梅蔵ちゃんという、千葉在住の女性がいる。
若いおかあさんやけど、とても聡明で、しっかりしていて、家事もきちんとこなし、特に食事については手抜きをせん人。
地域のオーケストラの団員で、三年前に、管理栄養士を目指して大学生になり、それからはてんてこ舞いの毎日。
そんな暮らしの様子が書かれた彼女のブログ『
andante con moto』を読みながら、わたしはいっつも感心したり唸ったり、
こんな奥さんの旦那さん、こんなおかあさんの子供達は、どんなに幸せやろか……と羨ましゅうなったり(おいおい……)。
ところが、今回、原発事故が起こり、汚染が関東(千葉)地区にも蔓延しているというニュースを聞くたび、彼女のことを心配してた。
いったいどないしてるやろ。彼女のような人やからこそ、どうしていくつもりなのかを知りたい……。
けれども、彼女のブログには、原発のことや汚染のことは一切書かれることがないまま日が過ぎていき……。
たばこ原料乾燥葉から、放射性セシウム217Bq/kg検出?!
の記事に、突如、梅蔵ちゃんがコメントをしてくれたのだった。
まうみさんへ (梅蔵)
まうみさん……うちねえ、ホットスポットなんですよー、関東の……。
けっこうきついんですわ、精神的に……。
ほっんまに苦々しい。東電……。
保育園のママ友のうちに、旦那さん東電の人いますねん。
3月末に家族でグアム旅行行ってましてん……。
「うちは部署違うからね」って、3月末ですよ!!
20日くらいだったと思うんだけど……。
信じられます???
東大卒の、東電でもエリート君です、その旦那さん。
オール注文で1から10まで特注の、本物の暖炉のある新築の家に住んでます。
その家族、ダブルインカムだっていってもね、その後もローン、払えてるんだなあ、って……。
半年経って思いますねん。
ここいらあたりは、すごくおいしい野菜がたくさんとれる所だったんですよ。
今でも、とれてるし、流通はしてますけどね。私はもう買えないです。
昔は畑から直に買ってたくらいやった。
今は農家の新鮮な野菜を横目に、なるべく遠くの野菜買うてますねん。
ほんま、むかつきますわ。あの豪華な友人宅の煙突みるたびに。
税金投入するまえに、東電の給料、世の中の平均所得以下までさげたらええのんとちがいますか?
その差額で除染してよって思うねんけど。
除染して出来た大量の放射性の土砂は、原発の敷地にお返ししたらええ。元にあった場所に。
そら、双葉町とかの人は気の毒やけど。
だからって、日本中が広く汚染されたら、もう西の物も食べられへんくなってしまいますやん。
「瓦礫の最終処分場は福島県外で」なんて言ってた議員いたけど、あほか、おもいますねん。
協力て、そう言う事と違いますやん。
もう、言いたい事たくさんです。ほんまにもう……。
梅蔵ちゃんへ (まうみ)
梅蔵ちゃん……ほんまはわたし、ずっとずっと梅蔵ちゃんちの周辺は大丈夫なんやろかと、気になってかなんかってん。
けど、梅蔵ちゃんはまるっきりその件に関しては言葉にしてないし、
それはまあ、言葉にできひんほどに気になってることなんか、
言葉になんかする必要のないことなんか、
そのどっちなんやろ……とずっと思ててん。
ホットスポットやなんて……。
ようその男、いけしゃあしゃあと、部署ちゃうからねって……。
梅蔵ちゃんの横に立っとったらわたし、掴みかかってたかもしれんわ。
今話を読んでるだけでもむちゃムカつくわ。
どんだけ無責任やねん。
どんだけ阿呆やねん。
やっぱりそんな会社、もういらんわ。
そんな阿呆は、もういっぺんまともな社会に放り込んで、一から人生学ばせなあかんわ。
なにがダブルインカムやねん?
なにが暖炉やねん?
なにがカスタム仕様やねん?
そらね、別に今回の事故は、そいつのせいでもなんでもないよ。
けど、自分が所属してる会社の不始末やんか。
それも、半年もずっとろくな進展も無い、地球は汚されまくり、日本もボロボロ、
どんだけ深刻な事態を作ったと思とんねん!
