バンダジェフスキー博士院内講演会の会見内容を文字にしました。
映像は、上記の太文字をクリックしてください。出てきます。
司会:それでは、ユーリ・バンダジェフスキー博士の、記者会見を行いたいと思います。
博士ご本人のご紹介というのは、みなさんよく御存じかと思いますが、
ベラルーシで、チェルノブイリ後にですね、90年代に、放射性物質による、健康被害の状況を明らかにされるために、かなり多くの数の遺体の解剖をされて、
放射性物質の残留量から、いろんな形で、放射能が人体に与えている、いろんな健康被害の影響の状況に関して、
克明にレポートをされ続けた、おそらくベラルーシ国内唯一では、医学者になります。
なぜ、それができなかったかというと、他の人たちは、体制の中で、ほとんど発言することができず、
彼のみがそうした研究活動を続けたがために、彼は、逮捕・収監されて、5年間、獄につながれるという状況にありました。
その後出獄をされて、今はウクライナで、研究活動をされています。
今回、福島第一原発の事故以降、相当心配をされていて、その状況の中で、ぜひ日本に来て皆様の前でいろんなお話しをしたいと、
日本の国会議員の皆様、政治関係者の皆様、それから、政府関係者の皆様、それからメディア関係者の皆様に対してぜひお話をしたいということで、ご要望されて、今日の会となっております。
それでは、博士、よろしくお願いいたします。
バンダジェフスキー博士:今回、木下さんの招待を受けてやってまいりましたが、木下さん、木下さんのチームが、非常に真剣に、がんばっていらっしゃいます。
放射能の影響を受けている人たちの健康を守る、そのことの支援ができたらと、思ってやってまいりました。
去年の3月、事故が起こりまして、あのような、今の状況ができているわけですね。
その状況に対して、私は何事も、見て見ぬふりはできません。
残念ながら、日本からの放射能汚染に関する情報というのは、非常に少なくて、
特に、日本から遠くに住んでいる状態で、何らかの結論を出す、ということはできません。
今回は、日本に来てください、という話がありましたので、今回こうして、日本に来てですね、自分のもっている今の意見を、皆さんにお伝えをしにやってまいりました。
この意見というのは、体に取り込まれた放射性物質が、どのように人体の健康に影響を与えるのか、という私の考え方を伝えるためです。
この、私がもっている情報を皆さんに提供することによって、人々がこの事故の後、汚染された地域に住んでいる中で、いかに自分達の健康を守っていくか、
その、効果的な健康の守り方について、少しでもお役に立てれば、と思っております。
私の持っている自分たちの考え方というのは、1990年代に、ゴメリで、私が学長をつとめました医科大学で、私が、そしてまた、私の同僚がやった研究の結果、できあがった今の考え方であります。
ゴメリの地域に住んでいる、人々の健康について、詳しく研究しました。
今回は、いろんな町で、講演させていただいました。
そして、いかに、こういう状況の中で、健康を守るのかと、いうことについて、お話をさせていただいたわけなんですが、
総計で、だいたい3500人以上の方が、来られたと思います。
私の話を聞いて、何らかの、ためになる情報を、得てくださったものと思います。
こういう情報をもって、どのように、今後行動していかなければならないのか、
そして、今後どうしたらいいのか、正しい決定をする、ひとつの助けになったのではないかと思います。
このような状況では、国、そしてまた、そこで働く議員の皆様が、しっかりと、さまざまな事実を認識する必要がある、と思っております。
チェルノブイリの事故の後、人々の健康を守るという仕事の中で、それを感じました。
私は、研究の中で、放射性物質が体に入り込むというのは、非常に人の健康に悪い、ということがわかりました。
体内に入ると、本当に危険な放射性物質。
その放射性物質というのは、数千人なのか、それとも数百万人なのか、多くの方々が、影響を受けることになっております。
今回も、福島で、原発が爆発したということで、数多くの方々が、これによって影響を受けております。
いまの状況を、ぜひ客観的に、皆様には評価していただきたい、と思います。
そして、以前に、ソ連邦の政府の首脳が、また、その後、ソ連邦がなくなって、さまざまな国になりましたが、
そこにいる、政権についている人たちの間違いを、ここで繰り返していただきたくない、と思っています。
その後、チェルノブイリ原発事故後の、政治によってとられた対策によって、
実を言いますと、いまこの地域では、死亡率が、出生率を大きく上回っております。
どんどんどんどん、この地域に住んでいる人々が、とくに若い人たちが、重い病気によって、死んでいっている状況があります。
そういう点では、木下さん、そしてまた、木下さんのもとに集まった多くの方々のイニシアチブを、非常に高く評価しております。
そういう力をもってして、ぜひ、客観的な情報を収集していただいて、自分たちの健康、そして自分たちに近しい人たちの健康を、守っていただきたいと考えております。
ということで、質問に答えたいと思います。
アワープラネットTV:2点あってもいいですか?
