今年で3回目を迎えるアジアシリーズ。過去2回、外国のチーム同士の試合が見たいということで韓国代表対台湾代表の試合を観戦(サムスン対興農、サムスン対Lanew)したのだが、今年も例によって出かけることにした。前日まで風邪で体調不良だったのだが、ようやく戻ってきた。
さて今年の組み合わせは韓国代表がリーグ初制覇のSKワイバーンズ、台湾代表が中華職棒発足時からの老舗球団・統一ライオンズ。SKは初戦で中日を破るなど勢いがあり、一方統一はこの試合にまず勝たないと決勝進出の望みが絶たれるという試合。
で、私が観戦するときは台湾側を応援すると決めていて、この試合では統一ベンチのすぐ上の席に陣取る。1000円の自由席でここまで入れるのだ。統一の選手たちの動きもよく見える。ホーム用ではオレンジ地のユニに緑のアンダーシャツと、昔の「まるは」マークをつけていた当時の大洋ホエールズのユニに似ているのだが、この日はビジター用の濃緑。晩年の南海ホークスのようである。
公式ガイドブックによれば、統一の打線の核は33本塁打(リーグ新記録)、107打点で打撃2冠の布雷(こう書いてブリトーと読む。かつて日本ハムにいたブリトーの親戚かいな?)、リーグ最多安打152、打率.358の高國慶の二人。その実力を発揮することができるか。特に高國慶は、北京五輪予選の台湾代表でもクリーンアップを任される見込みとか。しかしこの日は、いつもなら3番が定位置の布雷はスタメンから外れた。
応援団の周りには大勢の観客が終結。台湾語も飛び交う中、台湾の応援をいろいろと楽しもうという日本の野球ファンも多い。応援団が配るファンタスティックを膨らませて準備万端だ。
SKの先発は11勝をあげた巨漢のチェ・ビョンヨン。レイボーン、ロマノと、元広島の二人が両エースで、これに続く先発の柱。なるほど球に力がありそうだ。そのチェ・ビョンヨンに対して初回、統一先頭の楊松弦がレフト線に流し打ち。レフトが追いつく間に二塁を狙ったが、さすがにこれは完全にアウト。後で思えば、このプレーが試合の流れを左右してしまったのかもしれない。
一方、統一の先発は前日の中日戦でも投げた彼得(と書いてピーターと読む)。こちらもチーム2位の14勝、防御率2.03でタイトル獲得。その意味では、この試合、両チームとも主戦投手の先発で、また接戦が見られそうだ。
・・・と思ったのだが、こちらもいきなり先頭のチョン・グンウが三塁打。この後4番イ・ホジュン、6番パク・ジェサンにタイムリーを放ち、SKが2点先制。一塁側のSK応援団もファンタスティック鳴らしての大歓声である。
両チームの応援風景を見るのもこのアジアシリーズの楽しみなのだが、韓国側が応援団長とチアガールの合図により、コール中心でビシッとまとまっているのに対し、台湾側はドンドコドンドコという独特の太鼓のリズムに、トランペット、応援旗、日本風の応援歌(かつての清原、今の西武のチャンステーマもあったな)、果ては風船(ジェット風船ではなく普通のゴム風船を膨らませて回す)・・・とバラエティに富んでおり、応援合戦を見る限りでは台湾側のほうが面白い。それもあって台湾側のほうが(日本人客を含めて)観客が多いのかな。
さて、応援合戦はともかく、試合のほうは2回以降SKの一方的なペース。この回先頭のパク・キョンワンがレフト中段への豪快な本塁打。続くチェ・ジョンも二塁打を放ち、これ以降2四死球を挟む4連打で4点追加。7-0とし統一のピーターをKO。この後振り逃げで1点なんてのもあり、打者一巡で8-0と一方的な展開。続く3回も四死球や統一のまずい守備もあり3点追加で11-0。はやくも、7回コールドの条件となる10点差以上をつけた。
もうこの時点で決勝戦はSKと中日の対戦が決まったようなものだが、統一もスタンドからの声援に応えようとあきらめない。13-0からの5回、1番楊松弦がライトにソロ「全塁打」を放ち、大声援に迎えられる。4番高國慶も2安打と、リーグ最多安打の意地を見せた。
しかし反撃もここまで。SKのチェ・ビョンヨンの後を受けたソン・ウンボム、ユン・ギルヒョンというセットアッパーの前に打線は沈黙。最終回となった7回は、ユン・ギルヒョンが三者三振でゲームセット。
試合終了後の統一側スタンドは、大敗にもかかわらず何だか元気そうだった。チアガールの撮影会場と化していたり、応援団が持ってきたグッズの最後の配布が行われたり、グループがスタンドで記念写真を撮ったり・・・荒れるような雰囲気は全然なかった(もちろん、あちらでの公式戦の試合終了後はどんなのか、見たことないからわからないが)。また、台湾のチャンピオンとして出場してほしい。その時は、「西武対サムスン対統一」の「ライオンズ同士のシリーズ」なんてのもいいかな・・・?
これでSKが3連勝で予選1位。2勝1敗の中日が続き、統一は1勝2敗、中国選抜は3連敗ということで、決勝戦は中日対SKのリターンマッチとなった。中日が本来の実力を発揮し、初戦のリベンジを果たせるか。
このアジアシリーズはまた来年も行われるだろう。ただ一つ提案したいのが、毎年東京ドームというのではなく、韓国や台湾の球場と毎年回り持ちでできないものだろうかということ。まあ、東京でやっているから私なども観に行けるのだが、「日本 アジアの野球の国際化」というのがこの大会の意義であるのなら、それもありかなと思うのだが・・・・。