ちょっとは生き方自粛せえっちゅうねん。
地域の、そこがホットスポットになんかなってるんやったら、
せめてその除染を先頭立ってせえっちゅうねん!
東電、なめとんのか!こら!
梅蔵ちゃん、あかんわコレ!もう絶対あかん!
どっかに投書しぃ。東京新聞に投書しぃ。
税金やら電気料金やら上げる前に、まず東電の中で金作れって。
今まで通りの給料やらボーナスやらが存在してるんやったら、もっての他や!
どの面さげて大人やっとんねん!
むかぁ~~~~~~~!!!!!!
梅蔵ちゃん、もっと言いたいこと無いか?
まうみさんへ (梅蔵)
まうみさん、私の叔父が東電なんですけどね……。
もう20年くらい前に、原発のこと話した事あるんです。
私は、原発は昔から反対だったから、叔父に「原発はいらないでしょう?そんなに電気いらないでしょう?だいたい、原発ってコストは安くはないんじゃないの?」って聴いたんですわ。
答えは、「これからの日本には、原発は絶対必要だから。他にないから」って。
まず、原発ありき、やってんですよ。疑問をもたない。
そういう企業経営の不始末です。
私、東電がスポンサーの、料理番組のコーディネートの仕事してましてん、昔。
多分、IHコンロが初めて料理番組で使われたの。
使ってみての感想。
「こんなもん普及したら大変な事になるやん……」て。
IHコンロのその当時のコンセプトは「きれいな空気でお湯をわかす」でした。
そのコピー聞くたびに「あほか?!原子力で作った電気のどこがきれいやねん!!!!」て叫んでた。
明るすぎる路地の街頭も、あったかい便座も、自動販売機も、自動ドアも、10段くらいしかないエスカレーターも、窓の開かないマンションの部屋の空調も、
全部電気やん!!いらんやん!って叫んでた。
みんな私を笑ったよ。
でもね、最悪のシミュレーションが現実になった今でも、1人が叫んでも、やっぱりなんにも変わらんよ、まうみさん。
声に出せば、変なひと扱いや。
みんな、前と同じように普通に暮らしてる。
家の裏の茂み、今でも0.9μsv/hあるらしいです。
そんな場所でも、みんな、3/15以前と同じ生活してはりますわ。
そんな中で、出来る事はやって、なるべく被爆を避けてきたけど、少し疲れてきましたよ……。
気軽に引っ越せたらいいのにね。
梅蔵ちゃんへ (まうみ)
あのね、梅蔵ちゃんが残してくれたコメントを、今朝起きてすぐに読んで、
けどそれから、生徒が来て、
終わったらまた今度は、遠く遠くからわざわざ来てくれてる、声の出し方をちょこっと教えてる友人が来て、
そうこうしてる間に、カナダから来てる友人夫婦がマンハッタンから戻ってきて、
みんなと一緒に夕飯食べに行って、
戻ってからまた、あ~だこ~だと話に花を咲かせてて、
ほんで今やっと、ひとりになれたんやけど、
ずっと梅蔵ちゃんのこと考えててん。
梅蔵ちゃんのおじさんのこと、
梅蔵ちゃんがずっとずっと昔っから、原発に反対してたこと、
梅蔵ちゃんが気づいた現実を、一所懸命に伝えようとしても、誰も聞く耳を持たんばかりか、変人扱いしたこと。
梅蔵ちゃんはきっともう、すっかり疲れてるんやろね。
ほんで、すっかり呆れてる。
物事の本質を知らん、わからん、わかろうとせん、
いったい自分がどんな世界に居るのかに、ものすごく鈍感な人達に。
その疲れは、わたしのそれとは桁違いに、長年の澱みたいに、ねっとりと心の壁の内側にへばりついてるのやろなあ。
現実問題として、その0.9μsv/hっていう数字、梅蔵ちゃんとしてはどう思てるの?
