ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「今夏の電力は足りる! "電力が足りない"と言う人は"知恵が足りない"」つまりアホやっちゅうことやん!

2012年03月20日 | 日本とわたし


関西電力が今週の月曜日に、「去年夏並みの需要だと、今年の夏は約14%電気が足りない」と言った。
それはどういうことかというと、


↑これは、去年の夏の状況を図に表したもので、去年の夏は、最大需要を少し上回っていた。だから足りた、ということ。
で、今年は、原発をゼロとするとどうなるか。
揚水の発電は、原発とセットになっているので、減るという試算。
火力などの発電は調整中、ということにも関わらず、同じ分量の発電としているので、そういうことからいうと電力は足りなくなる。
がしかし、本当に足りないのか?

環境エネルギー政策研究所、飯田哲也所長が、試算したということで、話を伺う。


「関西電力は『このまま原発が全部止まると、夏には電気が足りなくなる』と言っている。本当に足りないのかどうか、ということなんですが……」
飯田氏電気が足りる足りないという、一番最初に問題になるのは、ピークの瞬間です」
「一日中足りないわけじゃない、ということですね?」
飯田氏「もうほんとに、この日のこの時間が足りないんだという、きちんと適切な情報を与えて、情報を与えたその時に(需要を)減らせるような仕組みをちゃんとつくると……これはもう実はあるんですね」
「どうすればいいんですか?」
飯田氏「ひとつは、もう既にある仕組みでいうと、(契約電力)500kW以上の大口需要家は、電力会社と、足りない時は減らしてくださいねっていう契約を結んでいるわけですね。
で、それを去年は100万kWぐらい、関西電力は一応、減らしてもらったって言ってるわけですから、
それをその、のべつ幕無しではなくて、本当に足りない瞬間に絞ってやる。
それを、今のような自主的な契約だけではなくて、基本的に、すべてのビジネス産業のカスタマー(顧客)に契約してもらえば、
去年約100万kWですから、おそらく150万kW、場合によっては200万kWとか、効果がある
はずなんですね。
「例えば家庭でも〝ピークの時に減らしたら、その分電気代が安くなりますよ〟としたら、安くなるんだったらといって、協力してくれる家庭だっていっぱいあるかもしれないですよね?」
飯田氏一般家庭とか小さなところは〝ピーク料金〟を設けるしかない、と思うんですね。
ピークの時は高いと。
で、その時に、それもまた制度設定次第で、ピークの時に、去年より超えて使ったら、もうそれは1kWあたり100円か、下手したら500円だ!と、懲罰的に高くしておいて、
その代わり、減らしたら、割引だ!と言ったら、みんなこぞって減らします
ね。
と同時に、供給側を瞬間的に増やすと。
これはまた色々なやり方があって、よその電力会社から買ってくる。
独立の発電事業所といわれる、あるいは自家発電、大量に、これも時間を決めて買えるようにしておく。
あとは、最後の手段として、揚水発電をすべてスタンバイして、瞬間的に使えるようにしておく。

このふたつを使うだけで、関西電力は、全く問題なく足りますね」
「そうすると〝(電気が)足りない足りない〟と言っているのは、今までの古い、ある種頭の悪いやり方をやっている限りは、足りませんよと?」
飯田氏「〝電気が足りない〟と言ってる人は、〝知恵が足りない〟んですよ。知恵と情報が足りない」

需要を減らすというのは、海外では普通に行われていること。
当然のことだが、物の値段が上がったら、買うのをやめる。これは当たり前。
電気だっておんなじことだ。
だから、値段で需給というのは充分調整できるのだが、そういうふうなことをやっていない
じゃないか?、というのが今の話。

揚水は、どうして、原発とセットになっているのか?
揚水というのは、基本的に、下にある水を夜間の電気で上に上げて、昼のピークの時にそれを落として(言ってみれば水力発電の一種)使う。
で、原発というのは、日中も夜間も、ずっと同じ発電を続ける。
火力だったら、夜はあまり電気が必要ではないので、焚くのを止めようということができるが、原発は止められない。
だから、夜の余った分を、揚水で使うということで、ほぼセットになっている。
ただ、火力で夜焚いて、その分で水を上げるということだってできる。
ピーク時だけそれをやればいい
、ということ。

そこで、飯田氏の試算だが、


ひとまず、火力・水力はまあ一緒だとして、他社の融通は、まだ100万kWぐらいはいけるはず。
なぜかというと、関西電力は、他の電力会社からも買えることになっていて、
中部電力、中国電力は、関電に比べれば、余裕があるはずなので、買う事ができるはず。
それから、他の管内の、火力発電所(電力会社以外の)からも買えるはず。
で、ピークの時は高く買う、と言えば、売ってくれる。
自家発電も高く買う、と言えば、売ってくれる。