まず、1点目なんですけれども、博士は本の中でも、突然死とかですね、様々な心疾患も含めて、死亡と、それからセシウムの蓄積について、研究されているわけですが、
わたしの知る限りでも、去年から今年にかけて、福島などで、若い高校生ぐらいのお子さんが、突然死されたりとかしております。
で、例えば、セシウムとの因果関係はもちろん、今のところなにも、表明も報道もされていないわけですが、
例えばこの、臓器のセシウムを測定するようなこと、あるいはまあ、私の知り合いの知り合いも亡くなっているんですけれども、
そういった、亡くなった方の臓器を、いまのうちから検査する、ということは、意味がある、というふうにお考えかどうか、というのがひとつめ、お尋ねしたいと思います。
バンダジェフスキー博士:ご質問ありがとうございます。
まず、環境中に、高い濃度で放射線がある、というところに住んでいる場合には、突然死の可能性がある、と考えています。
私たちも、そういうものを、記憶しています。
うちの学生の中でも、そういうのがいたんです。
放射性セシウムというのは、特に、心臓に対して、激しく攻撃をします。
他の臓器にも、攻撃を加えますが。
セシウムが取り込まれますと、心筋の細胞に蓄積します。
そういうことによって、代謝機能が失われ、そして、エネルギー産出ができなくなります。
心臓の心拍が乱れる。
すなわち、そこのリズムが乱れて、崩れてしまいます。
それが、人間にとって、死につながるような現象になるわけです。
心臓が止まります。
実際に解剖して測ってみれば、そこにセシウムがあった、ということが、確認できるのではないでしょうか。
そして、私たちのデータを使えば、それの因果関係が、はっきりすると思いますが、
もう亡くなった方については、助けることができないのが残念です。
私たちの大学では、そしてまた、私の本の中で書いたことを、有効に使っていただけることの方が、もっと大事ではないでしょうか。
生きている方々を検査して、セシウムがどのように作用しているのかを、調査する必要がある、と思います。
必ず、体内の放射性セシウムの濃度を、調べる必要があります。
線量計で。
結局、そういう中で、リスクグループを判定することができます。
リスクグループというのは、突然死につながる可能性のあるグループです。
ただ、突然死する場合のセシウム濃度というのは、決められたことがありません。
私たちの研究でも、わずかなセシウム量、例えば20とか30bq/kgぐらいで、すでに、心拍の異常が出てきてしまっておりました。
子供です、これは。
突然死の原因に、なりうるわけです。
ですから、今回の、福島原発の被災地においては、子供だけではなく、大人も含めて、全員を対象にした、線量調査が必要だと思います。
アワープラネットTV:今回の来日で、全国を回られ、日本との交流を通して、博士の研究を、これからどういう形で、日本に還元したいというふうに思われたか、教えていただければと思います。
バンダジェフスキー博士:まず、日本の方々と、こうやってお会いできる機会をいただいたことに、感謝します。
これは、観光ではございませんでした。
ずっと、仕事ばかりしております。
本当にタイトで、こういう講演会の聴衆の方々としか、会ったような気がしません。
この問題に、本当に皆さん、関心を持っていらっしゃる、ということを感じました。
私が持っている情報・知識を、皆さんに提供する用意があります。
皆さんをお手伝いするために。
そして、この不幸と戦うために。
私は医者なので、このような状況に対して、目をつぶることができません。
医者としての自分の責任を、果たします。
もしも、日本、また日本の国民の皆さん、その日本の社会、そしてまた、国の機関も、この問題について関心があって、
私と仕事をしたい、ということであれば、そのような提案を、私は、心良く受け入れたいと思います。
東洋経済:ふたつの聞きたいことがございます。
ひとつが、日本での、内部被曝の深刻度について、なんですが、
先程博士は、福島の事故について、大変心配をしているとおっしゃいましたが、
日本に来られてみて、話を聞かれたり調べられたりして、どのような点に、現実に、非常に深刻度が見られるとお考えなのか、
もし、具体的になにか、データなどがございましたら、教えていただきたい、ということ。
ふたつめが、4月から、食品に関して、新しい基準値が日本でも導入されます。
一般食品が、1kgあたり100ベクレル、
乳児用食品や牛乳は、50ベクレル、
飲料水は10ベクレルという、新しい基準値が、今までの基準値にかわって導入されます。
この、新しい基準値の数字そのものを、どのように評価しておられますか?
