まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第4番「水間寺」~新西国三十三所めぐり・28(水間鉄道に揺られて)

2017年04月09日 | 新西国三十三所
新西国三十三所のカテゴリでの記事を書くのもちょうど2ヶ月ぶりである。前回、赤穂の花岳寺を訪ねて坂越の牡蠣をいただいてからのことである。別に新西国をほったらかしにしていたわけではなく、単にスケジュールが取れなくて・・・。

今回の目的地は第4番の水間寺。札所は4番目であるが、客番を含めた38所の中で28番目に訪れることになるとは。それも、くじ引きとサイコロで行く順番を決めた結果である。

4月に入っていろいろと仕事で忙しい日も続くし、仕事の進捗も気になるのだが、9日の日曜日は完全オフということにした。自宅でゆっくりしてもよかったのだが、朝降っていた雨も止み、春の日差しが差し込む中で、「これは、今出かけようか」という気になった。札所じたいは別に逃げも隠れもしないのだが、新西国は全階から2ヶ月空いていたし、ちょうど桜の時季でもある。行き先は水間ということでそれほどの遠出でもない。急遽、午前中に思い立って出発し、昼過ぎには南海の貝塚駅に降り立っていた。

水間寺へのアクセスは、貝塚から水間鉄道である。営業区間が5.5キロというミニ私鉄。実は私、同じ大阪府に住んでいながら水間寺へ行くのは初めてで、水間鉄道に乗るのも初めてである。そんなミニ私鉄で、列車はワンマン運転、駅員も貝塚と終点の水間観音しかいないが、ICカードが導入されている。貝塚の改札口には乗車、下車用のカード読み取り機が備えられている。

小ぶりなホームで待つうち、カーブを曲がって2両編成の列車がやって来た。元東急の2両編成。車両の側面には「みんなで乗って守ろう5.5キロ」とある。確かに、沿線の貴重な交通の足とはいえ、営業距離も短いし、観光としての見どころといえば水間寺くらいしかない。だからというわけではないが、地元の人や外部の鉄道ファンを呼び込もうとあれこれ取り組んでいる。

そのうちの一つが、列車の両端に掲げられたヘッドマークである。オリジナルのヘッドマークを10日間掲示できるもので、その料金はなんと1万円という。これが定着すると、そのヘッドマーク見たさ、あるいは撮りたさに客が集まるというもの。この日乗った列車のヘッドマークは凝っていて、かつての寝台特急「さくら」をモチーフとした「さくらい」の文字。周囲にあしらわれた英語を読むと、「さくらい」さんご夫婦が4月30日に結婚式を行うことの記念のようである。こうしたヘッドマークを掲示するとは、鉄道好きなご夫婦なのかな。どうぞお幸せに。

こうした手入れは行っているし、ワンマン使用で、前側車両の真ん中の扉が入口、一番前が出口ということで、それぞれ整理券発行機、ICカード読み取り機、運賃箱が置かれている。ただベースは東急のもので、吊り革に渋谷の109のロゴが入っているのがなかなかシブい。

営業距離が短い割には駅の数は多く、ガタゴト走ってはすぐに停車を繰り返す。途中の名越が唯一の交換駅で、水間観音からの列車が先に停車している。こちらの列車が着くと、また同時に発車する。前方に山が迫ったところで、終着駅の水間観音のホームが見えてきた。貝塚から15分ほどの道のりである。

駅の反対側のホームに桜の木があり、ちょうど見ごろを迎えている。午前中はぐずついていた空もここに来て明るくなり、いい景色である。有形文化財にも登録されている駅舎を抜け、ここから水間寺までは一本道、10分足らずで到着する。同じ列車を降りた客たちも寺の方向へ歩いて行く。

寺の境内に入る手前に川が流れていて、橋がかかっている。水間寺は多くの寺にある山門、仁王門はなく、この橋を渡ると境内に入るようになっている。その川沿いの桜もなかなかのものだった。今年は桜の開花が遅めだったこともあり、この週末がちょうど見ごろを迎えていた。水間寺にこうした桜の見どころがあったとは知らず、これは思い立って出て来てよかったと思う。

そうした桜に出迎えられて、これからお参りである・・・。
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