まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第16番「延暦寺横川中堂」~新西国三十三所めぐり・37(比叡山乗り継ぎ移動)

2017年07月04日 | 新西国三十三所
5月に新西国めぐりで高槻の神峯山寺を訪ねた際、「拝仏」と祈祷の対応をしていただいた副住職から、「ぜひ最後は比叡山で締めてください」と言われたことがある。神峯山寺は天台宗の寺院で、その総本山を薦めるのは自然なことだろう。

私としては、途中はくじ引きとサイコロで行き先を決めているが、新西国の最後はやはり末尾の瑠璃寺(佐用町)としている。ただ、神峯山寺以降、いくつかの札所を挟んでラスト一つ手前で延暦寺が当たったというのも、何かのご縁かと思う(もっともこの次は、前回訪ねた時に寺の方が不在で納経帳が埋まらなかった金剛城寺(福崎町)に行かなければならないが)。

日程の関係で、7月最初の週末に行くことにした。ただ週末の天気予報では、1日の土曜日は関西の天候も今一つで、2日の日曜日のほうが良い感じだった。ということで2日に行くことにして、京阪の淀屋橋に現れる。

比叡山へのアクセスは京阪電車を選んだ。鉄道だと京都側からは出町柳から叡山電車に乗り換えて八瀬比叡山口、一方大津側からは京阪石山坂本線の坂本が玄関で、いずれも駅からケーブルカーなどで山に上る。また、新西国の札所として目指すのは、メジャーな根本中堂のある東塔エリアではなく、もっとも奥に位置する横川エリア。山上での移動はシャトルバスとなる(修行にも使われる山道を歩く、という手もあるが・・)。

それにうってつけなのが、京阪の「比叡山延暦寺巡拝チケット」。京阪全線、叡山電車(出町柳~八瀬比叡山口)、京都地下鉄・京阪大津線(三条~浜大津)、叡山ケーブル、叡山ロープウェイ、坂本ケーブル、江若バス(坂本ケーブル~京阪坂本駅)、比叡山上シャトルバスが一日乗り放題で、さらに延暦寺3エリアの拝観料込みで3300円。他にも、チケットの提示で割引が受けられる店もある。単純に大阪から比叡山を往復するだけでも同じくらいの運賃になりそうで、これに拝観料とシャトルバスがつくとはかなりお得である。これを使い、今回は八瀬方面から比叡山に上り、先に目的地の横川まで行き、帰りに根本中堂まで引き返して坂本回りで戻るルートにした。家を出たのがゆっくりだったので、坂本の町を歩くとかいうまでは時間的にちょっとしんどいかな・・・。

淀屋橋10時発の快速特急「洛楽」に乗る。京阪の昔の特急のように京橋~七条間がノンストップである。こういう列車だが、意外に空席もある。今の特急は途中の駅にも停車するが、こうした駅での乗り降りや乗り換えで利用する客が多いとも言える。

淀屋橋から50分で出町柳に着き、叡山電車に乗り継ぐ。先発の鞍馬行きは展望車両ということもあり満員で出る。その後で1両の八瀬比叡山口行きが出たが、途中駅で下車する客が多く、終点まで来たのはそれほど多くなかった。

この週末、大阪は一気に本格的な暑さになった。だから山の上なら多少は涼しいのかな?という期待はあった。叡山電車で降り立った八瀬比叡山口は、さすがに市街地を少し離れて、周りは緑、そして小川のせせらぎが涼しげだが、私が暑がりのせいか、それでもムシムシしたものを感じる。まあそれはあくまで個人的な体感で、京都で涼しくということなら叡山電車がお勧めである。

駅から少し歩いてケーブル駅に着く。待合室に「能行不退」と書かれたパネルが掲げられている。これは毎年延暦寺が「今年の言葉」として発表している言葉の2017年版である。「野球まみれ」と同じようなチームスローガンと同じようなもの・・・もといメッセージとして発表したものである。この4文字を意訳すると、「途中であきらめずにひたむきに前へ進め」ということだそうだ。

そんな言葉に押されるようにケーブルカーが動く。日本でもっとも勾配がきついケーブルカーとの案内がある。確かにケーブルカー独特の後ろから引っ張りあげられるような乗り心地だが、周りが自然に囲まれてくる様子が実感できる。

ケーブルカーの終点に着くと、乗り継ぎとなるロープウェイがある。もっとも、ここからは比叡山頂までの遊歩道も整備されているためか、ここまでのケーブルカー以外の客も含めて歩く人の姿も目立つ。近隣のプチ登山というと六甲山とその周りをイメージするが、比叡山もその対象なのかなと思う。修行は別として。

ロープウェイは3分の乗車だが、一気に高度を上げる。眼下に京都市街を眺める。快晴の天候ならもっとくっきり映っただろうが、そこは自然である。同乗の客たちも一斉に喜んでいた。また、歩いて山上まで上ろうという人の姿もあり、ちょうどロープウェイが上を通過すると手を振ってきた。

比叡山上に到着するとその前にはガーデンミュージアムがあり、こちらに向かう人と、山上のバス停に向けて歩く人が半々となる。数分で開けたバス停に出る。展望台からは大津市街の景色を見ることもできる。12時発のバスで、まずは終点の横川を目指す。片道運賃が760円のところ、バスの1日乗車券は800円である。さらに大阪から京阪で来るなら巡拝チケットの中にバス1日乗車券分も含まれる。

根本中堂最寄りのバスターミナルで乗客が入れ替わる。まずは根本中堂・東塔エリアを訪れ、その後で西塔、横川と順に回る人が多い。また峰道には琵琶湖を眺めるレストランがあり、こちらでの昼食目当てで乗る人もいる。私は根本中堂は行ったことはあるが、横川エリアは初めてである。順番が逆かもしれないが、まずはこちらで新西国の札所めぐりとする・・・。
コメント