ポジティブな面、あるいは不十分かどうか、含めてお聞きしたいと思います。
バンダジェフスキー博士: 残念ながら、皆さんのところは、情報が少ないんですね。
自分たちで、情報を隠しています。
もしも、このような形で、情報を隠し続ければ、数十年後に、日本人という国民が、本当にわずかになってしまいます。
この悲劇を、小さな事故だ、と思ってはいけません。
安心したいのはわかります。
でも、厳しいんです、状況は。
しかし、世界にとっても、福島から、多くの放射性核種を受けるということで、非常に大変な問題なんですが、
特に大きな問題は、日本に、その放射性核種が拡散しているんです。
今は、ビジネスのことを考える必要は、ないと思います。
今は、拡散のこと、日本の国民を救うこと(を考えるべきです)。
皆さんは、汚染地域の地図がありますが、これを、どうやって信用したらいいのかわかりません。
非常に大きな汚染です。
高い汚染です。
多分、放射性核種は、人々の体内に、もう入り込んでいるんじゃないでしょうか。
でも、それを測っていませんよね、誰も。
皆さんは、何でも知っていて、何でもできると、そんな感じに思っているのではないでしょうか。
あと私は、日本のお医者さん、そしてまた、学者の方で、チェルノブイリを研究された方の、研究成果を知っております。
私が、ゴメリの医科大学で、1994年に、国際シンポジウムを開きました。
そこにも来てくださいました。
その中で、私たちが発表した、「セシウムは心臓に、非常に危険である」ということについても、日本の学者の方々は、深い理解を示しておりました。
しかしながら、そういう経験があるにもかかわらず、その経験が生かされていない。
それが理解できません。
このような形で、何も見えない状態、そしてまた、情報がない状態で、どうやって人々の、手助けができますでしょうか。
何もできないと思います。
結局、「黙っている」という政策が、ウクライナやベラルーシ、またロシアの各地域において、状況を深刻化させております。
これは、人口統計上の、悲惨な状況です。
私が、レクチャーで使った資料を、改めてお見せてもいいんですけれど、
結局、私たちが経験したことを、もう一度、皆さんはここで、繰り返そうとしているように思えるんです。
今、何もやらなければ、そういうことが起きてしまいます。
日本の場合、人口密度が高いです。
ですから、密度が高い分だけ、多くの人々が、これで被害を受けるわけです。
結局、津波の後、がれきが散乱しております。
これは、放射性物質の源でもあります。
それは、廃棄しなくてはいけません。
それも、大至急。
そういう、放射性物質の汚染源を、早く廃棄しなければなりません。
そういうものを、日本全国に、ばらまく必要はないわけです。
このような、「黙っている」という政策が、昔、独裁政権がありました、ソ連邦の共産党政権、この中で行われたのはわかりますけれど、
この21世紀に暮らしている、文明社会である日本でも、そういうことが行われることが、理解できません。
ふたつめの質問は、なんでしたか?
