わたしの母から音沙汰が無くなると、それは多分良くないことが起こっているのである。
だから、こちらからできるだけ頻繁に連絡を取らないといけないのだけど、冬時間の14時間の時差はなかなかクセ者で、互いにとって都合のいいタイミングが取りにくくなり、ついついまた明日、などと思ってしまって、結局はずるずると日が過ぎていく。
一昨日、予め携帯に、スカイプで話そうと送った。いつもなら、あちこちの会合やサークル活動に忙しく動き回っているので、なかなかつかまらない。
ところがその日は、1時間ほどしたら、パソコンつけたから、という返事が送られてきた。
「ごめんごめん、またこんなに日が空いてしもたわ。元気?」
「全然元気ちゃう」
あ、やっぱり……。
「どないしたん?」
「頸椎損傷」
「えぇっ!!」
頸椎損傷といっても、別にどこかから落ちたとか転けたとかではなくて、長い時間かかって、自然に骨の一部が曲がってしまったとのこと。
その曲がった部分に圧迫がかかり、血の流れが悪くなっていて、そのために歩行困難や違和感が生じているのだそうだ。
前々から、足の裏がなんだか変な感じ(健康サンダルを履いているような圧迫感)がしていて、まっすぐ歩こうとしても曲がったり、つまづいたりする。
ベッドから起き出す時、または何か用事をしていてそこから動き出す時は決まって、ゆっくりとした幅の大きな目眩がして、しかも体がとても気怠い。
聞けば聞くほど気の毒になるような症状が次々に耳に入ってきて、「いったいいつ頃からそんなことになってたん?」と聞くと、「半年以上も前から」と言う。
母は今から20年ほど前に、膠原病を発症していて、そこに疲労過多が追い討ちをかけるような形になって、重度のメニエール症にかかってしまった。
若い頃から働き尽くめで、50才近くから赤ん坊を育てるという無茶をしながら、家計の助けにと内職も続け、ほんの数年前までそれでいいと思っていた。
70才になり、初めて同い年の友達が数人できて、やっと自分のことが見えたのか、「無理したらあかん、我慢したらあかん」と言うようになった。
「特に50代はまだまだなんでも普通にできて、自分も元気で、無茶を承知であれもこれもってやってしまいがちやけど、それがあかん。あんたも気をつけなあかん。あれもやりたい、これもやりたいと思て、それをやり通してしまうと、そこに必ず無理が生じる。そやから自重せなあかん」と言われた。
「大丈夫。うちにはひとり、無理と我慢が絶対にできひんのがいるから。わたしもだいぶ影響受けてるし」
「影響受けてても、結局は性分がやってしまうねん。考えなさいよ!」
元気に気持ち良く、これからの50年を生きるため、母の言いつけを少しマジメに考えてみよう。
再検査の結果がわかる5日にまた連絡するから。ごめんな、こんな長いこと放っといて。
だから、こちらからできるだけ頻繁に連絡を取らないといけないのだけど、冬時間の14時間の時差はなかなかクセ者で、互いにとって都合のいいタイミングが取りにくくなり、ついついまた明日、などと思ってしまって、結局はずるずると日が過ぎていく。
一昨日、予め携帯に、スカイプで話そうと送った。いつもなら、あちこちの会合やサークル活動に忙しく動き回っているので、なかなかつかまらない。
ところがその日は、1時間ほどしたら、パソコンつけたから、という返事が送られてきた。
「ごめんごめん、またこんなに日が空いてしもたわ。元気?」
「全然元気ちゃう」
あ、やっぱり……。
「どないしたん?」
「頸椎損傷」
「えぇっ!!」
頸椎損傷といっても、別にどこかから落ちたとか転けたとかではなくて、長い時間かかって、自然に骨の一部が曲がってしまったとのこと。
その曲がった部分に圧迫がかかり、血の流れが悪くなっていて、そのために歩行困難や違和感が生じているのだそうだ。
前々から、足の裏がなんだか変な感じ(健康サンダルを履いているような圧迫感)がしていて、まっすぐ歩こうとしても曲がったり、つまづいたりする。
ベッドから起き出す時、または何か用事をしていてそこから動き出す時は決まって、ゆっくりとした幅の大きな目眩がして、しかも体がとても気怠い。
聞けば聞くほど気の毒になるような症状が次々に耳に入ってきて、「いったいいつ頃からそんなことになってたん?」と聞くと、「半年以上も前から」と言う。
母は今から20年ほど前に、膠原病を発症していて、そこに疲労過多が追い討ちをかけるような形になって、重度のメニエール症にかかってしまった。
若い頃から働き尽くめで、50才近くから赤ん坊を育てるという無茶をしながら、家計の助けにと内職も続け、ほんの数年前までそれでいいと思っていた。
70才になり、初めて同い年の友達が数人できて、やっと自分のことが見えたのか、「無理したらあかん、我慢したらあかん」と言うようになった。
「特に50代はまだまだなんでも普通にできて、自分も元気で、無茶を承知であれもこれもってやってしまいがちやけど、それがあかん。あんたも気をつけなあかん。あれもやりたい、これもやりたいと思て、それをやり通してしまうと、そこに必ず無理が生じる。そやから自重せなあかん」と言われた。
「大丈夫。うちにはひとり、無理と我慢が絶対にできひんのがいるから。わたしもだいぶ影響受けてるし」
「影響受けてても、結局は性分がやってしまうねん。考えなさいよ!」
元気に気持ち良く、これからの50年を生きるため、母の言いつけを少しマジメに考えてみよう。
再検査の結果がわかる5日にまた連絡するから。ごめんな、こんな長いこと放っといて。