気軽にできる引っ越しなんて、どの人にも無いけど、
ましてや梅蔵ちゃんちみたいに、まだ小さな子供がふたりもいて、
しかも、それぞれに、自分の世界がちゃんと確立してるような家族は特に、
全然予定になかった引っ越しを、今すぐして欲しい言われても、なかなか決心つかへんよね。
ただ、その数字は、わたしのこの、3.11以降に慌てて学んだ乏しい知識で考えても、かなり恐いように思うのやけど……。
これがいったい、どういう理由で飛んできたのか、
この数字は、的確な除染次第で、なんとか下げてもらえるのか、
下げてもらえたとして、今もダダ漏れの汚染がまた悪さをせんのか、
それを調べてもらう伝手とか無いの?
梅蔵ちゃん、
わたし、思うねんけど、
梅蔵ちゃんが言うた、1人が叫んでもやっぱりなにも変わらんっていうの、
わたしはそれでも、そうかな?と思う。
すぐには変わらんでも、梅蔵ちゃんが叫んだその声は、きっと誰かの耳から心の隅っこにでも届いてて、
いつか、その人に、自分のことをちゃんと考えるチャンスが来た時、
梅蔵ちゃんの声が、フッとよみがえってきたりするかもしれん。
ほんで、その声を聞いたその人の、その時の気分や、環境や、タイミングなんかがいろいろと重なり合って、
その人は、そうや、変わらなあかん!と気づくかもわからん。
わたしは少なくとも、そのことを夢見ながら声を上げてるねん。
今すぐには無理でも、2年3年、5年10年と、月日が経ってからでもええねん。
できたら生きてる間に、大きな変化の波が、日本中うねるのを見届けたいと思てるのやけど。
今、普通の暮らしを続けてる人達の中には、こんな人もいるかも。
それは例えば、つい半年前まで、病気ひとつしたことがなかったのに、
いきなり医者に呼び出されたかと思たら、「はい、あなた、癌になるから」って宣言されて、
けど、そんなこと言われても、体のどっこも悪ないし、原因になるもんなんか想像もつかへん、みたいな……。
そやし、認めたくない、そんなはずない、大丈夫やと思いたい。
そういう、いわゆるパニック状態になってるんかも。
それはきっと、余計に命を縮めることになるかもしれんけど、
でも、そういうリアクションは理解できると思えてきた今日この頃です。
とにかく梅蔵ちゃん、このことについては、もっともっと気持ちを聞かせて。
まうみさんへ (梅蔵)
こんばんはー。
まうみんさん、私、3月15日(3号機までヤバくなった日です)くらいから覚悟モードに入ったんです。
この段階で、メルトダウン以上の事態だ、と確信していました。
まず、昆布とヨウ素(イソジン)を購入。
これは反対意見もあったけど、私はヨウ素剤の代わりに少しずつ口にしました。
我が家の周りがホットスポットになるかもしれないと言う事は、その段階で覚悟しました。
チェルノブイリのとき、被爆者が多く出たのは、ウクライナの方。
ドーナツ状に、半径200KMくらいと言う事は、予備知識として持ってました。
ちょうどうちは、原発から200KM。
風向きと天気予報を自分で解釈しながら、行動を決めてました。
3月22日。
雨が降りました。
風向きから、この辺りがホットスポットになることを予感しました。
そして、その雨に、絶対子供たちを触れさせてはいけない、と思いました。
換気扇をとめ、家から全く出ず。
その後は、舞い上がるホコリを避けるため、徹底して内部被爆対策をしました。
6月いっぱいは、子供にもマスクをさせてました。
ママともには「え??放射能対策??まじ??」と言われるので「花粉症だよ~~」って言ってました(そう言う雰囲気です。みんな普通に暮らしてます)。
金町浄水場から、高濃度のヨウ素が出たとき、我が家の浄水場は、まだ何の警告も出ていませんでしたが、
同じ江戸川水系だということは調べてあったので、この水は飲んではいけない、と、友人にもしらせました。
実際、数日後には、我が家の水道でも同じことになりました。
初期の被爆対策は、かなり出来たと思っています。
これは、おそらく非常に大切な事だったと思うんです。
その上で。
現状で転居をしないのは、第1には仕事や、大学の事があります。
第2に、今、私が住んでいるのは、夫の会社の宿舎の4階なんです。
そのメリットも考えての事です。
放射線量も、4階ベランダまでくると、0.1μsv/h以下まで下がります。
