年度末~年度始めの業務も一段落し、今日はやや早めに仕事を切り上げ、今シーズン初の「Yahoo!動画」でのプロ野球観戦。地上波中継が行われないパ・リーグの試合だが、動画では無料で完全中継してくれるので、逆にありがたい限りである。
で、今夜のオリックス・バファローズはローズの3ランを皮切りに重量打線が18安打10点の猛攻(もう少し別の日にとっておいたほうがいいのでは?)を見せ、埼玉西武に10対2と圧勝。パソコンの前で夕食を摂りながらうなっていたものである。
一方の西武ファンとしては、前夜の快勝はどこへやら、勢いをそがれた感じで地団駄を踏む思いではなかっただろうか。
・・・その「地団駄を踏む」なら「島根で踏め」という一冊がある。
『地団駄は島根で踏め』(わぐりたかし著、光文社新書)
著者は放送作家として多くの番組制作を手がける一方、「語源ハンター」という肩書きを持つ。日本語におけるさまざまな慣用句や言い回しの中で、その「語源」にゆかりのある場所や地域という「語源遺産」を訪ね歩くという意味とか。その語源が特定の土地の習俗、伝説あるいは故事に求められる言葉がいろいろとあるようだ。
例えば本書のタイトルにもなった「地団駄」とは、出雲地方に伝わるたたら製鉄で、ふいご(じだたら)を踏んで空気を炉の中に送り込む様子が、悔しがって地面を激しく踏む様子に似ていること・・・・「じだたらを踏む」が出雲独特の言い回しによって「じだんだ」となり、それに「地団駄」という文字を当てたというもの。
ただこの本の特徴として、単に語源を紹介するのではなく、実際にその「土地」に行って現物を検証しに行くというのがある。だから「旅行記」に分類されるのだが、同じく旅を好むものとしては「やられたな」という思いである。旅の中では、「旅のテーマ」や「旅のこだわり」というのを多くの人が持つものであるが、それが「語源」というのだから・・・。
時折著者自身が、その土地で著者なりの「語源説」を考証してみせるというのも面白く、こういう発見というのも実際に現地に出向いてこそわかるというものである。また、その語源となった伝説に出会う旅の中で、実はその由来は現在使われている意味とまったく異なっている(こういうのも、時代によって言葉の意味合いが変遷することの現れなのだろう)という発見があったりする。これも現地に出向いてのことか。
うーん、旅に限らずの「現場主義」ねえ・・・・。仮にその地に行けば「語源」に思いを馳せることになるだろうし、その言葉を使う時にはその「風土」に思いを馳せることになるのかな。
旅行記としても、「ことばを通した民俗学」のルポとしても読める一冊である。
ちなみに、「地団駄を踏む」のほかに紹介されているものの一例としては・・・・
「ごたごた」、「どろぼう」、「関の山」、「ひとりずもう」、「二の舞」、「チンタラ」、「あとの祭り」・・・・など。