まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第10回九州西国霊場めぐり~島原湾・有明海を横断

2022年05月14日 | 九州西国霊場

5月4日、朝6時前の本諫早駅に現れる。この季節、この時間帯でもすっかり明るくなっている。

この時間に駅に出向いたのは島原鉄道の始発に乗るためである。6時00分発の島原港行きは本諫早が始発である。JRと接続する諫早発でないのは、本諫早が島原鉄道の諫早側の拠点であり、この時間、JRとの接続もないためだろう。

この列車に乗るのは、終点の島原港から大牟田行きの高速艇に乗るためである。福岡に行くにあたり、同じ長崎線で往復するよりは、せっかく来たので変化をつけ、循環ルートとするために島原湾から有明海を渡ることにしたのだ。その第1便に間に合うには、この本諫早6時00分発の列車に乗る必要があった。

発車時刻となり、改札口の扉が開いてホームに入る。車両には「日本の1号機関車が走った島原鉄道」というラッピングが施されている。1872年、新橋~横浜を走った日本最初の1号機関車は、後に島原鉄道に払い下げられ、1911年に開業した島原鉄道の1号機関車としても活躍した。

後に保存のため鉄道省に返還、重要文化財にも指定され、現在は大宮の鉄道博物館に展示されている(実際の車両の画像は、2007年の鉄道博物館開業日に訪ねた時のもの)。

乗客は私を含めて3人。残りの2人も2~3駅で下車して、しばらく車内は私と運転士の2人だけとなる。

車窓は干拓地で、麦畑が広がる。この辺りでは米の裏作として大麦・小麦を栽培しており、ちょうど今からが収穫時期という。

そして遠浅の有明海に出る。遠くに見えるのは多良岳。穏やかな景色である。

多比良に到着。ここが国見高校の最寄り駅で、ホームにはサッカーボールをあしらったモニュメントが建てられている。この辺りから、島原に向かう客が少しずつ乗って来る。

有明海が目の前の大三東(おおみさき)に着く。ホームには黄色いハンカチが並び、朝日に映えている。「幸せの黄色いハンカチ」で、島原鉄道の車体の黄色にちなんだ町おこしだという。列車がすぐに発車するのが惜しい。実は、大三東がこういうスポットだと知ったのはこの日の朝、本諫早でのことである。島原鉄道に乗ることは事前に決めていたから、もし前日までに分かっていたらレンタカーで島原城に行く途中に立ち寄ってホームにたたずむこともできただろうに・・。

雲仙にも近づき、島原に到着。ここで多くの客が下車した。どうやら港まで行って高速艇に乗るのは私だけのようだ。

車両基地がある島原船津を過ぎ、7時13分、終点の島原港着。ホーム1本だけの中途半端な感じに見えるが、線路はこの先にも続き、少し離れたところで草生している。かつてはこの先、加津佐まで線路が続いていたが2008年に廃止されている。途中には雲仙普賢岳の火砕流で寸断され、後に復興を遂げた区間もあったのだが経営難により部分廃止となった。

駅の裏手に三角屋根の建物が見える。「JYH」の文字があるその建物は島原ユースホステル。20年以上前に島原を訪ねた時に宿泊したことがある(私も、10代~20代前半まではユースホステルにも結構泊まったものだ)。玄関には「ゲストハウス島原」とあり、ユースホステル協会ではなくなったがまだ現役のようである。

フェリーターミナルに向かう。熊本行きと並んで大牟田行きがある。窓口に向かうと「予約の方ですか?」と尋ねられる。事前に三池島原ラインのサイトを見たところ、大型連休中は利用客が多いためにネット予約を勧める記載があったので予約していた。ただ、周りを見ると乗船客がそれほどいるようには見えない。

乗船券は券売機で買うが、「どちらまで?」と尋ねられる。そりゃ三池港だろうと不思議がると、乗船券の他に、大牟田までのバス、さらに西鉄電車とのセット券が選べるという。この先天神まで向かうので合わせて3580円。割引はないが、1枚のきっぷで直通できるのが面白い。大牟田から特急に乗れば島原港から天神まで約2時間。案外早く着くものである。また、今回は利用することがなかったが、この高速船を利用することで島原、大牟田両市の観光スポットの割引が受けられるという。島原半島はキリシタン関連、そして大牟田は明治産業遺産関連、ともに世界遺産認定のスポットを有する。

乗船案内がある。乗り込んだのは私を含めて4人。さすがに朝7時40分島原発だと乗れる条件は限られるようで、この便については事前予約までは不要のようだった。

出航してスピードが上がる。少しずつ島原の町並み、さらには雲仙の姿が大きくなる。今回の九州西国霊場めぐりは諫早シリーズだったが、前日からここまでの景色を振り返ると、さしずめ雲仙シリーズとでもいうところかな。

穏やかな海の上をスムーズに走り、島原から約50分で大牟田・三池港に到着する。乗り場を抜けるとバスが待っていて、すぐさま大牟田駅に向けて走る。

大牟田には第6回の九州西国霊場めぐりで訪ねている。その時はレンタカーで第15番普光寺から、みやま市の第16番清水寺、第17番永興寺と回り、三池炭鉱関連のスポットも訪ねた。今回は素通りとなるが、そのまま西鉄の8時53分発の特急に乗る。第6回の時はJR利用だったので、今回西鉄に乗り通すことができてよかった。

駅ごとに乗客が増え、9時55分、西鉄福岡(天神)に到着。このまま地下鉄で唐人町に移動して、ペイペイドームでのホークス対バファローズの観戦に向かうのであった・・・。

コメント