ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

原発、あかんあかん!VS ええんちゃう? 小出氏 VS 澤田氏、それぞれの思いを語る!

2012年03月08日 | 日本とわたし
膨大な量の文字起こしをしてくださったトキコさんのブログ『ぼちぼちいこか。。。』より転載です。







前略

まずは、これからの原発政策がどうあるべきかという、この原発に対して今思ってらっしゃること、このお立場……、
日ごろの主張
を、皆さんに判りやすい形で、一言ずついただけますでしょうか。
小出さんからお願いできますか。
(小出氏)はい。私はもう40年間、原子力というのは一刻も早く辞めるべきだと言ってきましたし、残念ながらそれができないまま去年の事故を起こしてしまいました。
ここまで来たのだから、皆さん目を覚まして、即刻原子力を全廃する、という方向に行ってほしいと思います。

(水野氏)『即刻全廃を』というのが小出さんの考えです。
(小出氏)はい。そうです。
(水野氏)では、澤田さんはどんなふうにお考えでしょう?
(澤田氏)そうですね。そういう意味では小出さんとだいぶ違うんですけれども、反対っていってもいいんでしょうけど。
私は、なんて言いましょうか……一言でいうと続けていくべきだと。ただ……

(水野氏)「原発を続けていくべきだ」と。
(澤田氏)はい。ただ、今回、大震災の地震と津波でですね、福島第一がああいう形になりましたけれども、
あの地域に他にも、まぁ小出さんが昔から関わっておられる女川とか、それから東海とかもあるんですけれども、
女川発電所は、80年代に建てられた3基が、いずれも一応、安全に停止してるわけですね。
そういうことが何を意味するのかというのを、もう一度考えて、私は、妥当な形で、原発っていうものは、日本のエネルギー政策の中で位置を占めるべきだと、そういうふうに思っております。

(水野氏)はい。『妥当な形で続けていくべきだ』、というのが澤田さんのお考え。

中略
 
リスナーの方が言ってくださってるんですが、
「この原発を、推進するべきだ、というお考えの方達って、なかなか今、学者の方で、表に立ってマスコミでお話なさるっていうのが少なくなってるようなんですよね。
そうした中で、澤田さんがお話なさるっていうのは、相当の信念がおありだと思いますし、今日のお二人の話は聞き逃せません!」
っておっしゃってるんですけど、近藤さんは、どんな気持ちで、今日は迎えてはりますか?
(近藤氏)澤田さんのね、それは小出先生も、それでも最初、原発を勉強しようと思って、大学でやられてたわけでしょ?
だんだん考え方が変わっていったわけだよね。
だから、考え方が変わっていった理由っていうのは、僕らは胸に、今の事故で相当、より大きく落ちたわけで。
でも、事故が起きても、考え方が変わらないという、変わらない人として、そこのところを聞けるのかなと思ってます。
(水野氏)そうですね。まず、お一方のリスナーの方の質問に、一言ずつ答えていただきたいんですけどね、
「まずは、原発を続けるべきだとおっしゃる、澤田さんに質問です」とくださいました。

「今の福島の状態を、二度と起こさない、という自信はおありでしょうか?」
(澤田氏)えっとですね、二度と起きない、絶対二度と起きないかっていうと、それは……その、そう言い切れない部分ありますよね。
ただし、私が考えてるのは、仮にあのような事故、シビアアクシデント=過酷事故といってますけど、が起こったとしても、
今回の、あれだけの量の放射性物質、これを環境に出さない方策っていうのは、とれると思ってる
んですよ。
ただ、全くゼロにできるか、今回出たものの、例えば100分の1なのか、1000分の1なのかっていう、そういう議論はあると思うんですけど、
そういう仕組みといいましょうか、工学的なっていいますかね、機械をつけることはできると思ってますので、
そういうことも考えて、合わせて考えるべきではないか、と思っています。


(水野氏)はい。じゃあこの方のご質問は、即刻辞めるべきだ、とおっしゃる小出さんに、こういうことを伺いたいとおっしゃってるのは、
「原発に代わって、この国を支えるエネルギーについてお考えですか?」
(小出氏)えー、極短期的、中期的ということであれば、火力で支えるしかありません。はい。
(水野氏)しかし、長期的には他にあるという意味ですね?
(小出氏)はい。火力の燃料である石炭・石油・天然ガスというものも、地球というこの星が、ながーい年月をかけて蓄えてきた資源です。
もちろん、ウランも、鉱山のところに集めるというのを、ながーい年月をかけてやってきたんですね。
それを今、人間が、猛烈な勢いで掘り出して、使い切ってしまおうとしているわけです。
まぁ、こんなに贅沢をしながら、人間がエネルギーを使っていくということをやれば、
私は、原子力はすぐに、ウランも枯渇してしまう、と主張してきていますけれども、
石油にしても石炭にしても、いずれにしても、枯渇をしてしまう。
まぁ数百年という単位だと、私は思いますけれども、そういう単位の先では、もう枯渇をしない再生可能という、そういうエネルギーに頼るしかないのであって、そちらの方向に、速やかに舵を切るべきだと思います。


今日は、専門家お二人にきていただいてるので、このニュースに関して、コメントいただこうと思うんですが、
まず京都大学の小出さん、このストレステストの結果に対して、いろいろと外部の専門家からも「どやねん?それは?」という声が挙がったようです……が、
野田さんは「最後は政治が決断する」と言ったはるっていうのは、これは小出さんからみたら、どう見えますの?

(小出氏)まぁ、呆れた話。<苦笑>
(水野氏)「呆れた話」ですか。あの、止まらないんですね。結局保安院の審査結果がどうであれ。
(小出氏)要するに、何としても、この日本という国は、原子力をやり続ける、という宣言をしているのですね。
まぁ、これまでも、原子力安全委員会、原子力安全保安院等が、厳重に安全を審査して、安全を確認してきたとい言いながら、ここまできた……。

(水野氏)言いながら、福島第一原発はこうなったんですね。
(小出氏)事故が起きたんですよ。
そういう人たちが、一切責任をとらないまま、また今までと同じやり方で、ストレステストというちょっと変わった……、
変わったというか、相変わらずのコンピュータシミュレーションですけれども、ちょっと違った条件で計算をして、
それをまた、今まで通りのやり方で、お墨付きを与えるという、それに抵抗する人もぼちぼちと出てきているわけですけれども、
それも、「最後は政治が決断する」というふうに、野田さんはいう訳ですから、まぁどうにもならない国だなと、私は思います


(水野氏)はい。東京工業大学の澤田さんは、このストレステストについてどんなお考えですか?
(澤田氏)ストレステスト……これね、去年4月6日ですよね。菅総理始め、当時のですね。「ストレステストを、再稼働の条件にする」と言ったのは。
その時に、一次評価と二次評価と、一応分けてるんですね。
一次評価は……というか、その時点で発表があった時点で、中身がどういう評価をするかっていうのは、はっきりしてなかったんですね。
まぁ、ヨーロッパなんかは先行してやってたので、その例を見て決めるっていうことだったのかもしれないですけれども、
一次評価は、再稼働の判断材料にするために、何かをやるっていう感じなんですね。
二次評価っていうのは、総合的安全評価を、再度やり直すっていうことになってるんですよ。
ですから、再稼働の条件として、ストレステストの一次評価っていうのは、課題として、宿題として与えたわけですよね。
それでそれぞれ、電力会社、或いは管理するメーカーがですね、自分たちで答案を考えて出した
と。
その結果、地震……福島の事故が起こる前ですね。前と後で、緊急の応急的な措置を、いろいろやってるんですね。
電源車を、以前よりもあつめに用意するとか、場合によっちゃ、海水ポンプが今回壊れたりしてますので、
そういうものも、津波が来た時でも働くような、海水ポンプをつなぐとか、いろいろやってるんですね。
そのことによって、以前よりも少し……裕度っていうんですけどね、設計上の裕度、それがすぐ安全にさがるとは、必ずしも言えないんですけれども……。
(水野氏)「言えないんですけれども」?
(澤田氏)例えば、その津波であれば、津波の遡及、駆け上がる評価自体もありますけれども、
何メートルくらいの津波が来るまでもつかという、前と措置をした後、これを比較してるんですね。
それによって、小出さんがおっしゃったように、シミュレーションにすぎないとか、割と単純な評価に過ぎないんですけれども……。

(水野氏)でも、ストレステストをしたら、再稼働の条件っていうのは相応しいっていうお考えですか?
(澤田氏)それは一概に言えないんですけれども、だけどそこは、不透明といいますかね……政治家が、政治主導で、ストレステストを課したわけです。
それを材料に、再稼働していいか、定期点検入ったものですね。
これを、「政治的に判断する」と、最初から言ってるわけですね。

(水野氏)つまり、政治的なものでなくて、科学的な客観性については、100%合格とは言えないというのが、澤田さんのお考えと思っていいですか?
「ストレステストは政治的なものである」と?