それに、夫の会社は、かなりきちんとしたところなので(JAXA)、0.9μsv/hの植え込みの除草も、速やかに行ってくれました。
そもそも、放射線量の数値も、会社が機械を貸し出してくれて、社宅の自治会で測ったものです。
地震当日も、筑波から宿舎までバスを手配してくれて、宿舎に住む住人は、帰宅難民にはならずに済みました。
会社の庇護の元に、固まって暮らすメリットもある、と考えています。
それと私は、今ホットスポットと呼ばれている場所だけが、放射線量が高い訳ではないと思っています。
計測されていないか、発表されていないだけ。
ホットスポットは、ドーナツ状になっている筈です。
だから、実は、ほんの少し遠くに越しただけではあまり意味が無いだろう、と思っています。
仕事と大学を続けられる所に引っ越しても、あまり変わらない……。
甲状腺がんに関しては、チェルノブイリほどの発症は起こらないだろう、というのが私の考えです。
日本は昆布を常食してきたので、特異的にヨウ素を摂取し続けてきた民族です。
甲状腺の中のヨウ素は、飽和している人が多いのではないか、と思うのです。
ですから、原発事故後の被爆での、ヨウ素131の体内への取り込みは、それほど多くないのではないかと思います。
(ヨウ素は、世界的には不足している地域が多いので、そこでは甲状腺にヨウ素が取り込まれやすいのです。チェルノブイリもそういう地域です)。
セシウム、ストロンチウムあたりが、今最も私が恐れている放射性物質です。
肺がん、骨癌、白血病。
引っ越す事で軽減できるのか?
でも、食べ物はどこに越しても、それなりに汚染されています。
そして、プルトニウムが最も怖いです。
プルトニウムの拡散は、チェルノブイリではなかったはず。
再処理燃料、という技術もなかった時代です。
だから、データが無い。
予想がつきません。
ただ、重たい元素なので、風に乗ってここまで来る事は無い、と考えています。
でも、魚は海を移動します。
内蔵ごと食べる魚は、怖い。
そんな事を考えながら、口にするものを厳選しつつ暮らしています。
こどもたちには、放射線量の高そうな所を教えています。
が、子供が好きそうなところが多いんですよ……実際には。難しい。
生活と、科学のつたない知識と、食べ物の流通と。
いろいろな事を考え合わせて、今のところ、ここにとどまっています。
見通しは楽観的に、対策は悲観的に。
今はそうやって暮らしてます。
声を上げることも大事ですが、今は、自分の足下で出来ることをやるしかできないです。
何もしない楽観的な人に「それじゃだめだ!」と言う気はないけど、どうにかしなきゃ、と思っている人とは、緩やかな連携を持って対応して暮らしています。
お互いの家で子供を遊ばせて、外遊びを減らす、とか、そんなことくらいですけれど。
大学で、食べ物の放射線量を減らす調理を実験したいけど、機械が無いかな、むりかなあ。
卒論のテーマにできたらいいんですが。
まうみさん。私の行動、どう思われますか?
梅蔵ちゃんへ (まうみ)
とんでもなく忙しい梅蔵ちゃんに、いろいろと質問してごめんね。
こんなことをわたしに説明している時間も惜しいぐらいなのに……でも、ありがとう、梅蔵ちゃんのこれまでの軌跡がよくわかりました。
そして、何よりも、3.12があってやっと、ちゃんと考えようなんて思い始めたわたしなどと違い、
ずっとずっと前のから、うんと若い時から、疑問を持ち続けてきた梅蔵ちゃんだからこそ、
書いてくれたような対処が、適時にきちんとできたんやと、それがもう、言葉にすると変な表現やけど、嬉しかった、ほんまに。
梅蔵ちゃんが動けないのでなく、動かないことを選んだ理由や事情を読みながら、
自分ならどうしたかを、ずっと今日一日考えてました。
もしわたしが、梅蔵ちゃんのように、原発そのものや、原発事故後の現実をきちんと冷静に把握できる知識と持ってたとして、
その上で、梅蔵ちゃんと同じ暮らしをしていたらどうしていたか……。
初期の内部被爆については、梅蔵ちゃんほどのことをできた人は、いったい何人いはるやろね。
ただ、今も続いている汚染は、実際全く見えないし匂わないから、
データを、それも、他人からの受け売りに過ぎないデータの中から、自分が正しいと思うものを選んだに過ぎないデータを寄せ集めて、
そこから予想できる限りの情報を得ていくしかないのでしょう?
