今朝起きたら拓人が家に帰っていた。
昨日寝る間際に、なんとなぁ~くそんな気がしていた。
彼の部屋のベッドの一切合切を洗濯してしまっていたので、ベッドの上にはなぁ~んにも置いていなかった。
そして、それがちょっと気になってもいた。
夜中の2時ぐらいまでベッドの中で眠れずにいると、なんとなく足音がして、トイレの水を流す音がして、ああ誰かが帰ってきたのだな、と思ったけれど、拓人のいつもの足音では無かったので、ああ恭平だと思い、それなら布団の心配はないな、と安心して眠った。
朝起きて一階に下りていくと、玄関ドアの前に拓人の靴があり、あ~あやっぱり拓人だった!三階のあの部屋にはヒーターも無いのに、いったいどうやって眠ったやら……。
起きてきた彼は思いっきり風邪をひいていて、けれどもそれは一週間前からだということで、ホッとするやら?腹が立つやら。
「帰ってくるならくるで連絡しなさい!」
「昨日、飲みに行ってて、たまたまニュージャージーの子がそこにいて、送ったろかって言われて、ふ~ん、IKEAに行こうと思てたし、帰ってもええなあって思て、出かけたまんまで急きょ帰ってん」
ふむ……そういう事情ならまあ仕方があるまい。
「お金が貯まってから買おうと思てた家具やけど、やっぱりカードで買うことにした。きちんと返済できる分の額だけな」
ということで、彼と一緒にまたまたIKEAに出かけた。
ソファとコーヒーテーブルと本棚とラグ。
あの長方形の部屋にうまく配置できるよう、本人が時間をかけて考えた見取り図に合う物を探して、ショールームをぐるぐるぐるぐる。
どうやって車で運べるかが一番の課題だったけれど、ソファひとつでもなかなか無理っぽかったので、店員さんに尋ねることにした。
「ああ、どんだけでも好きなだけ買って、それを配送部まで持ってったらいいよ。70マイルまでだったら70ドルで届けるから」
「へ?」
ということで、配送料と税金込みで千ドルちょっとのお買い物。これがクレジットカードの返済額になるということが、かなりドキドキの様子の拓人。
小さい頃から、ビルからカードのことをうるさく言われてきたので、買い物を借金してすることにすごい抵抗感があるようだ。
わたしは横でニマニマしながら、「しっかりお気張りやっしゃ~」と励ますのみのお気楽オカン。
家に戻り、野菜てんこ盛りの豚汁を大鍋で作った。
風邪をひいて少々しんどそうな拓人には言いにくかったが、その間に、三階の部屋を徹底的に掃除するように言った。
彼が家を出て行くたびに、散らかり放題の部屋をわたしが掃除してきたのを黙って見ていた弟の恭平が、「今回もおかあさんが拓人の部屋を片付けるん?」と、声の中に「また甘やかすつもりか」という抗議の気持ちをたっぷり込めて聞いてきた。
「いや、今回ばかりは拓人にさせる」
「ならええけど……」
三階のゴミを大袋に入れては降りてきて、野菜の切り方、炒める手順などを確かめたり、鍋の中を覗きにきたり。
これから自炊を本格的に始めようと決めたので、料理そのものに興味がある。
彼が通っていた大学は、全米でも三本の指に入るほど、学生の食事環境が充実していたので、自炊をする必要があまりなかった。
なので、今度こそはの自炊生活なのだ。がんばれよぉ~!