(澤田氏)だから、そこの言い方は、非常に難しいんですけれども……。
(水野氏)<笑>
(澤田氏)一次評価とか二次評価に、巧みに分けてある。
二次評価は、安全評価をするっていってるんですよ。
だけど、一次評価は、安全評価するなんてことは、一言も言ってない
ですよ。

(水野氏)でも、二次評価が安全評価でOKだったら、科学的にOK、ということじゃないんですか?
(澤田氏)だからそこは……ちょっとくどいいい方しますけど、安全評価がOKだということと、科学的な見地からどこまで……信頼性があるかっていうか、ちょっと微妙に違うところがあるんです。
(水野氏)それは違うんですか……。はぁ……。非常に極めて、でもお二人に共通してるのは、極めて政治的なものであるというところは……。
(澤田氏)ストレステストの一次評価は、政治的な判断に使う、と言ってるんですよ。
(水野氏)はぁ……。
(澤田氏)その時点で、中身、どういう評価をすればいいかは、一切何もなかったので、
テストを受けた側というんでしょうかね、事業者側が、こういうものっていうのを決めて、
それは当然、保安院のところで、すり合わせをしてるんでしょうけれども、それで答えを出したと。
その評価結果、採点結果を見て、判断するのは政治家であると。
だから野田さんが、地元の理解を得ているか、などを踏まえて、最後は政治が判断する
と、まさにそのことを言ってるんですよね。
ここで一番やっぱり……、

(水野氏)ほな、ストレステストあんまり意味ないじゃないですか!
(澤田氏)そんなことはない。それは従来、例えば津波がですね……、
(水野氏)あ、従来のものより、だいぶあつくなったっていうお考えなんでしょうか?
(澤田氏)3mくらいしかおかなかったであろうもの、そこにもいろんな議論ありますよ。
これが例えば、倍になったりとか、倍の高さまでもちそうだ、ということはありますけれども、
そのことよりも、地元の理解っていうのを得るのが、実はけっこう大変だと思いますね。

(水野氏)そうでしょうね……。

中略 
 
まず、おふたりに伺いたいんですが、リスナーの方からもものすごい質問の数をいただいているようでございます。
ほんとありがとうございます。
まずは、この1年近く、大変な状況でございました。

それで、そのいろんな一年の作業の結果、今、政府や東電が言ってる『冷温停止状態』、これをどう見ていらっしゃるのか、
まず小出先生のお考えはこれまでにも番組でも聞かせていただいたことがありますので、
澤田さん、この『冷温停止状態』というのは、つまり、核燃料は、安定的に冷やされていると言ってますよね。
本当に冷やされているんですか?
どう見てらっしゃるのか教えてください。

(澤田氏)多分、『冷温停止状態』のポイント、二つあると思うんですね。
一つは、今おっしゃったように、壊れた、溶けた燃料が、どこかに今移動してあるわけですよね。
まぁ圧力容器の底、それから更に、それを突き抜けて、メルトスルーっていいますけれども、格納容器の内側の底といいましょうか、
そこにまで達してるんではないかと言われてますが、実際どうなってるのか、今のところ誰も見てきたわけじゃないので判らない。

(水野氏)見ること出来ないですよね。
(澤田氏)実際問題、見ないと判らないんですよ。
見るまでは。いろんな計算結果とかありますけど、あれは非常に単純な評価なので、事実はもっと、複雑なことになってると思います。
ただ、どこに再分布してるのか、よく判らないんですけれども、そういうものが、概ね冷やされてるかどうかってことですね?
これは、圧力容器の中のものに関しては、それなりの温度計が残ってますので、その温度計のデータを信頼する限りにおいて、そこそこ冷えていると。
それから今……注水……循環冷却系でしたっけ、ちょっと正確な名前は忘れましたけど、
要するに、水を吸出だして、4㎞くらいのループにしてですね、冷やしてますよね。
その途中で、除染をしたりしてるわけですけれども、そこの回っている水の温度を見れば、
例えば、格納容器の底に、燃料がかなり溶けて出て溜まっているとしても、
それが局所的、部分的には、かなり熱い状況になってる可能性があるかもしれないですけれども、
そうそう極端なことにはなってないっていうことは、判るんじゃないかと思うんですけど、
もう一つ重要なことは、そうやって冷やすことによって、圧力とか、圧力を測る機械も、まだ生きてるとこあると思うんですけど。
あとは、十分に冷やされてれば、蒸気なるものが出てこないんですね。
全くゼロとは言えないですけど。
そうすると、蒸気と一緒に取り込まれて、放射性物質、或いは、既に今ほとんどないと思うんですけど、
圧力容器の中とか、格納容器の……空気中っていうんでしょうかね、そこに浮遊してるものが、一緒に蒸気に乗って外に出てくるっていうことは、嘗ては結構あったんですけど、
その量も、今かなり、相当抑えられてるということは、言えると思います。

(水野氏)放射性物質が蒸気に乗って出てくる量も相当抑えられている?
(澤田氏)抑えられている。そういうこと、正確に、事故当初の何万分の1だとかは言えないですけれども、そういう事実を考えればですね、
『冷温停止状態』っていうのは、正確に何をいってるかっていうのは、実は難しいんですけれども・・・<苦笑>
(水野氏)定義がどうなんだっていうのはあるとしても。
(澤田氏)そうですね。
環境に及ぼす影響ということからすると、今一応、安定的に冷やされて、出てくるものが減ってる状況だと、そう考えていいと思ってます。


(水野氏)なるほど。今の澤田さんの考えと、小出さんの考え、違う点はどういうところですか?
(小出氏)一番大切なことは、放射能が環境に出てきてしまって、人間を含めた生命系が、被曝をしてしまうということなんですね。
そうなると、溶けた炉心というものは、今どこにあるのかということが、本当は一番大切なんですね。

(水野氏)そこから、いろんなことが違ってくるわけですね。土台なわけですね、炉心が溶けて今どこにあるか。
(小出氏)そうです。
もともと『冷温停止』という言葉は、何度も聞いていただきましたけれども、
原子炉圧力容器という圧力釜が健全で、中に水を蓄えることができて、その中に炉心がある、
そして水の温度が100℃以下になる、つまり、安定的に冷やせるということを、私たちは冷温停止と呼んできた。

しかし、圧力釜の底が、もう抜けてしまっているということは確実なわけで、抜けてしまった底を通して、炉心は下に落ちているのですね。
堕ちた先は、格納容器なのですが、その格納容器というのは、放射能を閉じ込める最後の防壁、工学的に言えば、そうやって設計されているものなんですが、
それが、場合によっては既に……破壊されて溶けた炉心が、更に下に落ちているかもしれないと、そういう恐れが既にあるわけです。

