きっともう君は、風になって、鳥になって、木の葉になって、光になって、雨粒になって、
自由に世界を吹き飛ばし、飛び、舞い降りているのだろうと思います。
昨日、最後のレッスンが終わり、車のドアに手をかけた時、突風が吹いて、大きな木から大きな葉っぱがハラハラと落ちてきました。
その中のひとつが、わたしの目の前の、車の屋根にゆっくりと着いて、それを手に取った時、ハイロ、君の声が聞こえたような気がしました。
昨日からずっと、ずっとずっと、嵐のような日が続いています。
びゅんびゅんと吹き荒れる風は、ようやく紅葉を迎えたところの日本紅葉の葉をも散らし、世界はもう、葉っぱだらけ。
空には分厚い灰色の雲が垂れ込めたと思えば、サァッと明るい陽が差したりと、やんちゃな君のいたずらは止まるところがありません。
せっかくなので、わたしも、家にこもっていないで外に出て、君と一緒に遊ぶことにしました。
といっても、仕事がまたもうすぐ始まるので、少しだけの時間、君のいたずらの証拠写真を撮りに行くだけだけどね。
ここは家から近所の、ある生徒の家に行く途中の小道です。
ついこないだここを走った時、両端に渡り紅葉の大群が赤々と紅葉していて、そのパノラマがあんまりきれいで笑えてくるぐらいでした。
君に見せてあげたかったけれど、もう君はここに来ていて、それを楽しんでから、葉っぱをこんなに散らしちゃったんだよね。
でも、ここまで道に積もると、これもまたきれいだと思える。君もそう思う?それとも、やせ我慢言ってらって思う?
そこからもう少し家の方に戻る途中で、こんな素敵なハンギングチェアを見つけたよ。
これはすぐ近くの大銀杏の木。まだこれからだっていうのに、こんなに葉っぱを落としちゃって……。
また天気のいい日にここに来ようと思います。君はいつぐらいまで遊べるの?
あれからずっと考えていたのだけれど、
一昨日の月曜日、拓人が突然家に帰ってきて、
その時点では君が家で療養していると思っていて、
一方では、ビルもわたしも、君の家のすぐ近くに居るのにも関わらず、グズグズとお見舞いを引き延ばしていて、
それでいろいろと慌てて調べたら、またマンハッタンの病院に戻っていることがわかって、
とうとう、さすがのわたしも、そして本当はビルも、絶対に行く!と決心して、
ところがビルは、急患が入っていたので、どうしても都合をつけることができなくて、
結局、拓人とわたしだけが、朝の面会時間の開始と同時ぐらいに、君の所に駆けつけることができました。
わたしはなんだか、君がそう仕掛けてくれたと思えて仕方がありません。
それぐらいのことを仕掛けないと、なかなか実行しようとしなかったわたし達を許してね。
そして、君をギリギリのギリギリまで待たせたことも許してね。
ありがとうとさよならを言わせてくれてありがとう。
拓人もわたしも、本当に救われました。
そして拓人の、心からのありがとうが、薄暗い病室の中に響いた時、君のおかあさん、奥さん、そして親戚の方々の心の中に、君が優しく強く、人の痛みがわかる素晴らしい男だったという誇りがまたひとつ、芽生えたことがわかりました。
悲しいけれど嬉しい瞬間でした。
忘れないからね、ハイロ。
君はこれからもずっと、わたし達の心の中で生き続けるよ。
自由に世界を吹き飛ばし、飛び、舞い降りているのだろうと思います。
昨日、最後のレッスンが終わり、車のドアに手をかけた時、突風が吹いて、大きな木から大きな葉っぱがハラハラと落ちてきました。
その中のひとつが、わたしの目の前の、車の屋根にゆっくりと着いて、それを手に取った時、ハイロ、君の声が聞こえたような気がしました。
昨日からずっと、ずっとずっと、嵐のような日が続いています。
びゅんびゅんと吹き荒れる風は、ようやく紅葉を迎えたところの日本紅葉の葉をも散らし、世界はもう、葉っぱだらけ。
空には分厚い灰色の雲が垂れ込めたと思えば、サァッと明るい陽が差したりと、やんちゃな君のいたずらは止まるところがありません。
せっかくなので、わたしも、家にこもっていないで外に出て、君と一緒に遊ぶことにしました。
といっても、仕事がまたもうすぐ始まるので、少しだけの時間、君のいたずらの証拠写真を撮りに行くだけだけどね。
ここは家から近所の、ある生徒の家に行く途中の小道です。
ついこないだここを走った時、両端に渡り紅葉の大群が赤々と紅葉していて、そのパノラマがあんまりきれいで笑えてくるぐらいでした。
君に見せてあげたかったけれど、もう君はここに来ていて、それを楽しんでから、葉っぱをこんなに散らしちゃったんだよね。
でも、ここまで道に積もると、これもまたきれいだと思える。君もそう思う?それとも、やせ我慢言ってらって思う?
そこからもう少し家の方に戻る途中で、こんな素敵なハンギングチェアを見つけたよ。
これはすぐ近くの大銀杏の木。まだこれからだっていうのに、こんなに葉っぱを落としちゃって……。
また天気のいい日にここに来ようと思います。君はいつぐらいまで遊べるの?
あれからずっと考えていたのだけれど、
一昨日の月曜日、拓人が突然家に帰ってきて、
その時点では君が家で療養していると思っていて、
一方では、ビルもわたしも、君の家のすぐ近くに居るのにも関わらず、グズグズとお見舞いを引き延ばしていて、
それでいろいろと慌てて調べたら、またマンハッタンの病院に戻っていることがわかって、
とうとう、さすがのわたしも、そして本当はビルも、絶対に行く!と決心して、
ところがビルは、急患が入っていたので、どうしても都合をつけることができなくて、
結局、拓人とわたしだけが、朝の面会時間の開始と同時ぐらいに、君の所に駆けつけることができました。
わたしはなんだか、君がそう仕掛けてくれたと思えて仕方がありません。
それぐらいのことを仕掛けないと、なかなか実行しようとしなかったわたし達を許してね。
そして、君をギリギリのギリギリまで待たせたことも許してね。
ありがとうとさよならを言わせてくれてありがとう。
拓人もわたしも、本当に救われました。
そして拓人の、心からのありがとうが、薄暗い病室の中に響いた時、君のおかあさん、奥さん、そして親戚の方々の心の中に、君が優しく強く、人の痛みがわかる素晴らしい男だったという誇りがまたひとつ、芽生えたことがわかりました。
悲しいけれど嬉しい瞬間でした。
忘れないからね、ハイロ。
君はこれからもずっと、わたし達の心の中で生き続けるよ。