まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第6回中国観音霊場めぐり~観戦記・独立リーググランドチャンピオンシップ第3戦徳島対栃木@鳴門・白熱の一戦

2019年10月17日 | 中国観音霊場

第3戦は予定から1時間15分遅れの19時15分にプレイボール。ちょうど三塁側スタンドの向こうに満月が見える。

徳島の先発は竹内。今季は年間通算で最多勝タイの8勝を挙げ、昨年に続いてNPBのドラフト候補となっている。このグランドチャンピオンシップでも先週の第1戦(小山)に先発したが勝ちを逃している。振りかぶる前に左足を左右に動かして砂を払う仕草を見せる。しかし力みからか、直球が最速152キロをマークするも1回表はボール先行となる。一死から2番青木がセンター前ヒットで出塁し、続く西岡は四球で出塁。初回から三塁側応援団の熱気が上がる中、ここは竹内が後続を何とか抑えて無失点で乗り切る。

そして1回裏、栃木の先発は比嘉。こちらは年間通算で6勝。徳島は先頭の小柄ながらパンチ力のある平間が、ショートへの内野安打で出塁。続く球斗が送って、こちらもNPBのドラフト候補と期待される岸が打席に入る。先制点が期待されるがレフトフライで凡退。

4番の瀬口の当たりはショート内山が追い付くもはじいてレフト前へ。記録はヒットとなり徳島が1点先制する。続く吉田もライト前ヒットで一・三塁となる。

ここで6番川端がレフト前へのクリーンヒット。2対0となり一塁ベース上で笑顔を見せる。両チームが初回から塁上を賑わせたところで、その攻防だけで40分かかる。さてこの試合は何時まで行われるやら。

2回表、初回にトランペットの音色を響かせていた三塁側応援団が不意にアカペラの声援に変わる。またその裏、阿波踊りで使う鐘を鳴らす昔ながらのスタイルの一塁側応援団からも鐘の音が消える。どうやら球場ルールで20時を回ると鳴り物応援ができないようだ。

先制点をもらった竹内は2回は飛ばす。直球が再び152キロをマークするなどして二者連続で空振り三振を取る。これで乗って来るか。

2回裏、徳島先頭の横溝の打球をショート内山がファンブル。今度はエラーがついた。続く友居のバントはフライとなったが、運よくサード佐藤の頭上を越えて内野安打となった。この辺り、試合前の準備不足で栃木の守備も苦しんでいるようにも見える。

ここで平間の思い切ったスイングは風にも乗ってライトの頭を越す。無死ということで二塁ランナーのスタートが遅くなり、ランナー二人はそれぞれ三塁、二塁でストップ。長打を確信した平間が前のランナーが止まっているのを見て慌てて一塁に戻り、辛うじてセーフとなった。無死満塁と追加点のチャンス。

ここで球斗の内野ゴロの間に1点追加で3対0。なおもチャンスで岸を迎えるが、強い当たりはセカンドへのライナー。二塁ランナーが戻れず併殺となった。無死満塁で1点止まりはちょっともったいなかった。

3回表、栃木が反撃開始。竹内は2回とはまた別人のようで、先頭の野崎に死球を与える。一死後、青木のところで暴投、四球。続く西岡のところでも暴投で一死二・三塁となる。西岡は浅いセンターフライに倒れたが、4番のルーカスがレフトへのクリーンヒットを放って2点が入る。序盤から3対2と接戦になってきた。

3回裏、栃木は2人目の秋山が登板。徳島は毎回ヒットで出塁するも追加点が取れない。4回は一死二・三塁のチャンスを作るが球斗がショートゴロで本塁タッチアウト、期待の岸も空振り三振に倒れる。また5回も一死一・三塁とするが後が続かない。一方の竹内も4回、5回は立ち直り、3対2のまま5回裏が終了した。

この時点で2時間あまり経過した21時20分。ハーフタイムには地元の「松茂キッズ」が、大黒摩季さんの「熱くなれ」に合わせてのダンスを披露する。「熱くなれ」は徳島の今年のチームスローガンだ。子どもたちも遅い時間に大変だが、まあ、明日も祝日で学校は休みだからいいか。また、試合終了後にはグラウンドで海陽町の餅屋から提供の餅投げがあるとのアナウンスがあり、誰でも参加できるというが、このペースで行けば何時になることやら。ここまで来たのだ。仮に日付が変わっても餅投げをやるというのならとことんまで付き合うぞ(単に、鳴門に泊まっていることを言いたいだけだが)。

6回表、先頭の西岡がセカンド内野安打で出塁。その後二死二・三塁となり、打者谷津のところで竹内がまたも暴投。3対3の同点となった。6回裏は栃木3人目の前田が無失点で抑える。この時点で22時を回る。試合時間からして延長戦はなく9回で試合終了となるのは確実としても、そこにたどり着くのは何時になるやら。餅投げは大丈夫か。

