まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

BCリーグ観戦記~滋賀ユナイテッド対富山GRNサンダーバーズ@甲賀(本拠地初勝利ならず・・・)

2017年04月23日 | プロ野球(独立リーグほか)
久しぶりとなるBCリーグの観戦記である。

今季から栃木ゴールデンブレーブスとともに新加入したのが、滋賀ユナイテッドBCである。BCリーグがついに関西に進出したということで、いつか観戦することを楽しみにしていた。試合日程をチェックしたところ、23日に甲賀市民スタジアムで行われるというので行ってみた。滋賀で野球といえば、NPBの試合も開催される大津の皇子山球場がメインなのかと思うが、県内に幅広く観戦の機会を作ろうということと、後は球場使用料のこともあるのだろうか、皇子山はむしろ本拠地開幕戦のみで、後はこの甲賀をはじめとして、湖東、守山、彦根、近江今津の各球場で分散して開催するようである。地域貢献を柱とするBCリーグらしくてよいのではないか。

その甲賀市民スタジアムは、水口スポーツの森の一角にある。大阪からだと草津線の貴生川駅が最寄りで、私が訪ねた時はちょうど貴生川駅からの甲賀市のコミュニティバス「はーとバス」が出ており、駅から5分で到着した。もっとも、帰りは球場から駅まで歩いたが20分ほどで着いたので、アクセスは徒歩でも何とかなる。途中にコンビニも2軒あるので、飲食物の購入には不自由しないだろう。

入場は3塁側で、入口では2体のゆるキャラがお出迎え。片方は滋賀ユナイテッドのキャラクターである「ゆに丸」、もう片方は甲賀市のゆるキャラ「にんじゃえもん」である。それらを見た時に「のど黒飴」のキャラを思い出したのだが、いずれも甲賀忍者をベースにしたキャラクターである。滋賀ユナイテッドのチームカラーも黒で、ファンクラブはその名も「BLACKS」。滋賀といえば、シンボルはやはり琵琶湖で、そこから来るイメージカラーは青というのがあったのだが、滋賀ユナイテッドは甲賀忍者の黒装束のイメージ。この日のユニフォームは白ベースだが、さりげなく忍者と彦根城(?)のシルエットをあしらってるのがシブい。

3塁側が滋賀側ということで、ベンチ上の席に陣取る。外野スタンドの奥は公園の森が広がり、開放感がある。ベンチ上までのメインスタンドは全面庇で覆われているだけでなく、前面にフェンスが張られている。ファールボールが客席に入らないようにとの気配りではあるが、逆に閉じ込められた感じはある。試合時間が近づくに連れて少しずつ来客があり、そこそこ埋まった感じになった。観客の話声も完全に関西弁。これまでBCリーグの観戦というと最短でも福井県だが、福井となると言葉の違いを感じ、野球を観るだけでもちょっとした旅行気分になったことと比べると、それだけリーグの存在が近くなったなと実感する。

試合前のスタメン発表時には、元阪神の上園監督、桜井コーチに続いて、スタメン選手~控え選手の順番に一人ずつ名前がコールされてベンチ前に整列する。元々そういう土地柄、また監督、コーチが元阪神ということもあり、観客にも阪神ファンらしいのが目につく。

滋賀ユナイテッドはリーグ新加入というだけでなく、監督、コーチも指導者経験は初めてである。選手を見渡しても、元阪神の西村がエースとしてチームを引っ張るものの、多くは高校、大学を出てBCリーグやノンプロの経験もなく入ってきたのがほとんど。外国人選手もオランダ出身のモスキートというのが一人いるだけである。ここまで公式戦は1勝3敗1分と苦戦しており、滋賀の主催試合では勝ち星なし。一方の富山はリーグ発足時からの球団だし、元近鉄の吉岡監督を初めとして、コーチ、選手も経験者が多い。以前に福井でプレーしていたジョニーを筆頭に外国人選手も多数。