(水野氏)つまり、格納容器の中に、核燃料が溶けだした大半があるのかないのか、外に出ているかというのがお二人の見解の違いで、
そこは非常に大きなところ。もう確かめることはできないが……。
(小出氏)できない。
澤田さんも今、「確かめることはできない」とおっしゃったし、私も、要するに、見に行くこともできないわけですし、きちっとした測定器が、あるわけでもないのです。
ですから、判らないのです。
だから、判らないということが、この原子力という技術の、根本的な問題だと思うのですが、
判らない状態で、何か安定しているというような言い方は、私は正しくないと思いますし、
溶けた炉心が、格納容器の底を、既に破っている可能性がある限りは、その汚染を、広げないような手立てを、とらなければいけない。
私はそれを、去年の5月から、地下ダムとか、地下のバリアとか遮水壁という言葉で、皆さんに聞いていただいてますけれども、
それをとにかく、早急にやるというのが、今の仕事
だと思います。


(水野氏)こうした中で、今4号機はどうなのかっていう議論がありますよね。
小出さんは、4号機について、今どういうふうに見てはりますか?
(小出氏)これも、何度か聞いていただきましたけれども、4号機は、事故の時に、停止していたのです。
つまり、原子炉の中には燃料が無くて、全てが、使用済燃料プールという中にありました。
1500数十体の燃料が、使用済燃料プールという、深いプールの底に沈めてあったのです。
そのうち、1331体が、既に使用済というか、放射能の塊になった燃料だったのです。
4号機は、原子炉の炉心には、548体しか燃料が入りませんので、
炉心の中に入る燃料の、約2.5倍分の、燃え尽きた放射能の塊になった燃料が、プールの底に沈めてある、という状態なのですが、
その4号機の、使用済燃料プールは、3月15日に、4号機の原子炉建屋で、爆発が起きたのですが、
プールの更に上の、オペレーションフロアというフロアでも、もちろん爆発が起きましたし、
プールが埋め込まれている、その階ですらが、爆発で壊れているのですね。
ですから、プールが健全でいられるかどうかということが、大変難しい状況になっていまして、
東京電力もそれに気がついて、耐震補強工事というのを、既にやったということになっています。
ただ、猛烈な被曝環境ですので、ゆっくりと工事をする、ということは許されなかったし、
どこまで本当に、しっかりとした工事になってるかということが、私にとっては不安なのですね。
もし、これから大きな余震が起きて、4号機の使用済燃料プールが、崩れ落ちるようなことになってしまうと、
燃料を冷やすということは、大変難しくなりますので、大量の放射性物質が、再度空気中に吹き出してくる、という可能性がある
と私は思いますし、
なんとかそんな事態にならないように、大きな余震が来ないでくれよと、私は今、願っているわけです。


(水野氏)それで、余震は震度7まで有り得る、と予測されていたのが、先日、8まで予測を大きくしなきゃいけない、というような説も出てましたけど、
澤田さんは、こうした4号機のプールなど、今ある危機については、どう考えてらっしゃいますか?
(澤田氏)まず4号機なんですが、こちらの事故後、早い時期にはいろいろ言われてましたけれども、
4号機のプールの水自体は、事故があった3月11日の地震・津波以降、今に至るまで……空になる、或いは減るっていうことは無かったわけですよね。
今後のことを考えると、確かに大きな……次の3月11日と同じ程度の、規模の地震が来る可能性って、これゼロじゃないので、
スマトラの時も、あれは2年後でしたよね。
結構、同じくらいのサイズの、来てますよね。
だから、そのことは、別途非常に心配、対策しなきゃいけない、と思いますね。
ただ、4号機に関していえば、小出さんがおっしゃったようなことが、いろいろあるかもしれないですけど、
今のところ、事故後に比べても、最近でも作業してるようですけど、
作業員が事故直後、当時よりは、アクセスしやすいような状況になってるので、比較的対応しやすいほうだ
と思っています。


 
(水野)まずリスナーの方のご意見でおっしゃってるのは、今澤田さんもおっしゃった、作業してらっしゃる方のお話ですね。
「原発で、過酷な労働を強いられてる人たちが、たくさんいらっしゃるわけですけど、この現実の中で、それでもやっぱり原発を推進するべきだ、とおっしゃる根拠をお聞かせください」
というふうにご質問がきていますが。
(澤田氏)それは非常に単純。
それは多分、小出さんからいろいろご批判あると思いますけど、現場の作業の……下請け、孫請け、更に5重くらいになってるんですかね?9重ですか。

(水野氏)とか、20次だ、とおっしゃる弁護士さんもいらっしゃいます。
(澤田氏)私もだから、その辺の……直接は無いですけど、間接的に、どういう方がどういう環境で作業されてるかという話は、少しは聞いてるんですね。
そのよく言われますように、被ばく管理っていうのを、手厚くやらなきゃいけないし、やってることになっておりますけど、
そこが結構、甘くなってる部分があるんじゃないか
という話も聞かれます。
その辺はちょっと、確認のしようがないところもあるんですけど、
あとですね、作業環境ですけど、さっき、4号機の話で言いましたけども、
やはり事故が起こった直後、水素爆発が起こった頃、結構高濃度の放射性物質が付着してるような瓦礫が、結構飛散してたわけですよね。
そういうものは、無人ロボットとか、無人のブルドーザみたいなもので、それなりに、以前よりは片づけられてるみたいなんですね。
そういう意味では、今必要な作業をするにあたって、現場の作業員の被ばくの程度っていうのは、同じ時間いても、それは以前よりも、軽減してると思うんですね。
ただし、当然あの辺は、まだガンマ線とかたくさん出てるところですから、その管理は十分していかなきゃいけない、と思うんですよね。

(水野氏)これから、ものすごい人数の方々が必要だ、という話もありますし。
(澤田氏)そうですね。
それで、問題はすごく??っぽくなるんですけど、結局4号炉の話出ましたけど、1号、2号、3号とあるわけじゃないですか、
もっと激しく壊れてる。
炉心が、それこそどうなってるか判らないものが、これを何とかしなきゃいけないんですけども、それはなかなか、人も近寄れない状況がある。
じゃあ、ロボットができるかというと、そういうものでもないわけですよね。
今、ある種の1年経って、何ていうんですか、つなぎの時期だと思うんですけど、
本格的に1号、2号、3号の、炉心の一応燃料、溶けたやつを、回収するってことに、今のとこなってるんですね。
そういうことは、本格的に取り組もうとすると、また問題は結構大きいというか、難題だと思います
ね。


(水野氏)小出さん、これからどれくらいの数の作業員の方達の動員が必要なんですか?
(小出氏)チェルノブイリ原子力発電所の事故というのが、1986年の4月26日に起こりました。
その時に壊れたのは、4号機という、原子炉一つだけでした。
それも何とか、事故を収束させようとして、様々な作業が行われました。
その時には、60万人~80万人といわれた軍人、退役軍人、労働者が、駆り集められたのです。
本当に、この今日本という国で、それだけの数の人が集められるのか……と想像すると、なかなか難しいだろうなと思いますし、
福島第一原子力発電所の場合には、三つの原子炉は、既に爆発してるわけですし、
4号機も、今聞いていただいたように、まだ危機が去ったわけではない、未だに事故が継続しているわけで、
この事故を、どうやってこれから収束できるのかということすらが、人類が経験したことのないことに直面しているのです。
今澤田さんおっしゃったけれども、溶けた炉心をどうやってつかみ出すのか、つかみ出せるのかという、そのことすらが判らないわけですから、
これから、何万人の作業員が動員されるのか、或いは、万の単位では足りないのか、何十年に及ぶのか、ということも、やってみなければわからない、ということだと思います。