東洋経済:日本の、新しい食品に関する、基準値についてのご見解は。
バンダジェフスキー博士:ベラルーシの基準を出します。
そうしたらわかると思います。
コメントを出しやすいよう、いま見つけます。
まず、私の基本的な考え方ですけど、食品に、放射性物質が含まれていること自体が危険です。
まず、濃度・ベクレル数を下げている、ということについては、肯定的な動きだと思います。
しかし、今年の4月から、新しい基準になるということですが、この基準は、ベラルーシでも、すでに13年ぐらい使われている基準なんです。
いろんなバリエーションで使われてますが。
しかしながら、この基準のおかげで、住民は、放射性物質を吸収し続けています。
結局、こういう基準があって、食品を食することによって、放射性物質を体に取り込む。
取り込んだ放射性物質は、体の様々なシステムに、影響を与える。
このこと自体が、外部被ばくよりも、数段深刻であり、非常に危険であります。
例えば、牛乳1リットルあたり100ベクレルのものを、数週間とり続けたら、体の中に蓄積するセシウム量は、非常に多くなります。
危険です。
皆さんに必要なのは、完全にクリーンな食品であり、クリーンな土地です。
さまざまな寿命を持つ、さまざまな放射性物質がありますが、どんな放射性物質であれ、それを取り込むということは、本当に、体にとって良くないことです。
危険です。
人々は本当に、放射性物質のない食品を、受け取る必要があります。
非常に高い濃度で、汚染されている地域は、福島だけではないという風に、私も聞いています。
非常に広い地域が、汚染されています。
東京でも、あちこちで、放射性セシウムが観測されている、ということを聞いていますが、
やはり、汚染されている地域から、まあ、話していいかどうかわかりませんが、引っ越すべきだと。
きれいな土地に住むべきだ、と私は思っています。
人々の健康を守るという、この対策においては、国が、役割を果たすべきです。
今起こっていることに対して、しっかりと責任を果たし、そして人々の健康を守っていく。
それが、政治の責任です。
政治こそ、それができるし、やるべきだと思います。
司会:えー、参考までに、ベラルーシは、野菜とかの基準値が100ベクレル、というエリアです。
ですから、暫定基準値が、4月1日以降になると、近い値になるということを前提で、博士はおっしゃっていると思います。
通訳:まあ、野菜もいろいろありますけどね。
司会:そうですね、わかっています。
通訳:ま、主に、ということで。
司会:あと、4月以降の、ロカイサ?の、暫定基準値の移行期間というのがありまして、
結局、前の基準で、半年間は運用可能だ、という状況になっていることもご存知なので、
そういうのをふまえて、いろいろ思ってらっしゃるということです。
次の方、あとおひとりかおふたり。
ー:内部被曝が、非常に重要だと、今おっしゃっていますけれども、仮に、内部被曝の分を、口径摂取するのを管理できた場合、
土壌汚染で、健康的に暮らせる、安全的な閾値は、どのようにお考えですか?
具体的に言うと、福島、郡山市、二本松市というのは、健康に住める環境にあるのかどうか、
仮説として、口径による内部被曝を、完全に管理できた場合です。
バンダジェフスキー博士:たとえば、牛乳を例にとってみますと、牛乳の場合は、クリーンなものが、100bqということになってますよね。
101bqになったらもう、汚染されている、ということですよね。
99bqは汚染されていない、ということになりますよね、基準は。
ですから、何が基準なのか?、ということなんです。
どこに差があるのかと。
難しいです。
汚れたら危険なんです、すべて。
基準というのは、そういう形で、あくまでも運用的なものなんですね。
土地についてお答えしますと、土地の表面で、汚染が低かったとしても、土の中で、汚染が高ければ、危険です。
結局、今、線量を測っているのは、土地の表面だと思いますけれど、農作物は、土の中で吸収して、その食品を得ることで、被曝が起こります。
今の状況は、セシウムが、地上にあるわけですね、表面に。
こういう所で、高い濃度があった場合、背の低い子供たち、これが一番、危険になります。
たとえば、1平方メートル37キロベクレルであれば、外部被爆としても、小さな子供にとって、非常に危険です。
