ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

よみがえったLAPIANA

2010年02月09日 | 音楽とわたし
遠くブルックリンから、LAPIANAをよみがえらせてくれる技術者さんがやって来てくれました。
まだ30才そこそこっぽい若者ですが、ピアノ修理&調律歴9年の、ヒース・レジャー似のハンサムさん、約束の時間にちょいと遅れましたが良いことにします。

さて、なにはともあれ、まずは調律!ということで、いきなり初っぱなから2台のピアノの音を整えてもらいました。
韓国製SAMICKのベビーグランドは去年の11月に調律をしてもらったばかりですが、いつものごとく1ヶ月半後にはヨレヨレ、耳に辛い音になっていました。
440ヘルツに統一しましょう、ということで、最初の音だけ音叉代わりの機械を使っていましたが、それ以降は聴力のみで調律し始めたバートくん、
最近はどの音も機械頼りでやってしまう調律師さんが多い中、それがとっても新鮮でした。やっぱりわたしはそのやり方の方が好きです。

さて、調律が終わり、いよいよ鍵盤の調整です。

ハンマーと分けられた鍵盤。これからこの鍵盤の様々なことを整えるべく、1本1本を外しながら調べます。外された途端にただの棒に見えてしまうキー……。




その間はちょいとお邪魔なハンマーさん。床で休憩していただくことに。 



キーの端っこに置かれた水色の丸い紙は、鍵盤の高さのズレの分を示すための物です。他よりも凹んでいると、それだけ枚数を増やします。 
そして、その枚数をキーのすぐ下の台にあるポッチンに差し込んでいき、キーの位置を一定に整えていくという案配です。根気がいる仕事です。扇風機なんてもっての他!真冬で良かったです。
 


バートくんは、コップ一杯のお水だけで、7時間ぶっ通しで仕事をしてくれました。
途中3時間ほど、わたしは仕事で家を離れましたが、彼の仕事が終わるのに合わせて家に戻りました。
「長い時間どうもありがとうございました」とお礼を言うと、「ボクの方こそ、いいピアノを触らせてもらって楽しかったです。それにここはとても静かで、気持ち良く集中して仕事ができました」と言ってくれました。
「やっぱりニューヨークの町中はうるさいですか?」と聞くと、出てくる出てくる、どんなにうるさいか、どんなに酷い環境か、という話が。
「でも、ボクはもう、どんな場所でもいい仕事ができますよ」と、胸を張って言うバートくん。またできたら頼みたいなあ……。
でも、ブルックリンからはどう考えても遠過ぎます。ここまで来てもらうこと自体が気の毒です。
まあ、今後、ニュージャージーで仕事がある日があったら、ついでに来てもらえるかもね、ということで今日のところは話を止めておきました。

さて、よみがえったLAPIANA!カルロス氏に聞いてもらいたくて、夕飯も作らずに夢中で弾いておりました。
Kも3階から下りてきて、ちょっと二人で遊ぼう!と、あれやこれやと弾いているところに、旦那も仕事から戻ってまいりました。



トルコ行進曲を調子良く弾いていて、丁度Kが左手の伴奏の音を忘れて片手弾きになったところをパチリ!
ふたつの、まったく違うところで暮らしていたピアノの音が、照れ臭そうに溶け合って、なんとも温かな音が部屋に響きました。

とうとうよみがえりました!おかえりなさい、カルロスさん!
コメント (12)
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