だから、100万kW増は可能ですよ、ということ。
それから、揚水だって、別に原発でやるだけではなく、夜、火力発電を焚いて、それで上げることができる。
要る季節だけ、それをやればいい。

それでほぼ足りることになるが、これにはまだ、太陽光などのエネルギーが入っていないので、そういうものも入れれば、ギリギリだが足りるし、
それから需要も、先程の提案のように、価格の調整で減らすことができるので、だいたい3.6%ぐらいは足りることになるはず。
もっとうまくやれば、もっと足りるはず。
ピークさえ乗り切れば大丈夫。

実際のところ、本当に節電しないと〝パンク〟する日は、去年とおととしに何日ぐらいあったのか?
『今年の夏用に試算した、関西電力の供給力を超えたのは、おととしと去年で、何日あった?(約3%の余裕込み)』

おととし……猛暑であったので、31日ぐらい超えた。
去年……2日(1日約4時間)
おととしは、節電など何もしなかった年。
去年は、原発事故の後ということもあり、節電が為された。
仮に、去年よりさらに暑い夏になったとしても、せいぜい1週間ぐらい、対応すればいいということなのだから、
経済界も1週間程度のことで、日本経済がどうなるこうなるという話ではない、ということ。

飯田氏は、大阪府市の電力問題のことで、関西電力とやり合っている。
その時に、関西電力の方から、驚きの発言があったという。
飯田氏(関西電力は)『いざとなったら、料金を上げてでも需要を下げるのか』と言ったら、『やるつもりはない』と」
「え?『やるつもりはない』って言ったんですか?」
飯田氏「そう言っていたので、そういう、停電を避けるために料金を上げることもせず、もう下手をしたら、関西電力は停電に任せるような、そういう口ぶりでしたからね」
「要するに飯田さんは、『需要を下げる必要があると。で、需要を下げるためには、ヨーロッパでもどこでもやっているように、ピークの時には値段を上げたりして、需要を下げるというようなことをしないのか』と聞いたんですか?」
飯田氏「そうですね」
「そしたら?」
飯田氏「『まあそれは、理解を得られないかもしれないので、何年かかけてやりたい』と言ってですね」
「だって今年の夏の話ですよ?」
飯田氏「ええ」
「ということは、やらない、ということですか?」
飯田氏「全く、そちらに関しては、関心が無いみたいですね」
「需要を減らすために、(ピーク時に)料金を上げることはしないと、言ってるんですか?関西電力は?」
飯田氏「はい、『今のところ、社会的理解は得られないんじゃないか』と、関西電力は言っていますね」
「じゃあ、その場合は停電しますよ、ということ?」
飯田氏「ということになります。このままいくと、計画停電になります。もっと、社会的な理解が得られないと思いますが……。
とにかく、何が何でも、原発再稼働、というふうに、今のところ思い込んでいる
みたいですね」

電力会社は地域独占なのだから、仮に原発が動かなくとも、電気を供給する責任がある。
だから、原発が動かなかったら、電気が足りません、では済まない。
あらゆる手を使い、足りるようにしなければならない。
そのための方策をやらないということに対して、飯田氏は「もうびっくりした」という。


電力の試算については、足りる足りないの意見がさまざま出ている。
仮に足りるとしたら、足りても電気代は上がる、という説がよく出ている。
原発を止めた分、火力になり、その分燃料代が増えて上がるよと、そういう話がよく聞かれる。

では、原発が全部止まると、電気代はどうなるのか?
富士通総合研究所のドイツ等でいろいろリサーチをしてきた、高橋洋主任研究員に聞く。

「電気代はやはり上がらざるを得ないのか?」
高橋氏「やっぱり、上がる要因がどうしてもあります。
それは単純に言うと、原発を止めて、火力発電で基本的には補っていますので、
原発は安全とかはひとまず抜きにして、ランニングコスト(運転資金)が非常に低い電源ですので、
それを止めて、ランニングコストが高い火力で、埋め合わせをしているわけですから、
単純に計算をすれば、明らかに、コストが増えているのは間違いない
ですね。
下げる要素というのは、よく言われる通り、日本では競争がないじゃないかと、地域独占で競争がないじゃないかと、
だから、日本の電気料金は高いんだ、という話ですね。
ですので、まだまだ競争させれば、あるいは政府がしっかりと、価格を査定すれば、(電気代は)下がるはずです」
「仮に、化石燃料の値段が変わらないとして、化石燃料(火力発電)が増えた分で上がる分と、新規参入と、それから競争で下がる分でいえば、
上がらないどころか、下がることもあり得る、ということですか?」
高橋氏3年後くらいみたらどうか、ということであれば、しっかりと競争条件を作って、新規参入者が入ってくれば、
供給力が徐々に増えていきますので、3年後くらいには、今の水準よりは下がる、ということは考えられ
ると思います」