長い間、汚染されている地域に住んでいる人たち、そして、そういう人たちが、また新たに、新しい放射線核種を、体に取り込む、ということになりますと、それは本当に、さらに危険になってきます。
もともと持ってたものに、さらに、新たなものが取り込まれるのが、非常に危険なんですね。
もっとも危険なのは、食品を通して、体の中の臓器に、とりこまれることなんです。
病気が誘引される放射性濃度、また、放射線量の限界というのが、どこにあるのかは、はっきりしていません。
子どもの場合、10から30bq/kgで、大体60%の子供が、心電図に異常が出てきてしまいます。
そのベクレル数が、さらに上がっていくと、心臓の動悸が悪い子ども達の数が、どんどん増えます。
ベラルーシには、たくさんいるんです、そういう子が。
汚染地域でですね。
だから死んでいくんです。
70~100bq/kgからが、突然死のリスクのあるグループです。
他の器官も、いろんな疾病が出るわけで、そういうところは、治療が行われますが。
これは、チェルノブイリ原発の横にある、地区の死亡率です。
原発から30キロの所にある、イワコフ地区ですね。
1000人あたり、30人が死亡します、1年間に。
実は、キエフ州全体でも18人、これは多い方です。
結局、そこに住んでる住民が、死んでいってるんです、今。
これが、ベラルーシの、もっとも汚染されているところ。これも死亡率ですね。(図を参照にしている)』
ここで会見が終わり、勉強会に入った。
彼の説について、いろいろな意見があることは読んだことがある。
けれども、彼が、現地で患者を実際に治療し、検査し、亡くなった方の御遺体を解剖し、そこから得たデータをまとめたことは事実で、
沈黙を決め込んだ政府や原発マフィアから迫害を受け、資料やデータを隠滅され、投獄されたことも事実。
今朝、つい最近、日本に法事で帰った友人と会うた。
関東の人で、2番目の娘さんとあちこち回った、楽しい旅の報告の後に、ポツンとこんなことを言うた。
「なんか、日本、ほんとにヤバいような気がする……」
なんか普通過ぎる。花見の話で盛り上がってたりする。
テレビも新聞も、原発事故の現場がどうなってんのか、どんな進展があり、どんな問題があるのか、
放射能汚染を、どうやって切り抜けていくのか、どんな防護の工夫ができるのか、
検査はどこでできるのか、汚染の状況はいったいどこで教えてもらえるのか、
そんなこと、滅多に報道してないし、今まで通りの、うるさいバラエティ番組だらけ。
特に若い子達は、もう事故なんて昔のことで、すっかり忘れてしまってるような様子やったと。
「もしかしたら、あんまり深刻過ぎて、現実回避の思考が働いてるのかもとちゃう?」
「う~ん、そうは思えないなあ……」
博士が言わはった。
「日本の皆さんは、何でも知っていて、何でもできると、そんな感じに思っているのではないでしょうか」
やっぱり、わからんだけに、見えへんだけに、匂わんだけに、痛まんだけに、
ナメてるわ、みんな。恐がってはいるけどナメてる。
博士の会見を何回も聞き返して、つくづくそう思た。
今は、経済なんか気にしてる場合とちゃうねん。命やねん命!
あれから1年も経ってもまだ、誰かに、徹底的に厳しく、有無を言わさん勢いで、正式に、できたら政府発表ぐらいの威厳付きでもって、
「なにグズグズしとんねん、そっから逃げ言うてるやろ、ドアホ!」ぐらい言われんと、目の前の現実を正視できひんねんな。
ほんで、できたら、保証と支援付き、はいはいこっちですよ~のガイド付きでもないと、どこにも行けへんねんな。
今まで通り、言葉も通じるのに。法律も文化もえろう変わらんのに。
国が助けへん言うてんねん。いや、それも言わんとダンマリを決め込んでんねん。
一番卑怯なやり方や。
黙ってたら済むと思てるんやろし、実際それで済んでいってるんやから、向こうはニヤニヤや。
住民のほとんどは、思惑通り、今までのとこで暮らし続けてるし、そやから税収にもそれほど損害が無い。
あと数年、十数年もしたら、博士の言うてはることが事実やとしたら、住民の数は自然に減っていくやろけど、
今の自治体の長も政治家も、そんな頃には責任取る必要のないとこにいるやろから、今はただただ時間が過ぎるのを待ってるんやろな。
いや、ただ待ってるんやない、拡散大作戦を成功させな、訴訟された時にトボケられへんから、けっこう忙しいんかもしれん。
日本人という国民が、本当にわずかになってしまいます。
この言葉の意味、わかる?