今夜も泊まるとばかり思っていたら、「明日友達と約束してるから、今晩はアパートメントに帰る」と言って、掛け布団を抱えて行ってしまった。
昨晩、彼が適当に使った布団やシーツを片付け、今度いつ、突然戻ってきても、暖かく眠れるように整えた。
拓人と恭平の部屋の間にある、今は筋トレをする機材が置いてある部屋も、ついでにガガッと片付けた。
太陽の光が無いのでわからなかったけれど、よほど埃が舞っていたのだろう、鼻の奥が熱くなって目が痒い。思いっきりの埃アレルギー。
拓人が遠く離れた大学に入り、初めて家から出て行った後、こんなふうに鼻の奥を熱くして、目をごしごし擦りながら、それでも手を休めずに、わたしは一心不乱に、彼が居なくなった部屋を片付けていた。
そうやって片付けることで、自分の心の中も整理していたのかもしれない。
旦那もそれがわかっているので、こういう場合はいつものように、「今頃までなにやってるん?」とか、「こんな時間にそんなことしたらまた眠れなくなるのに」とか言って、途中でやめさせようとはしない。
まあ、「あんたはほんとに思いついたまんま、やりたいだけやってしまう人やなあ」と呆れてはいるけれど……。
昨日寝る間際に、なんとなぁ~くそんな気がしていた。
彼の部屋のベッドの一切合切を洗濯してしまっていたので、ベッドの上にはなぁ~んにも置いていなかった。
そして、それがちょっと気になってもいた。
夜中の2時ぐらいまでベッドの中で眠れずにいると、なんとなく足音がして、トイレの水を流す音がして、ああ誰かが帰ってきたのだな、と思ったけれど、拓人のいつもの足音では無かったので、ああ恭平だと思い、それなら布団の心配はないな、と安心して眠った。
朝起きて一階に下りていくと、玄関ドアの前に拓人の靴があり、あ~あやっぱり拓人だった!三階のあの部屋にはヒーターも無いのに、いったいどうやって眠ったやら……。
起きてきた彼は思いっきり風邪をひいていて、けれどもそれは一週間前からだということで、ホッとするやら?腹が立つやら。
「帰ってくるならくるで連絡しなさい!」
「昨日、飲みに行ってて、たまたまニュージャージーの子がそこにいて、送ったろかって言われて、ふ~ん、IKEAに行こうと思てたし、帰ってもええなあって思て、出かけたまんまで急きょ帰ってん」
ふむ……そういう事情ならまあ仕方があるまい。
「お金が貯まってから買おうと思てた家具やけど、やっぱりカードで買うことにした。きちんと返済できる分の額だけな」
ということで、彼と一緒にまたまたIKEAに出かけた。
ソファとコーヒーテーブルと本棚とラグ。
あの長方形の部屋にうまく配置できるよう、本人が時間をかけて考えた見取り図に合う物を探して、ショールームをぐるぐるぐるぐる。
どうやって車で運べるかが一番の課題だったけれど、ソファひとつでもなかなか無理っぽかったので、店員さんに尋ねることにした。
「ああ、どんだけでも好きなだけ買って、それを配送部まで持ってったらいいよ。70マイルまでだったら70ドルで届けるから」
「へ?」
ということで、配送料と税金込みで千ドルちょっとのお買い物。これがクレジットカードの返済額になるということが、かなりドキドキの様子の拓人。
小さい頃から、ビルからカードのことをうるさく言われてきたので、買い物を借金してすることにすごい抵抗感があるようだ。
わたしは横でニマニマしながら、「しっかりお気張りやっしゃ~」と励ますのみのお気楽オカン。
家に戻り、野菜てんこ盛りの豚汁を大鍋で作った。
風邪をひいて少々しんどそうな拓人には言いにくかったが、その間に、三階の部屋を徹底的に掃除するように言った。
彼が家を出て行くたびに、散らかり放題の部屋をわたしが掃除してきたのを黙って見ていた弟の恭平が、「今回もおかあさんが拓人の部屋を片付けるん?」と、声の中に「また甘やかすつもりか」という抗議の気持ちをたっぷり込めて聞いてきた。
「いや、今回ばかりは拓人にさせる」
「ならええけど……」
三階のゴミを大袋に入れては降りてきて、野菜の切り方、炒める手順などを確かめたり、鍋の中を覗きにきたり。
これから自炊を本格的に始めようと決めたので、料理そのものに興味がある。
彼が通っていた大学は、全米でも三本の指に入るほど、学生の食事環境が充実していたので、自炊をする必要があまりなかった。
なので、今度こそはの自炊生活なのだ。がんばれよぉ~!
今夜も泊まるとばかり思っていたら、「明日友達と約束してるから、今晩はアパートメントに帰る」と言って、掛け布団を抱えて行ってしまった。
昨晩、彼が適当に使った布団やシーツを片付け、今度いつ、突然戻ってきても、暖かく眠れるように整えた。
拓人と恭平の部屋の間にある、今は筋トレをする機材が置いてある部屋も、ついでにガガッと片付けた。
太陽の光が無いのでわからなかったけれど、よほど埃が舞っていたのだろう、鼻の奥が熱くなって目が痒い。思いっきりの埃アレルギー。
拓人が遠く離れた大学に入り、初めて家から出て行った後、こんなふうに鼻の奥を熱くして、目をごしごし擦りながら、それでも手を休めずに、わたしは一心不乱に、彼が居なくなった部屋を片付けていた。
そうやって片付けることで、自分の心の中も整理していたのかもしれない。
旦那もそれがわかっているので、こういう場合はいつものように、「今頃までなにやってるん?」とか、「こんな時間にそんなことしたらまた眠れなくなるのに」とか言って、途中でやめさせようとはしない。
まあ、「あんたはほんとに思いついたまんま、やりたいだけやってしまう人やなあ」と呆れてはいるけれど……。