神仏霊場めぐりの最初となる伊勢神宮(内宮・外宮)の参拝を終え、大阪に戻るまでの時間があまったので、宇治山田から乗る予定にしていた観光特急「しまかぜ」に始発の賢島から乗ることにして、いったん宇治山田から賢島に向かう。これも今回利用の「近鉄週末フリーパス」ならではである。
ホームに上がると、ちょうど名古屋行きの特急「ひのとり」が到着した。大型連休期間中に「ひのとり」を使った臨時列車が大阪難波~宇治山田、名古屋~鳥羽間で各1往復運転されている。名阪間のアーバンライナーも「ひのとり」に置き換わり、また乗ってみたいものだ。
一方、これから賢島行きは今や近鉄の最古参の車種といえる「サニーカー」である。簡易リクライニング使用のシートで、他の系統、編成と比べると見劣りするのだろうが、この車両もそう遅くない時期に引退するかもしれず、貴重な乗車になるかもしれない。
雨のため景色はよく見えないが、いつしかちらりと海が見え、鳥羽に到着。鳥羽の先では並走する道路が渋滞しているが、鳥羽水族館に向かうのか、はたまた伊良湖への伊勢湾フェリーに乗船するのか。
単線と複線が混ざる志摩線を南下する。志摩磯部を過ぎると志摩スペイン村の案内放送がある。開園からもう30年近くになるかな。近鉄グループもさまざまな事業を展開する中、好調なところ、厳しいところさまざまあるが、志摩スペイン村はよく持っているのではないかと思う。ただ近鉄の本業の鉄道も、観光特急は人気でも通勤・通学利用の減少などで苦戦しており、このたび運賃値上げに踏み切ることになった。
賢島に到着。ここですぐに折り返して16時00分発の「しまかぜ」に乗る。表示では満席と出ていたが、賢島発車時点ではまだガラガラである。おそらく鳥羽、宇治山田から大勢乗って来るだろう。
「しまかぜ」のプレミアムカーに乗車。先頭車・最後尾のハイデッカータイプが人気だが、私が最初に予約した時点でもすでに満席だったため、普通の高さの中間車両に落ち着く。そのまま車内ではゆったりと過ごす。はたして鳥羽、宇治山田、さらに伊勢市で乗客があり、見る限り満席である。
賢島に行くまではずっと強い雨だったが、西に向かうにつれて少しずつ弱まってきたようだ。ちなみに翌30日の近畿地方はどこも快晴の予報が出ている。最後はあべのハルカスの向こうに少しだけ明るくなった空が見えて、大阪難波に到着。
そのまま御堂筋線で宿泊地である新大阪まで移動。この日の宿泊は「大阪コロナホテル」である。ちょうど新幹線の高架沿いにあり、名古屋・東京方面から乗って来ると新大阪に着く直前の右手に見えるはずだ。名前に「コロナ」とあることから、新型コロナウイルスがまん延し始めた時は風評被害もあったそうだが、それを逆手に取ってホテルのPRに成功しているという。今回、新大阪に近いこともありこの「コロナホテル」のプランを選択した。この「コロナ」とは太陽の周りの光のことで、ホテルの名前は大阪万博のシンボル「太陽の塔」から取られたともいわれている。逆に、なぜあのウイルスに「コロナ」という名前がついたのだろうか。
ロビーや通路には大小さまざまな豚のオブジェが並ぶ。オーナーが無類の豚好きということで、これもコロナホテルの個性ともなっている。翌朝の朝食は豚関連の料理があれこれ出てくるとか??
もっとも、部屋はシンプルである。テレビはSiTVが導入されていて、通常のBSは映らないものの、他の動画コンテンツや自身のスマホなどと連動することができ、ある意味先を行っているように思う。
さて食事ということで向かったのが、高架をまたいで南にある「さくら水産」。新大阪という場所柄、気軽に関東の味を楽しめる店のほうが私には新鮮である。キンミヤホッピーを含め、魚系を中心にあれこれつまむ。その中でやっていたのが、30日の行程をどうするかということだ。
くじ引き&あみだくじで選ばれたのは壷阪寺。ただし、その周辺の札所も任意に訪ねることができ、しかも順番は問わないというマイルールを敷いた。壷阪寺を中心に神仏霊場めぐりの札所を見ると、手前の橿原神宮、奥の吉野にある金峯山寺蔵王堂がある。また、神仏霊場めぐりには含まれないが、西国三十三所の4巡目という点では岡寺もある。その他、範囲を広げれば桜井周辺にも神仏霊場の札所があるし、壷阪寺までのアクセスとなる近鉄南大阪・吉野線の沿線を拾うのも自由。何なら、私の地元藤井寺には葛井寺と道明寺天満宮もあるし・・・。
キンミヤホッピーを舐めながら、翌日どういうルートで回るか考えるのも楽しい。帰りの新幹線は決まっているし、鉄道以外の路線バスの時刻も気になる。そんな中、ようやくルートが決まった。ホテルでの朝食をパスせざるを得ないのが残念だが・・・。