いつまでも黙らせてんと、いつまでも待ってんと、自分にできることでええからやって。
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司会:それでは、ユーリ・バンダジェフスキー博士の、記者会見を行いたいと思います。
博士ご本人のご紹介というのは、みなさんよく御存じかと思いますが、
ベラルーシで、チェルノブイリ後にですね、90年代に、放射性物質による、健康被害の状況を明らかにされるために、かなり多くの数の遺体の解剖をされて、
放射性物質の残留量から、いろんな形で、放射能が人体に与えている、いろんな健康被害の影響の状況に関して、
克明にレポートをされ続けた、おそらくベラルーシ国内唯一では、医学者になります。
なぜ、それができなかったかというと、他の人たちは、体制の中で、ほとんど発言することができず、
彼のみがそうした研究活動を続けたがために、彼は、逮捕・収監されて、5年間、獄につながれるという状況にありました。
その後出獄をされて、今はウクライナで、研究活動をされています。
今回、福島第一原発の事故以降、相当心配をされていて、その状況の中で、ぜひ日本に来て皆様の前でいろんなお話しをしたいと、
日本の国会議員の皆様、政治関係者の皆様、それから、政府関係者の皆様、それからメディア関係者の皆様に対してぜひお話をしたいということで、ご要望されて、今日の会となっております。
それでは、博士、よろしくお願いいたします。
バンダジェフスキー博士:今回、木下さんの招待を受けてやってまいりましたが、木下さん、木下さんのチームが、非常に真剣に、がんばっていらっしゃいます。
放射能の影響を受けている人たちの健康を守る、そのことの支援ができたらと、思ってやってまいりました。
去年の3月、事故が起こりまして、あのような、今の状況ができているわけですね。
その状況に対して、私は何事も、見て見ぬふりはできません。
残念ながら、日本からの放射能汚染に関する情報というのは、非常に少なくて、
特に、日本から遠くに住んでいる状態で、何らかの結論を出す、ということはできません。
今回は、日本に来てください、という話がありましたので、今回こうして、日本に来てですね、自分のもっている今の意見を、皆さんにお伝えをしにやってまいりました。
この意見というのは、体に取り込まれた放射性物質が、どのように人体の健康に影響を与えるのか、という私の考え方を伝えるためです。
この、私がもっている情報を皆さんに提供することによって、人々がこの事故の後、汚染された地域に住んでいる中で、いかに自分達の健康を守っていくか、
その、効果的な健康の守り方について、少しでもお役に立てれば、と思っております。
私の持っている自分たちの考え方というのは、1990年代に、ゴメリで、私が学長をつとめました医科大学で、私が、そしてまた、私の同僚がやった研究の結果、できあがった今の考え方であります。
ゴメリの地域に住んでいる、人々の健康について、詳しく研究しました。
今回は、いろんな町で、講演させていただいました。
そして、いかに、こういう状況の中で、健康を守るのかと、いうことについて、お話をさせていただいたわけなんですが、
総計で、だいたい3500人以上の方が、来られたと思います。
私の話を聞いて、何らかの、ためになる情報を、得てくださったものと思います。
こういう情報をもって、どのように、今後行動していかなければならないのか、
そして、今後どうしたらいいのか、正しい決定をする、ひとつの助けになったのではないかと思います。
このような状況では、国、そしてまた、そこで働く議員の皆様が、しっかりと、さまざまな事実を認識する必要がある、と思っております。
チェルノブイリの事故の後、人々の健康を守るという仕事の中で、それを感じました。
私は、研究の中で、放射性物質が体に入り込むというのは、非常に人の健康に悪い、ということがわかりました。
体内に入ると、本当に危険な放射性物質。
その放射性物質というのは、数千人なのか、それとも数百万人なのか、多くの方々が、影響を受けることになっております。
今回も、福島で、原発が爆発したということで、数多くの方々が、これによって影響を受けております。
いまの状況を、ぜひ客観的に、皆様には評価していただきたい、と思います。
そして、以前に、ソ連邦の政府の首脳が、また、その後、ソ連邦がなくなって、さまざまな国になりましたが、
そこにいる、政権についている人たちの間違いを、ここで繰り返していただきたくない、と思っています。
その後、チェルノブイリ原発事故後の、政治によってとられた対策によって、
実を言いますと、いまこの地域では、死亡率が、出生率を大きく上回っております。
どんどんどんどん、この地域に住んでいる人々が、とくに若い人たちが、重い病気によって、死んでいっている状況があります。
そういう点では、木下さん、そしてまた、木下さんのもとに集まった多くの方々のイニシアチブを、非常に高く評価しております。
そういう力をもってして、ぜひ、客観的な情報を収集していただいて、自分たちの健康、そして自分たちに近しい人たちの健康を、守っていただきたいと考えております。
ということで、質問に答えたいと思います。
アワープラネットTV:2点あってもいいですか?
