人材派遣業大手のグッドウィルが、港湾荷捌き業務への違法派遣で事業停止処分を受けたこともあり、西武球団に対して西武ドームと2軍の命名権の返上を申し入れ、西武球団もこれを了承する見込みとか。
グッドウィルはこれまでにも日雇い労働者からの不透明な「天引き」や、「コムスン」の介護報酬の不正請求問題で事業売却に追い込まれたりと、何かと問題のあったところだが、本業の事業停止というのは今後会社の存続にも関わることではないだろうか。
また、今年は同じ人材派遣業のフルキャストがこちらも違法派遣の問題もあり、宮城球場の命名権を返却することになった。
日本のプロ野球の球団名にはその時々に「元気な」企業の名前が出てくるものだが(最初は新聞社と鉄道会社ばかりだったのが、昭和後期から平成にかけては食品、流通、金融業、そしてIT関連企業の楽天とライブドアが新規参入を争う)、球場名とはいえフルキャストとグッドウィルという人材派遣業が表に出てきたのも、ある意味この業界が勢力を拡大してきたことの現れであろう(球場のビール売りやら何やらはみんなこれらの会社から派遣で来ているのかなと思ったりして。グッドウィルならmobito.comかな)。
実は私も就職活動で、この両社とは別の人材派遣会社の面接を受けたことがあるのだが(結局不合格)、セミナーで聞いたのが「これからは企業のアウトソーシングが確実に増える。だからこの業界は伸びて行くのだ」ということ。
確かに、人材派遣の業界そのものはこれまで伸びてきている。長引く不況により企業が正規雇用を抑え、派遣やアルバイトで労働力をまかなってきたこと、また労働政策の面でも派遣可能な業種を拡大させてきたことによる。特に派遣の場合、企業自らが人材の募集をかけずとも、人材派遣会社が有能なスタッフを送り込んでくるし、人海戦術が必要な業務だと十把ひとからげで人間がやってくる。雇用の調整弁として何かと都合がよい。
ただ、伸びたのは人材派遣業と、人材派遣によりコスト削減に成功した企業である。その一方で、増加する一方の派遣労働者の待遇が置き去りにされている。収入も低く、身分も不安定で、それが少子化、年金未納の問題にもつながるという指摘だ。今になって人材派遣そのものをやめてしまえというわけにもいかないので、国としてもこれら派遣労働者の待遇改善をあわせた雇用政策の強化が求められる。
話は戻るが、西武ドーム→インボイス西武ドーム→グッドウィルドームと来て、次はどういう名前になるんだろうか・・・?