もしかして、梅蔵ちゃんは、独自の、もしくは、会社なり大学なりが精密に測定したデータを手に入れることができたりするのかなあ。
梅蔵ちゃんの旦那さんの会社のように、社員を大切に思い、適切な行動がとれるよう、いろいろと配慮してくれる会社があるってことを知って、それにもすごく励まされた。
梅蔵ちゃんは子供を二人産んで、旦那さんがいて、家事を人並み以上に丁寧にして、
その上、新しい世界を学ぼうと大学に通い、たくさんの実技や宿題を抱えながら、子供達の習い事の練習にもきちんと付き合い、家族の健康を考えた食事を作ってる。
わたしからすると、もう、スーパーウーマンとしか言いようのない人。
そんなあなたが、とどまることを決め、自分の足元でできることをやるしかないと決め、どうにかしなきゃ、と思っている人とは、緩やかな連携を持って対応して暮らす、と決めたのなら、わたしはその決定を尊重したいと思います。
そうやって、いろいろなことがわかっていながら、それでもそこにとどまることが適切である、と思えるなら、
それが親として、妻として、ひとりの梅蔵ちゃんという、この世にたった一人しかいない、かけがえのない人生の所有者として、
できる限りのことに注意して暮らす梅蔵ちゃんが、声そのものなんだと思えるからです。
ただ、ひとつだけ、これを言っておきたいと思います。
梅蔵ちゃんが言う覚悟というのは、どういうことを意味しているのか、想像するしかないのだけれど、
その覚悟の延長に、もしかしたら、自分をはじめとする、家族の、特に子供たちの、健康被害を目の当たりにする現実が有り得るってことだよね。
わたしは多分、そういう覚悟をするぐらいなら、とにかく逃げて、逃げて逃げて、もちろん、狭い国なんだし、今の原発村の連中の企みが阻止できない限り、汚染はどんどん全国に広がっていくのだけれど、
それでもやっぱり、それなりに汚染されている、ぐらいでとどまっている所を目指して、まず移動すると思います。
なんでこんなことになったのか、なんでわたしが仕事を辞め、生徒達を見捨て、旦那にも、やっと得た職を手放させ、子供たちの環境もぐちゃぐちゃにして、見知らぬ土地に引っ越して苦労せなあかんのか、そんなことをふと思って腹を立てるとは思うけど、
それよりもまず、恐ろしい放射能から逃げることの方が頭の中を大きく占めていて、まず体が動いてしまうと思います。
これまでの人生がそういう生き方だったし、気がつくと、ついそういう形で決断して、全く想像もしていなかった世界で生きている自分に、自分でびっくりしたことが何回かあるので。
だから、本当に人それぞれ。
わたしは、ただただ、人から得た情報を元に、自分の思うことを声にしているだけなので、その行動を無責任だと非難する人もいると思います。
けれども、どうしても、黙っていられないのです。
こんなことを誰も聞きたくないだろうに、と思いながら、記事を書いていることも何度もありました。
だから梅蔵ちゃん、
わたしはただただ、梅蔵ちゃんと梅蔵ちゃんの家族の方々の、安全と健康と未来のために祈ります。
まだ実際に会ったことも無い人だけど、わたしは梅蔵ちゃんのことが大好きで、大切に思っているからです。
梅蔵ちゃん、このコメントに書いてくれたこと、記事に載せてもいいですか?