そこで、電力自由化ということで、電気代がどう変わるか、ということで、
ドイツでの、電力自由化直後、電気代はどう変わったか?を聞いた。

「実際に競争があったら、どれくらい、電気代は下がるものなのか?」
高橋氏「例えば、ドイツの場合には、こちら(上段)が産業用で、こちら(下段)が家庭用電気料金ですけれども、
1998年に全面自由化をしまして、はじめの2~3年くらいで、ガクッと下がっているんですね」
「その緑のところは税金で、青いところが実質の電気料金、ということですね?」
高橋氏「そういうことです。これは明らかに、3割くらい、2年の間に下がっているんですね。
ただ、その後、徐々に上がってきている、というところが、まあよく批判されるところでして、
一つには、化石燃料(の価格)が、ずっと2000年代、基本的には上がってきましたので、そもそも上がってこざるを得なかったんだというのもありますし、
いろいろと話を伺いましたけれども、やはり自由化をして、一気に市場を開いて、競争になってしまったので、
ものすごい価格競争になって下がった、ということは、もう実証されています」

ということで、ドイツでは電力自由化後、3割下がった。
今、日本の電力会社は、1割上げたい、というような話をしている。
で、競争すると、3年後ぐらいには、完全に吸収されるんではないか、と思われる。
短期的には、例えば、ここ1~2年の間は、少し上がるかもしれないが、3年後ぐらいには下がるのではないか、と思われる





「今夏の電力は足りる! "電力が足りない"と言う人は、"知恵が足りない"」
つまり、阿呆ということやん。

ここ数日、ずっとずっと考えてることがある。
原発ムラというシステムのおぞましさ、いやらしさ、執拗さ、徹底的な冷酷さ。
言葉では表せへんほどの、人間からはかけ離れた、無感情の、欲のかたまり。
いや、もう、もしかしたら、欲みたいなもんさえもそこには無くて、とにかく受け継いできた事を死守する、みたいな。

そのためには、人も殺める。間接的に、秘密裏に。
その方法はなんぼでもある。
金と権力のあるとこには。

こんなことを言うと、旦那はすぐに、「映画の世界を現実にもってくるな!」とわたしに注意する。
現実は映画みたいな、劇的なことが次々と起こらへんと。

そうやろか……。
もちろん、わたしが若かった頃のゴタゴタは、人のそれよりも深刻で、回数も多かった。
そんな人生をみんなが歩んでたら、半数以上は自殺してこの世から去ってるかもしれん。
そやし、奇異な人生で、滅多に起こらへんのかもしれん。
けども、現実にあった。
人は、こんなしょうもないことで命を落としたり、殺されたりするんやと、呆れるようなことが何回も。

今、原発ムラのシステムに日本がすっかり包囲されてる。
その中で政治が粛々と行われてきた。
政治家も企業も学者も、そのシステムに飼われてて、歯向かいさえせんかったら無事に人生を終えられた。
歯向こうてしもた人間は、執拗で無慈悲な、ほんで一切表立つことのない妨害や攻撃を受け、システムの外に消えていく。
外で生きられる人もいれば、本当の意味で消されてしまう人もいる。

自分が、なんらかの形で人の上に立つ仕事をしてて、原発ムラに反抗したいと思た場合、冗談抜きで、自分や自分の家族の命を心配する。
このストレスと恐怖を、この数日間想像してる。
想像というより、思い出してる。
わたしも実際に、少なくとも5年以上、そういう心配をして生きた。原発とは全く関係の無いことで。

そういう立場の人達は、そやから自分の思いをはっきりと外に、声に出して言えへんのかもしれん。
言うてもその後で、想像以上の嫌がらせや脅迫を受け、すっかり怯えてしもて、意見を撤回してるのかもしれん。
そやからこそ、システムを変えるのは、わたしら、名も無い市民なんやと思う。
名前を持つ人間にも、自分や自分の家族の命を守る権利がある。
わたしらひとりひとりにももちろんある。
けど、わたしがどこかの事務所に電話したりメールを送ったりすることで、原発ムラから脅迫されたり嫌がらせを受けたりはせえへん。
そこまで手が回らへん。
わたしらは草の根。
あいつらの見えへん地中に、じわじわと、横に縦に根を張り巡らせ、抜かれても踏まれても、次から次へと立ち上がる雑草の根。
悩んでる市長を支えたろ!困ってる議員を助けたろ!
コメント (12)
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