(水野氏)小出さんがおっしゃるように……いかがですか?澤田さん?
(澤田氏)えっとですね、チェルノブイリと福島の違いっていうのがあると思うんですよね。
というのは、何が言いたいかといいますと、チェルノブイリは、よく我々が言うんですけど、格納容器というものは無かった。
福島では、格納容器が一部破損してるのは、これはもう間違いないんですけれども、
そもそも格納容器が無かったので、チェルノブイリの場合は、当時爆発事故、爆発……核的な出力暴走っていうのをやってるんですけども、水素爆発も黒煙も燃えてる。
非常に、福島も十分、過酷な事故でありますが、それに加えて、いろんなことが起こってた。
格納容器が無いから、溶けた燃料が、言ってみれば、いきなりむきだしになった状況なんですね。
ですから、どんどん放射性物質が、環境に流れ出てくる。
それをまずは、止めなきゃいけないということで、事故後1週間ですかね、主に。
何十万人と動員されてるわけですね。
その間の被曝というものは、それは凄まじいものだったと……。

(水野氏)でも、チェルノブイリと福島とを比べたら、全然違うっていうことですか?
(澤田氏)私はそういうふうに考えてます。
(水野氏)チェルノブイリもレベル7、福島もですけど……。
(澤田氏)出てきたものの、量が違うんですね。
これはちょっと、一概に言えないんですけども、大体ベクレル数でいうと、放射性の量でいうと、放射能でいうと、一桁下がる、1割程度と言われる……。
これもまだ、議論があるんですよ。
まだ実際に、どれだけ出たか、十分判ってないとこがありますのでね、
それを置いておいても、実際環境に出たエリアの面積と、その深刻度から比較しても、チェルノブイリの場合は、200㎞、300㎞まで、広範にわたって飛んでるわけなんですよ。
それはいいとして、ですから、チェルノブイリの場合は、今小出さんがおっしゃったように、初期に、数十万人と投入してるわけですよ。
1週間に。その間に、被曝して亡くなった方が、数十人いらっしゃる、ということなんですね。
私が言いたいのは、福島の場合は、確かに似たような状況まだあります。
つまり、最終的に、溶けた燃料を回収するとなると、これはすごくハードルが高いわけです。
その場合、よくいわれるように、ロボットとかリモートでやればいい、というんだけど、そんな簡単にできる話じゃないと思うんですね。
そうすると、そこを無理して、リモートにできないから、人を使ってやるとなると、これはすごく良くないですよ。被ばく管理という点では。
それが、じゃあどういう形でできるか、これがチャレンジです
ね。

(水野氏)それが、今のところ、澤田さんも判らないんですね。どうやってやったらいいか判らないんですね。
(澤田氏)さっき『冷温停止状態』に対しても、いろんな疑問とかご意見はあるんですけれども、
そういう状態が保てる限りにおいて、言ってみれば、時間的余裕があるわけです
よ。

(水野氏)まだまだ作業に取り組むまでに、時間があるから……<苦笑>
(澤田氏)一応、冷却ループを回して、ふたは、ふたっていうか隙間は、一部空いてるかもしれないけど、
さっき言いましたように、1号機、2号機、3号機の中から、環境に出てくる放射性物質の量は、もう格段に下がってるわけですね。
そうすると、その『冷温停止状態』を続けつつ、次の策が練れる
わけです。

(水野氏)次の策は今はわからないけど、考えて……。
(澤田氏)やりたいことは判ってるんですよ?やりたいことができるかどうかっていうところの勝負ですね、これは。
 
 
小出さんは、原発については、すぐに全廃をとおっしゃいます。
澤田さんは、妥当なやり方、適当な適切なやり方で続けるべきだ、というお考えでございます。
 
近藤かつしげさん、東京ですけど近藤さん?今までのところお聞きになっててどうですか?
(近藤氏)僕は、続けるうんぬんかんぬんも含めてね、やっぱり国民の意思をどう反映するかっていうことをすごく考えますよね。
それで、今までの原発政策っていうのは、国策という形で、議論も何もない、一元論で来たわけでしょ。
要するに、『やる』ということで来たわけです。
それで、こういう事故が起きて、以後ものちに、先ほど野田さんが言うような「政治決断」ってなことを言うんだったら、
その前に僕は、かなりの意味を持たせて、総選挙をやったほうがいいと思いますね。
つまり、原発そのものについて、やはり、国民の意思を、この際はっきりさせる手立てを考えるべきだと思いますね。
(水野氏)『原発解散』ですか?
(近藤氏)だから、それは菅さんがそのとき、エネルギー解散やっとけば良かったんでしょうけども、国民投票っていう手続きもありますよ?
でもこれは、また法律作らなきゃダメだし、やっぱり総選挙しか、今のところ考える知恵がない。
それも抜きにして、「再稼働ありきだっていう結論を政治決断だ」っていうのは、私は行きすぎだと思うね、と思いました。

(水野氏)えぇ。リスナーの方々からもホント続々と質問きてますけど、とりわけ澤田さんに伺いたいというふうにおっしゃってるのは、
いろんな理由を皆さん挙げてらっしゃるんですけど、どうしてやはりそれでも推進するべきだとおっしゃるのか?っていうところで、一つは
「地震大国の日本で危険度が高すぎるんじゃないか」
というリスナー。或いは別のリスナーは、
「やっぱり再稼働は、電力不足という意味から、必要だとお考えなんでしょうかね?」
とおっしゃっている。
このあたり、どうしてこれだけのことがあっても、やはり稼働するべきだとおっしゃるのは、どうしてなのか……?
(澤田氏)はい。まず地震なんですけれど、これは今回の……さっきも言いましたけど、
東日本大震災と津波を被った原発が、福島第一第二だけじゃなくて、女川、それから東海があるわけですね。
それは、地震で壊れた・壊れないっていう話もあるんですけども、地震に対する……今回は激甚な地震だったわけですけれども、
によって、プラントがどうなったかということを、ちゃんともう一回、福島第一第二だけじゃなくて、あの地域一帯にあった、10何基かあるんですけど……、

(水野氏)つまり、壊れなかった、被災した原発っていうのを調べれば、壊れない……。
(澤田氏)全然壊れてないわけじゃないですよ。だから、重要なところが壊れてるか、壊れてないかですね。
(水野氏)シリアスな問題を引き起こさなかった原発を見てみれば、重大な事故を起こさない原発というのは、これからも成り立つんじゃないかというお考え。
そうなんですね?できるんですか?
(澤田氏)そうですね、端的にいうとそうです。それを今から言います。
(水野氏)はい。そこのところを教えてください。
(澤田氏)最近問題になってるのは、とにかくこの20年くらいですかね、地震に対する知見が、どんどん増えてきてるんです。
活断層や断層が、どこにあるかとかですね。
だから、特に若狭地域でも、そういう議論があると思うんですけれども、今まで見つかってなかった断層があるんじゃないかと。
そうすると、直下的な地震が起こるんじゃないか、という話ですね。
この問題は、結構それなりに、もうちょっとちゃんと対応しなきゃいけないと思いますね。
つまりですね、数年前に、耐震の地震の強さを見直して、それに基づいて、耐震補強をしてるんですよね。
それが、今回の地震と、それからどんどん増えてきた断層のデータ等をてらせあわせて、
妥当なのかどうなのかっていう、これはなかなか慎重な見極めをしなきゃいけない
と思います。
なんか、三つほどあったんですけど、とりあえず……。

(水野氏)まずはだから、地震大国でも、やり続けて安全なんですか?
(澤田氏)あの……これ、あんまり今言うと、適切じゃないかもしれないですけど、
将来的には、今のプラントにはできないですけど、今だったら、耐震補強するしかないですよね。言ってみれば。