試合開始に先立ち、甲賀市長が挨拶と始球式を行う。

滋賀先発は鈴木。193cmの長身、びわこ成蹊スポーツ大学からBCリーグ入りということで、西村に次ぐ先発の柱として期待されている投手だ。捕手のようにボールをかついだ感じで投げるのが特徴だが、直球とフォークが武器。初回、先頭打者にヒットを許すが併殺でピンチをしのぐ。序盤は打たせて取る投球を見せる。

一方の打線だが、どうも線が細いように感じる。初回は富山先発のコラレスの前に三者連続三振。2回も5番杉本がヒットを放つが盗塁失敗。線が細いといえば滋賀の応援もそうで、富山が応援団込みで10数人しかいないのに太鼓や笛(球場の関係か、トランペットの鳴り物は自粛していたようだが)で手慣れた感じの応援なのに対し、滋賀側は応援団そのものがいない。応援グッズでオリジナルのバルーンスティックは売られているものの、ファンが適当に叩いている感じである。途中の回では、球団スタッフが客席の上のほうでホイッスルで「ビ、ビ、ビ・ピ・ピ」とやる(ある時は、ポロシャツ姿で場内整理もこなす球団代表が自ら音頭を取って)が、どうもスタンドに一体感がない。これも新加入球団らしいといえばらしいと言えるが・・・。

それでも3回、西武の中村やロッテの井上を思わせる田中がヒットを放ち、ここを足掛かりに一死二・三塁とチャンスをつかむ。ここで1番泉がレフト前にタイムリーを放ち、2点先制。スタンドから大きな拍手とスティックの音が起こる。

しかし4回、富山の4番ジョニーが右中間へのソロ本塁打。これで2対1となった。

滋賀は4回に二死満塁とチャンスを迎えるが追加点を奪えない。その直後の5回、滋賀先発の鈴木が制球を乱す。先頭から三者連続で四球を出し、無死満塁となる。「ピッチャーびびってもうて投げるとこあらへんがな」と近くのおっちゃんが話すうち、次の針山の内野ゴロの間に1点入り、2対2の同点となる。続く1番河田にも四球を与え、ここで鈴木は降板となった。もしびびって投げるところがなくなったのであれば、この先も厳しいだろう。続いて高卒ルーキーの左腕保田が登板したが、2番河本にライト前に運ばれて2点勝ち越しとなる。さらに、3番ペゲロのレフトへのライナーを、レフトの松田が目測を誤ってグラブから弾いてしまう。この回一挙4点が入り、5対2と富山がリードする展開となる。

こうなると滋賀としては厳しいか、6回以降、富山先発のコラレスの後の救援陣の前に、ランナーは出すものの得点につながらない。チャンスは作るものの、肝心なところでの見逃し三振、併殺打などでつぶしてしまう。

一方では光るプレーもあった。9回表、富山の中村がライトの頭上を越す長打を放つ。俊足のランナーで、二塁に到着した後三塁コーチの腕が回って三塁めがけて走る。これは三塁打になるのかなと思うと、中継でいい送球が三塁に来て、タッチアウト。

これで最終回の反撃につながるかと思ったが、富山抑えのシレットの前に無得点。何だか地力の差を見せられたような試合であった。これでせっかくの本拠地での初勝利もお預けである。

試合後は選手、監督たちが外に出て観客の見送り。私はまだ初めて観戦したばかりだし、長い(前後期36試合ずつ)公式戦はまだこれから続くし、若い選手たちが経験を積んで何とか頑張ってほしい。応援のスタイルもこれからできてくるだろうし、観戦の楽しみも増えるだろう。

帰路、BCリーグの公式プログラムを見ながら、これからの滋賀の観戦計画を考えてみる。今季から滋賀、栃木が加入したことでBCリーグは東西2地区5球団ずつとなり、より一層、公式戦は同地区同士の対戦が多くなっている。東地区に所属する福島、栃木、群馬、武蔵、新潟の5球団とは、年間を通して1試合ずつしか対戦がないようだ。こうなると、だんだん東地区まで出向こうかというのが遠くなるが、その分、大阪から近い滋賀、そして福井くらいならデーゲームであれば日帰りでも行けるわけで、これからはこの2チームを中心に観戦することにしようと思う。特に滋賀であれば大阪からも近い・・・。
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