まず、1点目なんですけれども、博士は本の中でも、突然死とかですね、様々な心疾患も含めて、死亡と、それからセシウムの蓄積について、研究されているわけですが、
わたしの知る限りでも、去年から今年にかけて、福島などで、若い高校生ぐらいのお子さんが、突然死されたりとかしております。
で、例えば、セシウムとの因果関係はもちろん、今のところなにも、表明も報道もされていないわけですが、
例えばこの、臓器のセシウムを測定するようなこと、あるいはまあ、私の知り合いの知り合いも亡くなっているんですけれども、
そういった、亡くなった方の臓器を、いまのうちから検査する、ということは、意味がある、というふうにお考えかどうか、というのがひとつめ、お尋ねしたいと思います。
バンダジェフスキー博士:ご質問ありがとうございます。
まず、環境中に、高い濃度で放射線がある、というところに住んでいる場合には、突然死の可能性がある、と考えています。
私たちも、そういうものを、記憶しています。
うちの学生の中でも、そういうのがいたんです。
放射性セシウムというのは、特に、心臓に対して、激しく攻撃をします。
他の臓器にも、攻撃を加えますが。
セシウムが取り込まれますと、心筋の細胞に蓄積します。
そういうことによって、代謝機能が失われ、そして、エネルギー産出ができなくなります。
心臓の心拍が乱れる。
すなわち、そこのリズムが乱れて、崩れてしまいます。
それが、人間にとって、死につながるような現象になるわけです。
心臓が止まります。
実際に解剖して測ってみれば、そこにセシウムがあった、ということが、確認できるのではないでしょうか。
そして、私たちのデータを使えば、それの因果関係が、はっきりすると思いますが、
もう亡くなった方については、助けることができないのが残念です。
私たちの大学では、そしてまた、私の本の中で書いたことを、有効に使っていただけることの方が、もっと大事ではないでしょうか。
生きている方々を検査して、セシウムがどのように作用しているのかを、調査する必要がある、と思います。
必ず、体内の放射性セシウムの濃度を、調べる必要があります。
線量計で。
結局、そういう中で、リスクグループを判定することができます。
リスクグループというのは、突然死につながる可能性のあるグループです。
ただ、突然死する場合のセシウム濃度というのは、決められたことがありません。
私たちの研究でも、わずかなセシウム量、例えば20とか30bq/kgぐらいで、すでに、心拍の異常が出てきてしまっておりました。
子供です、これは。
突然死の原因に、なりうるわけです。
ですから、今回の、福島原発の被災地においては、子供だけではなく、大人も含めて、全員を対象にした、線量調査が必要だと思います。
アワープラネットTV:今回の来日で、全国を回られ、日本との交流を通して、博士の研究を、これからどういう形で、日本に還元したいというふうに思われたか、教えていただければと思います。
バンダジェフスキー博士:まず、日本の方々と、こうやってお会いできる機会をいただいたことに、感謝します。
これは、観光ではございませんでした。
ずっと、仕事ばかりしております。
本当にタイトで、こういう講演会の聴衆の方々としか、会ったような気がしません。
この問題に、本当に皆さん、関心を持っていらっしゃる、ということを感じました。
私が持っている情報・知識を、皆さんに提供する用意があります。
皆さんをお手伝いするために。
そして、この不幸と戦うために。
私は医者なので、このような状況に対して、目をつぶることができません。
医者としての自分の責任を、果たします。
もしも、日本、また日本の国民の皆さん、その日本の社会、そしてまた、国の機関も、この問題について関心があって、
私と仕事をしたい、ということであれば、そのような提案を、私は、心良く受け入れたいと思います。
東洋経済:ふたつの聞きたいことがございます。
ひとつが、日本での、内部被曝の深刻度について、なんですが、
先程博士は、福島の事故について、大変心配をしているとおっしゃいましたが、
日本に来られてみて、話を聞かれたり調べられたりして、どのような点に、現実に、非常に深刻度が見られるとお考えなのか、
もし、具体的になにか、データなどがございましたら、教えていただきたい、ということ。
ふたつめが、4月から、食品に関して、新しい基準値が日本でも導入されます。
一般食品が、1kgあたり100ベクレル、
乳児用食品や牛乳は、50ベクレル、
飲料水は10ベクレルという、新しい基準値が、今までの基準値にかわって導入されます。
この、新しい基準値の数字そのものを、どのように評価しておられますか?