(水野氏)いままでのはね。新しく作るものは大丈夫だ、というお考え……。
(澤田氏)免震構造にもできるわけですよ。大きなビルでもやってますよね。だから……、
(水野氏)近藤さん?
(近藤氏)あの、そうするとね、そういう考え方だったら、浜岡原発を止めたのは、どうお考えなんですか?
(澤田氏)浜岡ですか?あれは、だから私は無意味だと思ってます。
(水野氏)止めたことが無意味?
(近藤氏)あれは、止める必要が無かったんですか?
それはどうしてですか?
そんな地震の過剰な反応は、要らないということですか?
あれは地震の理由ですよね、津波と。
澤田氏)……そこは、私はよく、菅さんがっていうか、菅さんって言っていいのかわからないですけど、何をもって、あれを止めると判断したのかは……、
(近藤氏)いや、菅さんだけの意見じゃないですよ。
現場監督なさってた、菊池洋一さんですか、菅さんにも直接話していて、
「とにかく何が何でも止めてほしい」っていう陳情までしてましたよね。
「絶対に耐えられない」と。
(澤田氏)耐えられない?
(近藤氏)うん、それは地震ですよ。
 だから、そこのあたり、なんかちょっと、話が大雑把すぎませんか?
(澤田氏)いや、だから、絶対に耐えられないという、『絶対』の根拠がわかりませんけどね……。
(近藤氏)だから、菅さんだけの話じゃないっていう……。
(澤田氏)それはね、それは要するに、岩盤の問題だと思うんですよ。
岩盤がどういう組成になっていて、それが、実際地震が来た時に、どういう振る舞いなり変形をするか、という問題……。

(近藤氏)福島も、だから問題っていうのは、福島だから起きたんですか?
 要するに、岩盤の問題とか、堤防がどうのこうのとか、その可能性っていうのは、全部秘めてるんじゃないですか、日本列島は?
(澤田氏)いや、そこをですね、そこはだから、科学と工学の問題だと思うんですけれども、
その全部を、いってみれば、いっしょくたにして議論はできない、ところはあると思うんですね。

(水野氏)でも、私らにするとね、いろんなこと全部含めて、安全か・安全でないのかということを知りたいわけですね。住民としては。
(澤田氏)そのこととは違って、日本の全国に、ほぼ17か所、立地してるとこあるんですね。
それぞれだから、立地条件っていうか、土地の条件違うわけですよね。

(水野氏)土地が安全だ、というふうに判断されたら、そこに原発建てたら安全なんだと、安全な原発ができる、というお考えと思っていいですか?
(澤田氏)えっとですね、エンジニアリング的な考え、工学的な考え方っていうのは、
その条件がはっきりすればですよ、それに合わせたものが作れるという、そういう理念がある
わけですよ。
だから、その時にお金がかかりすぎるかどうかっていう、また別の尺度が入ってきますよ。
ただし、今問題になってるのは、建てた時に、そこの地震とか津波の条件が、こういう感じでなってるというふうに決めてやったのが、
例えば、後から新しい断層が見つかって、それに対応できるか、耐えられるかっていう問題ですよね。
それは、慎重に、幹羽舐めなければいけない、と言ってるわけなんですよ。

(水野氏)でも、後からでてきたからって、ほな外しますって、簡単に閉じられるものでもないですよね。
(澤田氏)だからそこは、耐震のね、耐震補強で間に合うかどうかっていう問題ですよね。
浜岡の場合は、どうやらそれでは持たない、或いはお金がかかりすぎるっていうので、
1号、2号はとっくに、とっくにっていうか、まぁ……この事態が、去年の浜岡停止前に廃炉にするということは、決めてるわけなんですよね。


(水野氏)小出さんは、安全な原発はできるのかどうかという、この質問はいかがですか?
(小出氏)できません。
(水野氏)「できません」あぁ、そうですか。
(小出氏)はい。例えば今、浜岡の議論が出ましたけれども、
浜岡1号、2号なんてものを作った頃には、本当に大きな東海地震が来るなんてことは、予想もしないまま、作っているのです。
ほとんど、耐震設計もなされないまま作ってしまった。
だから今、澤田さんもそれをおっしゃったけど、東海地震が来るようなことに備えて、震補強をしようとしたら、お金がかかりすぎてもうだめだ、ということで、放棄されたのですね。
でも、みんな同じですよ。
要するに、建てるときには、「こうこうこういう条件で建てよう」ということで、設計して建てるわけですけれども、
時が流れていくと、「やはりこれはまずいんではないか」というところが、次々と出てくるわけだし、
小さな事故から、今回のような大きな事故まで、起きてしまう
のですね。
それは、やはり人間というものが、やることなわけですから、必ずそういうことは、覚悟しておかなければいけないというものだ、と私は思います。
そして、原子力というのは、そんな覚悟ができるという、そんな甘いものではなくて、
途方もない被害を出してしまうものなわけですから、私はやるべきではないと思います。


中略
 
(澤田氏)地震の話はもういいんですか?
(水野氏)地震の話もありますし、核のゴミ問題もどうするんですか?といういろんな処理しなきゃいけない問題があるにも拘らず、それでもどうしてやっぱり原発推進するべきかというところが、やっぱりまだ私も判らないんですけど……。
(澤田氏)そこも言うこといっぱいある。
それはね、ちょっとさっきの……地震のことだけ、ちょっと一言だけいいですか?

地震なんですけど、地震が本当に、そんなに心配だったらですね、地震計、感度を、少し上げとけばいいんですよ。
そうすると、早い段階で地震を察知して、炉が停止する、いわゆる制御棒が入ります。
後は冷やせばいい、という話にずれるので、そういうふうに考えればいい。

(水野氏)地震対策はできる?
(澤田氏)はい。それでね、そこはまだ、丁寧な議論をしなきゃいけないんですけども、時間がないんで。
「なんでそこまでして?」っていう話がありますけれども、これはね、いろんな見方があるんですよ。
というか、その……うーん、ちょっと視点を変えると、皆さんご存知だと思うんですけど、
日本は今、こういう状況になってますけども、お隣の韓国っていうのは、これからどんどん倍くらいに増やしていこうとしてるんですよね。
更に中国は、この先20年くらいで、100基以上新設しようとしています。
そういう状況がありますので、日本はどういう、そこに貢献ができるのかな、と私は、積極的に関与していった方が良いと考えてます。

(水野氏)海外輸出という意味でも、積極的に関与するっていうことでしょうか?
(澤田氏)輸出というだけじゃなくて、安全な原子炉というのはどういうものか、ということに関してもですね、日本の知見が生かせると思うんですよ。
(水野氏)小出さん、あと20秒くらいしかないんですが。
(小出氏)はい、私は、澤田さんと正反対でして、韓国からも原子力を無くすべきだと思うし、中国もやってほしくないし、
そのためにはまず、日本が手本を示して、原子力から撤退すべきだと思います。

(水野氏)近藤さん、あと10秒しかないんですが。
(近藤氏)僕らの意思をどう反映したらいいのかなと、今益々考えるようになりました。
(水野氏)はい。澤田さんはこれから、オープンな議論をもっと学者がするべきだ、という活動もしてらっしゃいます。
小出さん、澤田さん、本当に今日は、どうもありがとうございました。 
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『TVでは報道しない、原発事故末端作業員の、驚きの証言』文字起こし

2012年03月08日 | 日本とわたし
2012年3月5日 TVでは報道しない原発事故末端作業員の驚きの証言


毎日放送・たね蒔きジャーナルで、3月5日に放送されたものを、文字起こししました。

ウエダタカユキアナウンサーによる取材。
福島県内の原発から40~50キロ離れた町にある、原発労働者宿舎。
時には外に出て食事や飲み屋に行く場合があり、そこで話を聞いた。カウンターで独りで飲んでいる人が多かった。
同じ仕事で同じ所で寝泊まりしているが、仕事の話はできない。
外部の人間との接触も厳しく管理されている。
東京電力の下の下というように、同じ仕事をしていても報酬が違う、ピラミッド構造が現存している。
だから独りで飲まざるを得ない状況。

取材に対し、
二次請けあたり(東電に近い立場)の労働者。
「20キロ圏内は充分に線量は下がっていて安全なので、どうぞ戻ってきてください。報道は厳しく伝え過ぎだ」と、声の録音も断られた。
 
・四次、五次請けあたりの労働者
「それは東京電力の情報管理の徹底ぶりが反映されている分かりやすい例。本当はもっと厳しい現状」

東日本大震災から一年。原発事故その後を支えてきた作業員の方々の証言インタビュー

政府は冷温停止状態と言っている原発の現状。
東京電力の発表によると、第一原発に入ると登録をした人数は、12月末の時点までで、19,594人。
一日当たり、平均で、三千人を超えるぐらいの人が働いている。
このうち5~600人が東電社員。残りが関連会社のスタッフ。

作業内容
建屋の最上階の使用済み燃料プールのある所はまだ瓦礫がいっぱい残っているので、その除去作業をしている人、
瓦礫といっても非常に大きくて人では動かせないので重機を操縦する人、
放射線量の測定作業をする人、
汚染水の漏れなどがないかパトロールをする人、
浄化システムの操作をする人、
などがいる。

個人を特定すると仕事を失う。
メディアとの接触も厳しく禁止されている。



福島第一原発の現状と作業の様子について

「もう、ぐっちゃぐちゃだったからね。最初来た時。支えも見えない。どこもぐちゃぐちゃだった。だって、1,2,3,4まで蒸気出っ放しでしょ、煙が出てんだからずうっと。で、瓦礫だらけ。もうなにしろぐちゃぐちゃだよね。10センチ以上もある鉄板の扉が曲がっちゃってるの見ちゃったりね。閉まらないだとなと」

ー 当然、それ閉めないと危ないっていう原子炉ですよね。それが曲がっちゃってて空いたままになって

「だって、二号基だってなんにも触ってないじゃない?見た目がね。一号カバー隠してるでしょ?で、三四やってるでしょ?二号でこんだけ騒いでんのに、なんにもしないんだよ。ははは」

ー そうですね、温度上がってるとか言ってますよね

「上がってるでしょ?なんにも、その前からなんにもしてないんだよ。三号やってる作業員なんて恐いだろうなと思う。隣でやってて。一号の時もそうだったもん。うん。
だっていつもそう、いつも、行ってないとこ、触ってないとこに、あそこ、ちょっと行ってみてくださいって言われて行くと、こっち終わったからあっち見てくださいってったら、アー、から始まんのみんなね、アー、なんだよー、こんなかよー……写真ぐらい撮れるでしょー、どんなだったの今まで……」

ー それだけ酷い?

「うん」


あの2月に、温度の上昇のニュースがありましたけれども、なにもしていないんですよ、ということです。驚きました。
厚い扉が地震で歪んでしまっているという、凄まじい地震の力。本来閉じていないと、そこから放射線が出てくるわけですけれども。
なかなか作業が追いついていない。二号基は手つかずの状態だということが分かった。


「まあ当然その、爆発した直後っていうのは、高い線量浴びてる人イコール技術者やったですよ。結局そこに行かなあかんかったから。
今はもう、高いとこに入ってる人イコール、もう、使い捨て要員です」

ー そういう人らはどういう仕事なんですか?

「ボタン押してこい、走ってそのボタン押してこい、そんなんです。
あの、水処理なんか、今からパイプつなぐから持っとけとか、そんな状態です」


状況は瓦礫が残っていて酷いというのは分かりますし、やっぱり仕事が大変なのは、高い濃度の放射線があるからなんですね。
ですので、ちょっと行ってボタン押して戻ってくる。それで精一杯。その時間が短くないといけない、というような状況。
それから、皆さん作業員の方は防護服(作業員の間ではタイベックと呼ばれている)を着て、マスクをしています。
働けるのは長くてもまあ、3時間とか4時間という作業の方もいるということで、
そうなると、例えば、トイレに行こうと思っても、現場を離れなければいけないので、一旦行ってしまうと、もう防護服を脱げないので、トイレできない。
しようと思うと、現場を離れなけなきゃいけないということで、トイレに行くにも30分ぐらいかかるそうで、不便で仕方が無い。
それから、皆さん、チームで作業されていると、コミュニケーションをとりたいわけですね。
話をしたいんですけども、マスクをしてますから、中に声がこもってしまって、なかなか伝わらないと。
ですので、仕事が進まない。
もう、声が通らないので、みんな叫び合っている時もあると、いうことでした。
独りで作業されている方もいらっしゃるわけですけれども、放射線に汚染された場所の瓦礫、をどけなきゃいけないんですが、それを取り除くにも、その瓦礫ももう高い線量がある。
それを落とさなきゃいけない。
で、どうやっていったらいいんだっていうことばかりの現場ですと、いうような話でした。
でその、放射線量の汚染に対して、どのように対応しているのか、というのを聞きましたので、その声です。


「建屋の中にも入ってるよ。入ってったよ。なっかもそっと(?)一日一ミリになったらブザーが鳴るようになってんですけどね、すぐだからね。もうすぐ」
 
ー 時間でいうとどれぐらいですか。

「わかんねえ俺、最短で、どんなもんだろう、30分もかからねえ夏の時があったよな。
普通に、一年分を30分で、浴びちゃう。でも痛くもない痒くもない、からね、でも、管理は甘かったよね、どっちかっていうと。
俺らも、動くの行き方だの、ろくに分かんない状態でやってたからね。
こんな上だからいっかーって、チャック開けてこうやって線量計見たりね、みんな、みんなそうだった。
肌も、ちょっと出てたりね、みんな。肌、肌、マスクとも。肌が出てたりしてるやつもいたし」

ー 露出しちゃってるっていうことですね

「うんうん」

ー やっぱ付け方がうまくいってないと。

「うん、そうそうそうそうそう」

ー その子らをこう、指導するってところが徹底してなかったと。

「そうだね、それじゃ危ないよーぐらいなことしか言われなかったっすよ。なにが危ないか分かんない。痛みもないし」


管理は相当ずさんだと言えますね。
特に当初はそうだった、という話なんですね。
そして高い線量、もう30分で一年分浴びてしまうようなところもあった、というような話もありました。
そして、こういった環境の中にあって、その放射性の傷害を予防するために、ヨウ素剤を飲むというような対応をとったケースもあったんだそうです。


「ヨウ素剤飲みながらやってたんですね。飲みなさい、飲んだ方がいいよーって、で飲むでしょ。
で、14日間服用すると、検査を受けなければならないんですよ今度ね。
不思議でしょ?飲みなさいって言われて飲んで、14日で今度検査されるって」

ー 逆にそのヨウ素剤が多いといけないってわけですか?

「いやあ、わかんないんだな、そうみたいですね。
飲みなさいって言われて、ほんとのこと言うと飲んでなかったんだけどね、僕なんかね」

ー あ、そうですか。

「ポケットの中に入れっ放しで、飲むの忘れてたんだけど、で、たまるだけたまってたけどね、ゴソーッと」

ー それも……なんか、良く無いですよね。

「うーん、でもそのヨウ素剤って何かわかんなかったしなあ……」



はぁー……
結局は、きっちりと対応なんかしている仕事の状況ではなかったと、いう話だったんですね。
ヨウ素剤も、飲みタイミングが重要だっていう話もあります。
そして、さらに、当初より今の方が、作業環境が悪くなっているという、指摘もありました。
え?今の方が悪くなってる?
はい、それはなぜかというと、発注元の東京電力、それから元請け、その下の会社ですよね、下請け下請けという、先程も言っているピラミッド構造がどうやら原因のようで、
それは何次下請けぐらいまであるもんなんですか?
聞いたところによると、6次、7次はもう確実にあると、いうようなことなんです。何社も続いていってます。
そのあたりを聞いていますので、こちらの声です。


「労働者の条件っていうのは、震災直後より悪くなってってます、どんどん」

ー どうして震災直後より今の方が、そういう条件って悪くなってるんですか?

「えーまず、ひとつは、東電のお金が無くなったっていうことですよね。
あの、僕らが身につけているタイベックとか、これがまあ唯一、放射能を軽減さしてくれる、言ってみれば武器じゃないですか。
で、それも、だんだん、行き帰りは、そのタイベック着るなって言うんですよ。放射能下がってるから。
行き帰り用の、青い薄いやつあるんですよ。それにしてくれって言われる。
誰か犠牲になって、線量浴びて帰るっていう感じですよね。
で、それを浴びるのは、そこの末端の人間ですよねだから。
だから6次請け、7次請けがまかり通ってると思います」



あ、今最後に、6次請け、7次請けがまかり通ってるとおっしゃいましたね。これは下請け構造が、1次2次3次4次……6次7次とあって、その、末端といわれている人達が高い線量を浴びる作業をしているって、そういうことですか?
そうです、はい。
そして、行き帰り、という言葉もありましたが、原発から離れた宿舎に皆さんいらして、で、そこから作業員用のバスが出て、第一原発に向かっています。
その間では、作業服を着るタイミングをちょっと今は、変えられていたりするっていうことなんですね。
ちょっとでも、言うたら、お金の節約をしろ、っていう意味でしょ、これ?
はい。
はぁー……。
それも、一番安全を確保したい部分でのコストの削減、ということになっている。
あのー、当初からこう、下請けの人ってのはもちろん、線量の高い所で作業をして、
で、線量がオーバーしてですね、年間これ以上浴びてしまうとダメですよ、被ばくするとダメですよっていうのは決まってますから、
そうするともう皆さん、帰っていくわけですね。
でまた、新しい人が来る。でまた、帰っていく。どんどんどんどん人が足りなくなっている。
でそして、熟練の技術者の迅速な処理が求められるにも関わらず、線量の関係で、経験のある人ほど長く続けていられなくなっていく。
新しい人がどんどん来て、また一から作業を覚えなきゃいけない。
働き盛りで体力のある世代がいなくなっていって、今度は50代とか60代とか、そういった方が多くなって現場で仕事をするようになっていて、作業効率にも影響があるというような話もありました。

そして今度は、賃金です。
いったいお金いくらぐらいもらえるんですかと、いう話を聞いてみました。
こちらの声をお聞きください。


「俺50」
「ま、俺自体は、俺自体は7000円やけどね。それとかあととか9000円の人とかおったりやな、あと、1万5000円の人がおったりとか、なんで5次やから金が少ないねんとか、ちょっと悩む」


うーん、ちょっと聞き取りにくかったんですけど、7000円とか9000円、1万5000円って数字出ましたよね。
はい、この人は5次で話がまとまっていて、
あ、5次の下請けね。
はい。日当7000円で働いています。一日7000円で働いていますと。
7000円でしかないんですか、日当ですか?一日これだけのリスクを伴う仕事で。
はい。で、同じ現場に、9000円の人も、1万5000円の人もいるんだけれども、
所属が違って、ピラミッド構造の頂点に近い方の人は1万5000円だったりするわけですね。
そうです、はい。
なんで5次やから給料低いんだろと、いうふうに思うと話していたわけですね。
で、ちなみに、東京電力に聞きますと、元請けさんから下にはどのくらい会社があるかは分からない。把握していないと、いうふうに話をしています。
は?東京電力は、どれだけの会社が入ってるか、把握していない?
はい。
把握していないのは……
ということでした。
いいんですか、そのままで。あの実は明日、弁護士さんに、この問題詳しい弁護士さんにも聞きたいと思いますので、このあたりも聞きましょう、はい。
え、そして中には会社自体無くなってしまって、支払われなかったケースもあると、いうことでした。
で、こういった現場だから、こんな不満が作業員から聞かれました。


ー 単価ってどれくらい儲かるとかわかるんですか?

「えっとね、◯◯の人、1万2000円でした。1万2000円で僕、5次でやってますけど、現状、マシな方です、一応」

ー そうやって時間搾取の層ってのは相当厚いですよね。

「それが相当厚いと思いますよ。なんでそんなに間で儲けてる人間がおるっていうのが、ちょと解せないですよね。そこが……。
あんだけ現場で、そのー線量浴びて、どうも納得できない、みたいな。
まあ働いてる人間はええとしてその、間でなんもせんとかすめ取ってる人間が許せないですよ」


という怒りにつながるわけですね。
で、この方は今5次請けです、というふうに話をしていましたが、この人より少し上の位置にいる人、もう少し東京電力に近い所にいる、下請け業社に勤める方に、どのくらいじゃあ、お金がこう、まあ、言うと抜かれているのか、引かれているのか、というのを聞いてみましたんで、そちらの声をお聞きください。


「って、うちがもらってる金額も安いしね」

ー どれぐらいなんですか?

「だから会社自体がもらってるのは、一人頭、最低賃金の三倍で」

ー それっていくらぐらいなんですか?

「だいたい、2万5000円弱か……うちから下請けに出して、下請けからそこに出して、実際もらってるのは安すぎて」



はぁー?
ということなんですね。ですから、この人達の一つ下、二つ下になってくるだけで、2万5000弱という話から、1万円なったり7000円なったりするということが分かったわけです。
同じ仕事をしている方でも、どの会社に所属しているかと、どの段階の下請けで仕事してるかで、全然違うお金になっていくんですね。
何分の一、三分の一とか四分の一ってことも在り得るってことですね。
結局人が集まりませんので、いろんな会社をつけてなんとか人を集めようと、
ですからもう地域を越えて全国から人が、福島第一原発に集まっていると、
そのことで、何社も何社も会社が入ってしまうという状況があると、いうことのようでした。
ですので、現場レベルでは全国各地の方言がいろいろ聞かれて、時々何を言ってるのか分からなかった時もあったと、いう話も聞かれたんです。
いやーだけどこれ、あのー、金銭のことをそれぞれの方達が、同じ仕事をしながら、話し合って、文句を言うなんてことは、無いんでしょうね。
それはやっぱりできないルールになってるんですね。御法度だという話がありました。
まあそれでも、この方は話をしてくれましたが、まああの非常に貴重だと言えますね。

この原発作業員の皆さん、いったいどうして全国各地からこの福島第一原発の事故処理の仕事をするために来たのかと、いうふうに聞いてみたんですが、
まずはこんな形で、この仕事に就いた人もいます。


「一回、西成で問題がありましたよね。来たら、原発ちゃうって言うたのに、来たら原発やったって。僕もその口なんですよ。
そんな人、いっぱいいますよ。今でも。
で、行ったら、ここJビレッジあって、1Fなんやわって言われて。で、なんでかっていうと、みんな、6次請け7次請けなんですよ、してる人間が。
6次請け7次請け8次請け9次請け、とかいますよ」

ー 9次?!

「ほっとんど皆そうです」

ー ご自身でどこぐらいの位置かとか把握されてるんですか?

「えー僕はね、把握しました。調べたんですよ。あの、最初そうやってだまされてきた時に、僕がだいたい5次請けぐらいでした。
で、話し合いして、じゃあ行きますって言って、その分ちょっとお金を上げてあげるよって言われた部分があって、
まあ僕、半分悩んだんですけどね、帰った人間もおるんですけどそこで、まあじゃあやれるまでやってみようと思って……」


だまされて来たら1Fって
当初、Jビレッジと言われた、これは、長浜地になる福島第一原発から20キロほど離れている、原発作業の作業拠点なんですけども、
ここで仕事をすると思って来たら、1Fってのは福島第一原発のことですね、ここへ行けと、言われたと。
行くまでわからなかった。
だからだまされて来たんだとおっしゃっていたんですね。
そうです。で、こんな人はいっぱいいるんだと、いう話でした。
また、どうしようもなくこの仕事をしているといいますか、まあそういった方もいます。こちらです。


「で、誰が行くって、会社の会議で言われて、でまあ、誰も手上げないから、もうみんな手上げないから、俺しょうがないから手上げたって感じ」

ー 原発で仕事するっていうことに関しては、奥さんには何も言われなかったですか最初?

