僕たちがハンストをする理由
将来を想うハンガーストライキ - Hunger Strike for the Future in Tokyo
19歳、20歳、21歳、22歳の想い
金ちゃん・1991年生まれ(平成3年)・twitter: @HungryKinchan
岡本直也です。小学校の頃に金髪だったから、通称・金ちゃんで呼ばれてます。
中国電力が2009年9月に上関原発の埋め立て工事を始め、僕は10月から、30年間反対運動をしてきた、祝島(原発建設予定地の対岸4kmに浮かぶ島)の人たちと一緒に、カヤックに乗って抗議行動をしていたカヤック隊として活動していました。
抗議行動は毎日続いて、誰かがいないと工事が始まってしまう状況が福島原発の事故前までずーっと続いていました。
それまでは、カヤック隊と祝島の人たちが協力しあいながら毎日座り込みや、カヤック、漁船などで中国電力の工事を止めていました。
祝島は漁や農業で生活し、暮らしています。
冬には海でひじき、もずく、わかめ、を採り、夏には岩ガキやサザエ、あわびを採る。
農業も季節によって色んな農作物を作っています。
僕たちの命もこの自然の恵みを糧にして生きています。
10億円以上の漁業補償金の受け取りを拒否している祝島の漁師さんたちは、
いつものように海の埋め立て工事に来る中国電力に、「私たちは海を売っていません」と、自分の船より何十倍も大きな作業船に抗議しに行ってました。
故郷を守り、命を守り、命の糧となる自然を守り、これからの世代に受け渡していくためでした。
原発事故は、その代々受け継がれていた土地や文化、海を一瞬にして放射能で汚染してしまいます。
原発が残す放射能という目に見えない有害な物質。
事故が起きなくても、海は埋め立てられ、毎秒190トンの放射能が混じった、温度が7度も高い温廃水が、海に垂れ流され続け、放射能のゴミが残されます。
僕は祝島の人たちが守り続けてくれていた自然を、受け継いで守っていきたいと思う。
原発の電気を使うために失うもの、犠牲になるもの、残されるものは、とてつもなく大きい。
「こんなにも命、暮らしを脅かす発電所は、もう止めて欲しい」
今、新しい内閣になって、原発の方針が決められていく中で、若い世代が原発に対して声を上げることが、すごい大切なことなんだと思います。
僕たちは、今と未来への真剣な想いを、ハンストを通して示していきます。
幹太・1990年生まれ(平成2年)・twitter: @nandakandakanta
2009年に、上関原発の問題を通じて、原発問題に興味を持ちました。
電気を使う者として、他人事ではないことに気づかされました。
当初、なかなか報道されなかった問題の現地を、自分で見に行き、住民、作業員の話を聞き、自分なりに理解し勉強してきました。
そして、
一人でも多くの人に、タブーとされている問題に触れ、考えてほしくて発信をしてきました。
3.11から半年、走り続けてきた自分の意思を、示しときます。
しおり・1992年生まれ(平成4年)・twitter: @stophamaokaYN
こんにちは、今都内で大学生をやってます、しおりです。
わたしは、いままで頼ってきた原子力というエネルギーから、卒業したいと思っています。
3.11のあと、原子力発電によって、原発の近くに住む人・事故でヒバクした人・未来の命・被ばく労働者……、
自分も含めて、たくさんの命がおびやかされていることを改めて感じて、一人ひとりのいのちを尊重する社会にしたいと思うからです。
ハンガーストライキについて、いのちを大切にしたいなと思っているのに、ある意味、自分の頂いた命を粗末にするような方法で発信するのはどうか、と思われる方もいるかもしれない。
他の方法があるんじゃないかと思うかもしれない。
もちろん私は、未来のエネルギー政策について現実的に、これからどうしていくべきかを、
電力会社の方、役所の方、一般市民が話し合って、国の方針に関わらず決めて行くための場を地元で作ったり、大学で仲間と勉強会を実施したり、
ハンガーストライキ以外の方法で、原発のない社会を目指す活動もしています。
でも、日本のエネルギー政策を決める局面にある今、若者の想いを発信するアクションも必要だと思うんです。
もちろん、他にもっといい方法があれば私はそれをしたいし、むしろ教えて欲しい、一緒にどうしていくべきかみんなで考えたいです。
この10日間のハンガーストライキを、成功させることが目的なのではなく、
「原発によって脅かされる命」「未来の社会」について、私たち若者が真剣に考え、原発のない社会を作りたいと思っていることを、多くの人たちに知ってほしいです。
原発について、そして未来の社会について、それだけ真剣に考えていることを、多くの人たちに知ってもらうことかが目的です。
私たち若い世代は、原発の負の遺産を、これ以上背負いたくない、
そして最も放射能の影響を受ける子どもたち、その子たちに繋がっていく命に、これ以上の負の遺産を残したくありません。
