ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

いのり

2010年11月01日 | 友達とわたし
ワールドシリーズを旦那とふたりで観戦してるところに、息子の恭平が帰ってきた。
今夜もし、レンジャーズにジャイアンツが勝ったら優勝、という、しかも、ジャイアンツのバッテリーは23才のキャッチャーと26才の長髪ミュージシャン系ピッチャーの若者コンビ、めちゃくちゃ上手い采配と投球が続いている最中だったので、大いに盛り上がっていたところだった。

「あのぉ~、せっかくのところを中断して悪いんですけど……」と、わたし達の前に立ってもじもじしている恭平を見て、嫌な予感がしたのか、旦那がさっと音声を消した。
「なに?」
あかん、様子がおかしい……胸のあたりがザワザワしてきた。
「ちょっと良くないニュースがあって」
「なによ、良くないニュースって?」……ますますザワザワ。

ため息をひとつついてから、椅子にどっかりと腰を下ろしたものの、しばらく黙っている。
車か?また事故ったか?それとも違反?それとも大学の単位?思いつく良くないニュースを頭の中で並べて心の準備をした。

「ハイロが……あと2週間ももたへんって……もしかしたらこの週の間にも……」
「……」
「医者は、生命維持装置とかつけたらもうちょっとは長引かせることができるって言うてんけど、ハイロがもういいって断ったらしい」
「なんちゅうこと……」

ハイロは拓人の同級生。まだ23才。若くして逝った父親と同じ、とても難しい種類の癌に冒され、抗がん剤治療や他の有効的な治療を受けながら頑張っていた。
彼は高校を出る前から、ゲームの得意な恭平と親しく遊ぶようになり、カミーロ同様、うちの二人の息子の共通の友達として、よくうちに遊びに来たりしていた。
カミーロはよくうちで夕飯を食べたけど、ハイロはそういえば回数は少なかった。早くに父親を亡くした彼は、父親代わりになって家の面倒を見ていたからだ。
そのカミーロは今、海軍のブートキャンプに入っていて、こちらからは全く連絡がつかない。
彼はハイロの一番の親友だった。
彼も母子家庭で育った孝行息子。まだ16才だった頃にガールフレンドとの間にできた娘を週末子育てしながら高校を卒業し、大学にも入ったのだが、養育費などの支払いや家計の援助などもあり、バイトの方にどんどん時間を費やすことになり、大学を中退した。
しばらく有名なバーでバーテンダーなどを続け、新しく結婚もし、それなりに生活できていたのだけれど、やはり将来の展望などを考えるとなにか資格を手にした方がいいと思ったのか、それとも噂通り、軍隊が好きだったのか、突然入隊すると決め、本当に入ってしまった。

どうしてるんかなあ……と、時々思い出しては息子達に様子を聞いていたのだけど、つい最近、もうほとんど完治したらしい、という知らせを聞いて、よかったなあ~ほんまに!やっぱり若いから抵抗できたんやな~と、大喜びしたところだった。

ハイロの人生にはあまり楽しいことが無かった。
顔にはいつも、疲れと哀しみがこびりついていた。
けれども彼は強かったし、時々羽目を外したこともあったけど、親思い、家族思いの優しい子だった。

早くに結婚して、奥さんがいると聞いた。
ハイロに楽しいことが起こると、それだけで嬉しかった。

死ななければならないほどに弱っている若者を、ただ「さよなら」を言うために見舞うなんてできるだろうか。
そんなことをわたし達がして、それを彼は喜ぶのだろうか。
彼は意識がまだしっかりとしていて、癌に冒された細胞が次々に死んでいくのを、為す術も無く、助けてくれる人も無いまま、ただただ現実として受け止め続けなくてはならない。
息を吸う力、心臓が鼓動を打つ力を失うその一瞬まで、まだまだ生きたいだろうその23才の若いままで。

どうしよう……。

祈ろう。心をいっぱい、わたしのすべてをかけて祈ろう。
彼の残された日々が、痛みの無い、安らかなものであるように。
悲しいけれど、悔しいけれど、辛いけれど、楽しかったこと、嬉しかったこと、幸せだったことをいっぱい思い出せるように。
そして、まだこれからの若い息子を失わなくてはならない彼のおかあさんの痛みが少しでも和らぐように。

祈ろう。
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

月曜の気功はいい感じ

2010年11月01日 | ひとりごと
二回目の気功のクラスに行ってきました。
全くの初めてだった前回に比べ、少しだけ余裕があったものの、まだまだマリアムの一挙一動から目が離せません。

クラスはこんな感じの部屋の中で、照明を暗くしたり明るくしたりしながら行われます。


ついでに、旦那のオフィスもちょいと紹介。待合室兼事務室から。


待合室の反対側。


ドアのところのネームプレート。Aikiは合気の意味です。


二階フロアを総括しているカウンター。


みんなが使えるキッチンと待ち合い場所。


このネームプレートの左横に、一階のギリシャ料理レストランへの入り口があります。


今のところ、文句言いの旦那が珍しく、割といい感じでクラスに通っています。
けど、今日も一回だけ、ププッと吹き出しそうになったとか……。
なんで?って聞くと、「いやあ、いつの時やったか忘れたけど、はい、じゃあ、◯◯をイメージして~って言われた時、拓人の声で、拓人の言い方で、「無理っ!」っていう声が聞こえてん」
はぁ~……。
それはあんさん、思いっきり自分が思たことちゃうん?
まあ、拓人の「無理っ!」にはなかなかのキャラクターがあるんですけどね……。
でもまあ、そうこう言いながらも、週のはじめの月曜日に気功をするっていうのはいいかもねと、ふたりともにこのクラスを気に入っておりますです。
長く続けられるといいなあ……なんせ一回15ドルでっさかいに……気功のためにも気合い入れて働かにゃ~!


気功の後、値下げクーポンの期限が切れないうちに、足りなくなりそうなテッシュペーパーとペーパータオルをコストコに買いに行きました。
旦那も一緒に行きたいと言うので、車を一台にするべくまず家に寄り、あんまり青い空だったので、旦那を待っている間にパチリ。


普通の平日の月曜日の昼過ぎだというのに、やっぱり満員のコストコ。まったく不思議な場所です。
この、お客があちこちに置きっ放しにしておくカートを集めて元の場所に戻すお兄さん、一番前のカートを引っ張っているように見えたので「不思議やなあ~、普通、一番前のカート引っ張ったら抜けてしまうやんなあ~」と感心していたら、



「押してるのは一番後ろのモーター。彼は進む方向を調整してるだけ。引っ張ってるわけないやん」と、思いっきりアホちゃうか?顔の旦那に言われてしまいました。

ふんっ!頭の中には魔法とか磁石とかいう言葉が浮かんでワクワクしてたのに……おもろないねんから……。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする