8月の終わりからすっかり修行モードに入り込んでいたので、時間が経つのが異様に早く、ホッと一息ついてあたりを見渡すと、すっかり秋も深まっていた。
昨日は、国連活動を支援したい人達のパーティが、スコット氏の邸宅で行われ、パーティに花を添える意味であさことわたしが演奏しに行った。
彼女なら絶対にハマるだろうと思われた彼の家は、どの部屋のどのデコレーションも、雰囲気も、あるものすべてが好き!好き!好き!と絶賛。やっぱり……。
この家に住みたいぃ~!いつか彼が飽きたら、このまんまで残してもらって、この部屋のこの椅子に座って、ワイン飲みながらマンハッタンの夜景を眺めるのぉ~!
こういうことを言う時のあさこは、とても本気で真剣なので、もしかしたらそんな日が来るかもしれない、と思ってしまう。
「そんときはまうみ、シュタインウェイ、時々弾きに来ていいからね」
そう、元生徒のスコットは、古いシュタインウェイを持っている。今はもう家具と化しかけていて、昨日もわたしはそれを弾きながら、うちに来たらう~んと弾いてあげるのに……と、内緒でピアノに語りかけていた。ああもったいない……。
パーティから戻り、カーネギーの打ち上げもお祝いも全くしていなかったので、家で留守番をしていた旦那と三人で、ワインとチーズで乾杯した。
カーネギーの後、わたしは首が回らなくなったけれど、あさこもなんとなく怠い日が続き、お酒を絶っていたらしい。
旦那は乾杯をしている頃から風邪をひいたみたいだと言い出し、やっぱりなんとなく、それぞれに、疲れや緊張やなんかがたまっていたんだなあと思った。
それで今朝はなんと、10時近くまで寝坊して、家でだらだらとしながら朝食を食べた。
本当は旦那とわたしが一番好きなダイナーに行って、ブランチを食べる予定だったけれど、旦那の風邪が思っていたより酷かったので、「そんな時に行かなくていいじゃん」と、病人を放っといてでも二人で行く気満々だった冷血妻のわたしにあさこが言ったので、さすがに諦めた。
さて、なにやら懐かしいことをし始めたあさこ。
うちのシャワー室の床の黒ずみが気になって仕方がないらしい。
わたしも気になる方だけど、漂白剤にてんで弱いので、使っている洗剤ではすっきり真っ白、というところにまで至らない。
特にカーネギー前の1週間はまるで掃除しなかったし、終わってからしようと思っていたら首にきたのでまたまたやらず仕舞い。
そこに、水回りの掃除魔あさこが登場!と相成った。
わたしのダボダボのパジャマを着て、大奮闘中。手袋もマスクもしないで漂白剤かけまくって……カナダでもそうだったよねえ……。
見て見てぇ~!こんなにきれいになったよぉ~!大満足!
ほんとにもう、あんたって人は……でもありがとう、こんなにきれいになったのはここに来て初めてかもしれない。
マンハッタンに帰る彼女が乗るバス停まで、あんまりいい天気なので、みんなで散歩しながら行くことにした。
紅葉が始まっている。葉っぱがお日様の光に彩られて、どんどんきれいになってきた。
桜の木に鈴なりになっているさくらんぼ。
ハロウィーンのデコレーションも。
ハロウィーンといえばこれ。あと2週間もすると、ランタンに変身して、お菓子をもらいにやってくる子供達を迎える。
雑草もなんだかきれい。
少し早いけど、クリスマス色の我が家の垣根。
あさこは掃除が終わってから、緊張しきって張り切っている首の筋を温めながらほぐしてくれた。
彼女は、彼女自身が楽器なので、体のメンテナンスのことにかけてはとてもよく考えているし学んでいる。
今日もいろいろと、ストレッチの仕方や、物事や現象に対する考え方なんかを教えてもらった。
彼女の留学は、わたしにとっても留学なのかもしれない。あさこ、感謝!