7回表は栃木のラッキー7。球団歌の「金色の勇者」が流れる。この時「福井球団存続を」の手作り横断幕が登場する。前の記事でも触れたが、福井ミラクルエレファンツの行方も気になるところである。この記事を書いている時点では運営企業は何とか見つかりそうとの報道はあるが・・。

竹内は7回は二者連続見逃し三振を取る。結局この回まで投げて奪三振7、被安打4、失点3ながら、四死球5、暴投3はちょっといただけない結果だった。

7回裏、徳島のラッキー7で球団歌の「藍の勇者」が流れ、藍ではないが水色のジェット風船が飛ぶ。インディゴ(藍)とゴールデン(金色)の対戦、球団歌のテンポも対照的である。

徳島は栃木4人目の橋詰から無死一・三塁のチャンスを作り、川端がスクイズを試みるもフライとなって失敗。その後二死二・三塁として横溝がライトへのヒットを放って5対3と勝ち越しに成功する。

8回表は森が登板。西岡にこの日2本目となるヒットが出るが無失点で完全に徳島の勝ちムードになった。

そして9回表は徳島抑えの戸田が登板。三者凡退として5対3で徳島が勝利して、グランドチャンピオンシップは2勝1敗で徳島が独立リーグ日本一に王手とした。公式記録では19時18分開始、23時10分終了、観客は1012人とあった。

ヒーロー賞は7回に決勝タイムリーを放った横溝が受けた。左に移っているのはスタジアムMCを担当する吉本興業の徳島県住みます芸人の中山女子短期大学さん。インタビューの最中、栃木の選手たちはベンチにてミーティングである。まあ、台風の影響がある中で長距離移動して、到着してすぐに試合だった。それでもいい試合をしたこともあり、最後には台風被害にあった栃木県へのエールということで、一塁側からも「ガンバレガンバレ栃木!」のコールが起きた。

さすがに23時を回ったことで餅投げは中止となり、代わりに球場外でのお見送りの際に選手が餅を「配る」ことになった。「祝」の文字が書かれた袋に入った餅のケースを選手が掲げている姿は餅屋そのものである。選手が配るというよりはご自由にお取りくださいのスタイルである。

この試合中、ファウルボールが偶然にも私のいるところに飛んできた。この試合では徳島や四国アイランドリーグの選手名鑑が売っていなくて、納経帳にご朱印もといサインをいただくものをどうしようかと思っていたが、せっかくなので試合球に書いてもらおう。

降板直後に打線が勝ち越したので勝利投手となった竹内、そして牧野監督(元オリックスほか)、ミラバル投手コーチ(元日本ハム)のサインをいただく。平間や岸といったドラフト候補の野手のサインもあればと思ったが、照明も暗い中で姿を見つけることができなかった。

時刻は23時半近くということで、選手やファンはまだ残っているがそろそろ球場を後にする。往路と同じ撫養川沿いの遊歩道を歩くが、この時間は街灯もなく暗い。こんな時間まで何をやっているのかと苦笑しつつホテルまで戻る。冷蔵庫には夜食用としてスーパーで買い求めたタイの刺身や鳴門わかめなどがあるが、もういいか・・・。

後日談その1。独立リーグチャンピオンシップはこの試合で徳島が2勝1敗で日本一に王手としたが、翌14日の鳴門での第4戦は栃木が5対4で勝利して2勝2敗のタイ。勝負は15日の徳島での最終戦までもつれたが、4対3で徳島が勝利。2年ぶり3回目の独立リーグ日本一となった。MVPは竹内。第5戦は1回表からリリーフで登板し、その後9回まで投げ切って日本一を引き寄せた。これで17日に行われるNPBのドラフト会議に向けて大きなアピールとなったようだ。

後日談その2。NPBのドラフト会議が行われた。1巡目で数球団が指名すると注目の選手たちでは、大船渡高の佐々木はロッテ、星稜高の奥川はヤクルト、明治大の森下は広島が交渉権を獲得した。オリックスに関しては・・・・まあ置いといて。

1巡目で独立リーグの選手が指名されることはまずない中で、埼玉武蔵の松岡が西武3位で指名。また徳島の先発のもう1本の柱の上間が西武7位で指名された。徳島からはさらに岸(西武8位)、平間(巨人育成1位)という注目の野手コンビも指名を受けた。徳島としては最高の結果だろう。他に四国では香川の畝が広島育成3位で指名されたが、これは広島の畝投手コーチの息子という縁があったのかな。

その一方で、徳島の竹内が指名されることはなかった。NPBのスカウトや、「ドラフトへの評価が難しい投手」と見ていた目の肥えた野球ファンから見ればやはり何かが物足りなかったということだろう。第5戦で独立リーグ日本一を手繰り寄せた投球は素晴らしかったのだろうが、もしこの第3戦で四死球やら暴投がなくピシャリと抑えていれば評価もより高まったのかもしれない。いずれにしてもNPBの壁は高いことが示された結果だが、また来年NPB目指して修行の日々となるのかどうか。

・・・独立リーグの話題はここまでとして、翌日は旅の元々の目的である中国観音霊場めぐり。朝ちゃんと起床できるかどうか・・・。

コメント (2)