夕方の徳山駅。この駅に降り立つのも10数年ぶりである。以前は昔ながらの国鉄駅の雰囲気だったのが、立派な橋上駅になっていた。新幹線側から自由通路を渡り在来線側に出ると、階段の下り口に書店のようなカフェのような建物入口がある。ただそこにある文字は「周南市立駅前図書館」。駅前に出ると徳山駅よりもでかい文字で図書館の看板が掲げられている。
周南市はいくつかの自治体が合併してできたこともあり図書館は市内に何ヵ所かあるのだが、徳山駅前図書館は2018年に開設されたばかり。周南市の交流施設の位置付けでもあり、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)により運営されている。館内に入ると内装も図書館らしからぬセンスがあるし、開架も見やすい造りだ。新型コロナウイルスの影響で3月いっぱいは臨時休館だが、普段は年中無休、夜も22時まで開いている。
休館中にも関わらずなぜ入れているのかだが、CCCが運営していることもあり、1階には蔦屋書店、スターバックスが入っている。徳山の人には失礼な感想だが、徳山でこうしたスポットが、それも駅直結であるというのに感心する。列車やバスの待ち時間も有効に使えるし、ここで一時を過ごすことを目当てに来てもいいくらいのスポットである。
さて、帰りの新幹線まで時間が少しあるので駅前の商店街に向かう。目についたのは「豊丸水産」。チェーンの居酒屋だが、山口の郷土料理もあるというので入ってみる。
この場合の山口の郷土料理はふぐである。下関なら「ふく」だが、徳山ではまだ「ふぐ」の呼び名が一般的なようだ。なお、駅のコンコースにも看板があったのだが、周南市の粭島(すくもじま)沖というのがとらふぐの延縄漁発祥の地だという。下関はあくまで卸売り、流通量の多さで有名というところだろう。
ふぐ刺しや一夜干しなどが通年メニューで出ている。天然のとらふぐとは謳っていないので養殖ものだと思うが、そこは地元の名物。また3月ならぎりぎり冬の旬かなということで美味しくいただく。
他には長州どりの鉄板焼きや、クジラのたたき、宇部かまぼこといった地のものをいただく。今回は山口県の初回ということで、これからいろいろ回るところだが、まずは幸先よく地元の味を楽しめて満足である。
ちょうどいい頃合いになって駅に戻る。これから乗るのは19時25分発の「こだま868号」新大阪行きである。各駅に停まって新大阪までは4時間少しかかる。途中何本の新幹線に抜かれるのやら。
この列車にしたのは旅行会社の割引プラン利用のためである。徳山~新大阪を「こだま」や「さくら」の指定席で行けば自由席、指定席の差を含めて12000円前後。それがこの「こだま」限定プランなら9000円である。今回利用したのはJTBだが、日本旅行でも同じような商品があるようだ。もっとも5月の連休、お盆、年末年始は対象外だ。また、予約時に指定した列車からの変更はできず、果ては同じ列車の自由席を利用するのも不可である。価格を取るか、時間を取るか、制約を受け入れるかだが、今回は「こだま」で各駅乗り通すことを優先とした(もしこの夜が徳山泊だったら、翌日は山陽線もしくは岩徳線経由で1日かけて鈍行乗り継ぎを選ぶのかもしれないが)。
19時25分発だが、19時13分に到着。徳山で後続列車の通過待ちである。
その間に指定の席に座る。改札口を通る前にこの列車の指定席の空き具合を見たのだが、指定席は4分の1程度埋まっていた。もちろん途中区間の利用で、「のぞみ」や「さくら」の指定席との乗り継ぎもあるだろうが、こうした割引商品の客というのは席を固めるのか、周りの席は端から順に埋まっている。私の後ろ2列にいた女性グループは徳山ではすでに乗っていたし、この先新大阪まで乗っていたから、新山口どころかひょっとしたら小倉や博多から通しのプランかもしれない。まあ、この日はこの後大阪に移動するだけなら、「こだま」のゆったりシートでのんびり過ごすのもありだろう・・。
長々と書いているうちに徳山を発車。そういえば徳山といえば駅近くにも広がるコンビナートの夜景である。窓から少しは見えたが、写真だとこの通りである。まあ、次の中国観音霊場めぐりでは徳山に泊まる計画を立てているので、工場夜景はその時にとっておく。
先ほど食事はしたはずだが、飲み物はビールだけだった。ここで出すのは山口県で有名な獺祭。駅の土産物店やコンビニ売店で一般に売られているスタンダード品の純米大吟醸45。それでも同じ300mlサイズの他の酒蔵の酒と比べれば、1.5~2倍くらいの価格である。日常にいただくのは現実的でなく、新幹線のシートに身を委ねて、これからの「こだま」の旅のお供・・。
徳山駅近辺のコンビナートを過ぎるとかえって車窓の暗さが侘しさを出し、新岩国に到着。6分停車でホームに出る。
次の広島では11分停車。獺祭のアテがなくなったのでホーム上の売店で補充する。ここから指定席に乗ってくる客がそこそこいる。広島~新大阪ならそうした利用があっても不思議ではない。
東広島、新尾道、福山と数分ずつ停車する(三原だけはすぐに発車した)。福山ではライトアップされた福山城の天守閣も見える。これも「各駅停車」ならではの楽しいところだ。
8両編成の「こだま」は前の7、8号車も自由席だが、この時間ともなれば1両に2~3人しか乗っていない。
新倉敷、岡山はすぐに発車し、相生、姫路では通過待ちで6~7分停車。ここまで来るとようやく戻って来たと実感する。
後は西明石、新神戸とそのまま走り、22時38分、新大阪に到着。もう、東海道新幹線の上りの運転は終わっていて、駅も閑散としていた。そのままいそいそと帰宅する。長い日帰り旅になった。
さて、今回出かけたのは3月20日のこと。現在は3月末だが、新型コロナウイルスの感染拡大は止まることがない。ちょうど3月半ばからその連休に何らかの経路で感染したのではないかとの報告が相次いでいる。東京五輪も延期になったし(なぜ中止にしなかったのか?)、東京、大阪では週末の外出の自粛が要請されたり、西宮球団の選手たちが感染したことでプロ野球の開幕がまた延期になるのではとか、志村けんさんが亡くなるとか・・話がまた暗いほうに流れている。この中で西宮球団のFとかIとかいう1軍半の選手どもが繰り広げた乱交・蛮行は万死に値する行為。たかがこいつらのせいで今年のプロ野球はもう中止なのだろうなと思う。ただ関西のマスゴミはその中でも選手を全力でかばい、弁護し続けている。まあ、コロナに限らず元からアタマがイカれている連中だから私ごときが今さら何も言うことないが。
中国観音霊場めぐり、次は5月の連休を予定して宿泊は押さえており、これから交通機関を予約するのだが、状況はどうなっているか。場合によっては延期せざるを得ないのかなとも思う。さて・・・。