梅蔵ちゃんが話してくれたことを、たくさんの人にも知ってもらいたいなあ、と思いました。
でも、プライベートなことだから、嫌なら載せない。
とにかく、梅蔵ちゃん、わたしのような役立たずに、いっぱい話してくれてありがとう。本当に本当にありがとう。
梅蔵ちゃんの毎日が、無事に続いていきますように。
まうみさんへ (梅蔵)
まうみさん、こんにちは。
一日半くらい、いろいろと考えていました。
ここの放射線量について、高いけど、生活すべてを捨てて逃げる程なのか、3月から考える毎日です。
結局。家族の中での危機感の差もあるのです。
夫は現状で問題ない、と考える人。
その夫を見限ってまで行動に移すことは、私には出来ないのです。
夫の反対のなか、母子だけで、九州の実家に引っ越した知人も居ます。
旦那さんの様子をみると、家族としての今後はどうなるのだろう。
10年後にこの家族はまだ家族で居られるのだろうか、と疑問をもちました。
我が家の夫もそのタイプ。
そして、子供の頃からの夢をかなえた夫の仕事を変えてまで、家族で逃げるというのか……。
それとも、ホットスポット以外の近くに越すのか……。
何も考えず、ここに住み続ける人も居ます。
考え抜いて、あらゆる対策をして、ここに住み続ける人も居ます。
私は、後者を選んで暮らしています。
同じ意思をもってここに住む友人たちと、知恵を分かち合いながら暮らしています。
学校や地域に、母親としての声を届けながら暮らしています。
子供たちの命を縮めて暮らしているのか、そうでないのか。正直、わからない。
けれど、今は出来ることをやり続け、影響を少しでも減らしながら暮らしてゆくことを選びました。
私の文章、どうぞお使いください。とっても感情的ですが……(恥)
梅蔵ちゃんへ (まうみ)
こんな話をしている時に、急に姿を消してしまっててごめんね。
どうしても、パソコンをつけるところまで回復しなくて、地団駄踏んでいたのでした。
梅蔵ちゃんが、いろんな思いの中から、少しずつ少しずつ吐き出してくれた言葉を、わたしはもう何回読んだだろうか……。
読んでは考え、また読んでは考え、わたしの思いと混ぜ合わせてみたり、分けてみたり。
もっと梅蔵ちゃんの身になって考えないと……と思いながら、ふと気がつくとまた、自分本位の思いが頭の中を駆け巡っていたりして、
いったいどうして、梅蔵ちゃん達が、こんな思いをして暮らしていかなければならないのか、
なんでこんなことになってしまったのか、
結局はそこに戻ってしまってムカついて仕方が無かったり……。
旦那さんとのこと、子供の健康への疑問、家族、夫婦の在り方、
そうだよね、結局は何を重点に置いて考えるかってことだよね。
そして、どこの時点を見て考えるかってことでもあるよね。
その、梅蔵ちゃんの知り合いで、旦那さんを残して避難した奥さんは多分、
今の暮らしの継続よりも、5年後10年後の、子供と自分の健康がマシかもしれない、という、これも単なる賭けに過ぎないかもしれないのだけれど、それを選んだんだと思う。
夫婦の在り方として疑問は残るけど、子供の健康にとって良いと思われるのは?という問題を話し合ってみて、
それで意見が真っ向から対立してしまった場合、どちらかが折れることになるんだけれど、
折れたことで、例えば数年後に、子供が運悪く、とても深刻な病に冒されてしまった場合、
その姿を見ながら看病する暮らしが始まった父親と母親は、そこできっと、お互いを、あるいは選んだ自分を責めることになる。
そんなふうになったらもう、健全な関係を保てるだろうか?
そんなことになるぐらいなら、今決断をして、それでもなんらかの病気になる可能性もあることを覚悟した上で、行動に出ようと思う人がいてもいいよね。
でもやっぱり、そんなことをうだうだと考えているだけのわたしの意見など、なんの参考にもならないと思う。
参考になんかして欲しくないし、うるさい!もう黙れ!って思ってもらってもいい。
こんなふうに梅蔵ちゃん達若いおかあさんおとうさんを悩ませている奴らは、のうのうといつも通りに暮らしている。
それがもう、どうにも腹が立って仕方が無い。
誰か、うんときつい罰を与えられる人はいないのかな、なんて、子供みたいなことを思ってしまう。
梅蔵ちゃん、許可してくれてありがとう。
これから、梅蔵ちゃんの話してくれたことをブログに載せます。
ありがとう。