今、既にある放射性廃棄物や漏れてしまった放射物質をどうするかを話し合える、次のステップに行きたい。
最後に、
たくさんの方の協力に感謝しつつ。
関口詩織
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一言
たくさんの方の想いでお腹いっぱいです。
ありがとう。
どっきょ・1989年生まれ(平成元年)・twitter: @masssssann
本名は山本雅昭。
今、埼玉の獨協大学に通っている学生です。
3.11の地震があってから初めて原発の危険性を知りました。
猛毒をエネルギーにして電気を発電して、この猛毒をどうにも捨てることができない。
どんどん溜まっていく。
僕は原発をこのように認識してます。
放射性廃棄物をガラス固化体にいれて、地下300メートルに処分すると言われているけど、この放射線が消えるまでに10万年かかります。
こういう未来が確定されました。
でも、こうなってしまったのは、政府や電力会社だけの責任ではなく、僕たち国民にも責任があると思います。
だからこそ、自分の為に、自分のまわりの人のために、自分の将来の子供たちのために、この原発の問題について、未来について、もっとみんなと一緒に考えたい。
政治家や原子力安全委員、行政の方々、電力会社に勤める方々、国民一人ひとりが、この状況を変えられる力を持っていると信じてます。
現在、この原発問題を巡って、様々な立場の中で対立関係が生まれてしまっている。
でも、僕たち一人ひとりは同じ日本に住む人間です。
対立の中で解決の糸口を探すのではなく、立場を超えて、みんなが目指せる未来を探していきたい。
今、それが必要とされているのだと思います。
僕はこのハンストを通して、この日本に住む人間として、自分の思いや考えを発信していきます。
そして、希望を見つけたいです。
『声明文』
声明文は請願書として9月21日に経済産業省に提出しました。
声明文
福島第一原子力発電所の事故で多くの方が故郷を追われ、また、暮らしそのものを奪われました。
この原発事故が収束するまで、放射能が大気中と大地と海に垂れ流しにされます。
一度事故が起きてしまったら取り返しがつかなく、誰も責任が取れないことが明確になりました。
それだけではなく、原発は事故が起きなくても大量の温廃水などで自然環境を破壊し、何万年も管理しなくてはいけない大量の核のゴミを生みだします。
私たち若い世代には、すでに日本の54基の原発が生んでしまった、半永久に消えることない核のゴミと福島原発から漏れ続けている放射能を残されてしまいました。
しかし震災後も、新規立地計画されている上関原発建設予定地では、休みなく原発建設のための環境調査工事を進めています。
泊原発も国民になんの説明もなく営業運転を始めてしまいました。
私たち若い世代は、原発の負の遺産をこれ以上背負いたくありません。
そして最も放射能の影響を受ける子どもたち、その子たちに繋がっていく命に、これ以上の負の遺産を残したくありません。
私たちは命の糧となる自然や、命そのものを大切にすることを政策に反映してもらうように請願し、ハンガーストライキを10日間行います。
これは、これからこの地球で生きていく私たちの願いです。
請願内容
内閣総理大臣・野田佳彦 様
経済産業大臣・原子力経済被害担当大臣 枝野幸男 様
文部科学大臣・中川正春 様
外務大臣・玄葉光一郎 様
環境大臣・原子力発電所事故収束及び再発防止担当大臣
内閣府特別担当大臣(原子力損害賠償支援機構)・細野豪志 様
上関原発をはじめとする新規建設計画を白紙撤回してください。
放射線量が高い、福島県内や周辺の県に住む方々の健康管理や避難後の生活面での保障、また事故による損害の補償を行なってください。
各原発の再稼働を検討する前に、原発事故の危険性と事故の責任の取り方を全国民に説明してください。
福島第一原発のような悲劇を、他国で繰り返さないため、原発輸出はやめてください。
原発、もんじゅ、再処理工場など全ての原子力施設の廃炉と省エネ・自然エネルギーの社会に向けた方針へ転換してください。
以上
この若者達が、水と塩だけで10日間を過ごし切りました。
少しずつ痩せていくように見えた彼らの様子を見ながら、同じ年頃の子を持つ親として、本当に体に支障が出ないんだろうか、
いざという時に対処できる医師が待機してくださっているんだろうか、などと心配しました。
それと同時に、日一日と、彼らの表情が穏やかになっていくことにも気がつきました。
彼らの思いを、心でしっかりと聞いてください。
そして受け止めたら、自分でしっかりと咀嚼して、自分の言葉にして外に発信してみてください。
一言でもいい、少しずつ、少しずつ、慣れてきたらもう少し、
『私たち若い世代は、原発の負の遺産をこれ以上背負いたくありません』
という、若者達の願いを、わたし達大人も一緒になって頑張って、叶えてあげましょう!