「最初の時は、あ、やっぱり行くの?って感じで。で、うーん、断れないの?とは言われたけど。
断ろうと(思ったら)断れるけど俺行くよーっつって。行くヤツいないんだもん。
俺、国のためだと思ってないから、俺会社のためだったら。
うんまあーそこまで危なくないだろー、安全率考えてるよなーっていうふうに自分で言い聞かせてた」


使命感から、自ら挙手をしてと、いう人もいるわけで、働いている人の事情も様々なんです。
ただ、労働環境にはいろいろ差もあるみたいで、いろいろ不満を持っている人も多くて、
例えば夏場、休憩所のクーラーを節電で止められたと、でも、東京電力の社員の休憩所はクーラーがついていて、
で、僕らは日当で働いているけども、東電の社員はボーナスがもらえると、せめてお金は作業員に回して欲しい。
働く施設とか、防護服とか、日当とか、そういったものになんとかお金回してもらえないか、という声も聞かれました。
またあの、なかなかやっぱりこう、作業員の体験の話が出てこない。情報として出てこないのも、作業員の皆さんもそれはおかしいと。
あ、自らおっしゃってんだ!
はい、ここまできたらもう、情報公開したらいけないっていうのは意味がないと、どうせ漏れるし、もう鬱憤たまってる人間が大勢いるんだと、いうような話も聞かれました。
で、それでも、この過酷さがなかなか届かないというのはどうしてなのか、次の作業員の方はこういうふうに話しています。


「ここがまあ、一時間おって何マイクロ浴びますよってのを貼り出してありますし、でー原発のニュースで今、二号基が今温度上がったのどうのこうのって中で聞くと大丈夫かなって思いますけどね、近くやんこれすぐと……。
で、まあその、仕事の進捗状況をまあ、最後までは分からないですけど見てても、景色がなんにも変わってない、
あの、(聞き取れず)全く変わってない、自分自身も変わってないし」

ー で、つけて入られるわけですよね。

「で、変わってない。何をもって収束なのか、なにも変わってないんですよ。止まって、出えへんようになって、初めて収束じゃないですか。出続けてるしまだ」

ー 一方で総理はこう、冷温停止状態みたいな言葉を使ってますよね。

「(笑)それはもう、現状維持ってじゃないですか。もう爆発して最悪になったものを、現状維持にしてるだけなんで、
あの、根っこが取れてなかったらそうでもないんですよ。現状維持で止まってますよってだけのことなんで、
何をもってその、収束なのかは全く理解できません。
ほんとに、国がこれもう、ヤバい状態になってんのに、その自分らの利害であるとかそういうことで、なんか隠そうとしてるっていう……もう無かったことにしよう、みたいな感じが、すごく見えますよね。
ほんとにこう、向き合って、それこそもう、ほんとに無くすなり、全身全霊を注いで、この福島良くする、元に戻そうという気持ちが全く無いじゃないですか」


なんにも良くはなってないんだと。
実際に働いて見ている、福島第一原発の状況と、ニュースで報道されているものとの違いがあまりにも大きいという、
えらい違いですよね。
いやあもう、大変衝撃的な証言だったんです。
そしてあの、隠蔽体質、この原発に関する、働いている人達が感じているという事実もありまして、どうしてそうなるのか、その場面を見た人の話をお聞きください。


「吉田所長が、あの人は、現実を全部話そうとしたんですよ多分。
だけどそれを、止める人間が多すぎて、だから話が矛盾し出したっていうのもあると思う」

ー 現場でしっかり伝えようとしてた吉田さんが……

「そうそう、実は話そうとしてた現場の状況にしても、作業員の状況にしても、東京電力の上は、人間の動きにその、しゃべろうとしたら塞いじゃったりして、あの人が歩くたんびに、三、四人の取り巻きがついてしゃべらせないようにしたでしょ。
実際見てたからね、その部分は。
こんなことしたら、絶対に隠し通すだろうなと思って」

ー それで、そういうとこで働いてらして、どういうふうに思いますか?

「ウソつかないで全部出して、ていうぐらいですけどね。
ほんとのこと言って、進めていこうよ。ほんとのこと言って、案をくださいっつった方が、絶対いろんな人間の案が出てくっから」


もう世界各国に救いを求めた方がいい、というふうに言ってるんですね。
そして、作業員の皆さん、この原子力発電所自体をどう思っているのか、聞いていきました。その声です。


「言うてみりゃ、もうすごい物を毎日見させられた一年でしたから(笑)。
まあ、全然そこまでは、全然そんな日本のこんな原発っていうのがあったとしても、爆発するもんやと思ってなかったし、
ましてや自分がそこに行って、その爆発したらどうなったのかと惨状みたいなのとかして、
で、それがしたら、そうなったら、それを回復するのが不可能なんやというのも知って、
で、そこで暮らしてる人間も見る、働いてる人間も見る、そこで自分も働いてる、で、こうやって頑張ってこう、町で暮らしている、
ちゅうたら、これ、日本の中で、こういうことが起こってんねやーていうのが、最初は信じられなかったですけど、目の当たりにすると、すーごい世界に来たなと思いました。
恐さと、恐さもあるし理不尽さもあるし、両方ありますね。
でも、やらないと何も変わらないっていうのもあるし、
で、やってみる。
やっても変わらない。
なんなんやろこれっていう、いろんな複雑な気持ちがいっぱいですよね。
こんな状況なってこうなってるのに、まだ動かそうとすんのっていうの僕思いますよね。
無くしてできる術があるのなら、国をあげてそっちにする方がいいじゃないのって思いますよね。
これ、だって、日本なんて地震大国じゃないですか。
で、いろいろまあ、僕もそんな知識無いですけど聞いてみると、活断層の上にある原発があったりとかするわけじゃないですか。
恐いっすよ。恐いでしょ。そんな国に住んでんの」


一方で、仕事を失う恐さもあって、今の段階で、そういった、まあ原発止めればいいということを簡単には言えない、という作業員の方もいました。
最後に、今思うこと、ということでいろんな方に聞いたんですけども、最初の方は健康に対する不安をあげていて、まあ、やっぱり独り身で恐い。でも、誰にも言わずに来てるんだと、いう話をしていて、
で、次の方、福島第一原発で作業をしていたということを、他の現場で知られるとどうかと、いうのを心配しているという方です。


「ここ終わって、別の仕事に行って、もしバレた時に、『ハイ君帰っていいよ』のこの一言で(聞き取れず)が恐い。
やっぱこの敬遠されるっていうのが一番恐い。それも、特に福島なんていう言葉が出てきて、それがバレてもたら、やっぱり誰でも今の福島に行った人、ちょっと敬遠するってあるやないですか。で、それで敬遠されるのが恐いいうたら恐い。
恐いけど、行ったことに恥は無いからね。逆に誇りに思うとる」


中で作業してることで敬遠されるんじゃないかという不安があると。
で、なぜそういうふうに思うんですかっていうふうに聞きましたら、
原発に作業に入っているということを聞いたことで、破談になったケースがあったと。他の作業員で。
あぁ!結婚のご縁が、破談になってしまう?
で、それを聞いてしまって、この方はまだ若くて独身なんですけども、彼女が今いないということで、もしできるとするならば、一生隠さなきゃいけないんだろうかなと。
福島で働いていることを言えないだろうと、おっしゃるぐらいなんですね。
コメント (2)
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