時代背景を感じさせた。
この博物館は戦後、街頭テレビや「三種の神器」、そして東京五輪のあたりで展示は終わる。現在の高層ビルが立ち並ぶ東京の光景や、21世紀の未来都市の予想図なんてのは出てこない。これらは現在進行形のことで現物を見ていただこうということか。まあ、両国を訪れるような見学客相手では、そうなるだろうし、そういう展示がふさわしい。