ポジティブな面、あるいは不十分かどうか、含めてお聞きしたいと思います。
バンダジェフスキー博士: 残念ながら、皆さんのところは、情報が少ないんですね。
自分たちで、情報を隠しています。
もしも、このような形で、情報を隠し続ければ、数十年後に、日本人という国民が、本当にわずかになってしまいます。
この悲劇を、小さな事故だ、と思ってはいけません。
安心したいのはわかります。
でも、厳しいんです、状況は。
しかし、世界にとっても、福島から、多くの放射性核種を受けるということで、非常に大変な問題なんですが、
特に大きな問題は、日本に、その放射性核種が拡散しているんです。
今は、ビジネスのことを考える必要は、ないと思います。
今は、拡散のこと、日本の国民を救うこと(を考えるべきです)。
皆さんは、汚染地域の地図がありますが、これを、どうやって信用したらいいのかわかりません。
非常に大きな汚染です。
高い汚染です。
多分、放射性核種は、人々の体内に、もう入り込んでいるんじゃないでしょうか。
でも、それを測っていませんよね、誰も。
皆さんは、何でも知っていて、何でもできると、そんな感じに思っているのではないでしょうか。
あと私は、日本のお医者さん、そしてまた、学者の方で、チェルノブイリを研究された方の、研究成果を知っております。
私が、ゴメリの医科大学で、1994年に、国際シンポジウムを開きました。
そこにも来てくださいました。
その中で、私たちが発表した、「セシウムは心臓に、非常に危険である」ということについても、日本の学者の方々は、深い理解を示しておりました。
しかしながら、そういう経験があるにもかかわらず、その経験が生かされていない。
それが理解できません。
このような形で、何も見えない状態、そしてまた、情報がない状態で、どうやって人々の、手助けができますでしょうか。
何もできないと思います。
結局、「黙っている」という政策が、ウクライナやベラルーシ、またロシアの各地域において、状況を深刻化させております。
これは、人口統計上の、悲惨な状況です。
私が、レクチャーで使った資料を、改めてお見せてもいいんですけれど、
結局、私たちが経験したことを、もう一度、皆さんはここで、繰り返そうとしているように思えるんです。
今、何もやらなければ、そういうことが起きてしまいます。
日本の場合、人口密度が高いです。
ですから、密度が高い分だけ、多くの人々が、これで被害を受けるわけです。
結局、津波の後、がれきが散乱しております。
これは、放射性物質の源でもあります。
それは、廃棄しなくてはいけません。
それも、大至急。
そういう、放射性物質の汚染源を、早く廃棄しなければなりません。
そういうものを、日本全国に、ばらまく必要はないわけです。
このような、「黙っている」という政策が、昔、独裁政権がありました、ソ連邦の共産党政権、この中で行われたのはわかりますけれど、
この21世紀に暮らしている、文明社会である日本でも、そういうことが行われることが、理解できません。
ふたつめの質問は、なんでしたか?
東洋経済:日本の、新しい食品に関する、基準値についてのご見解は。
バンダジェフスキー博士:ベラルーシの基準を出します。
そうしたらわかると思います。
コメントを出しやすいよう、いま見つけます。
まず、私の基本的な考え方ですけど、食品に、放射性物質が含まれていること自体が危険です。
まず、濃度・ベクレル数を下げている、ということについては、肯定的な動きだと思います。
しかし、今年の4月から、新しい基準になるということですが、この基準は、ベラルーシでも、すでに13年ぐらい使われている基準なんです。
いろんなバリエーションで使われてますが。
しかしながら、この基準のおかげで、住民は、放射性物質を吸収し続けています。
結局、こういう基準があって、食品を食することによって、放射性物質を体に取り込む。
取り込んだ放射性物質は、体の様々なシステムに、影響を与える。
このこと自体が、外部被ばくよりも、数段深刻であり、非常に危険であります。
例えば、牛乳1リットルあたり100ベクレルのものを、数週間とり続けたら、体の中に蓄積するセシウム量は、非常に多くなります。
危険です。
皆さんに必要なのは、完全にクリーンな食品であり、クリーンな土地です。
さまざまな寿命を持つ、さまざまな放射性物質がありますが、どんな放射性物質であれ、それを取り込むということは、本当に、体にとって良くないことです。
危険です。
人々は本当に、放射性物質のない食品を、受け取る必要があります。
非常に高い濃度で、汚染されている地域は、福島だけではないという風に、私も聞いています。
非常に広い地域が、汚染されています。
東京でも、あちこちで、放射性セシウムが観測されている、ということを聞いていますが、
やはり、汚染されている地域から、まあ、話していいかどうかわかりませんが、引っ越すべきだと。
きれいな土地に住むべきだ、と私は思っています。
人々の健康を守るという、この対策においては、国が、役割を果たすべきです。
今起こっていることに対して、しっかりと責任を果たし、そして人々の健康を守っていく。
それが、政治の責任です。
政治こそ、それができるし、やるべきだと思います。
司会:えー、参考までに、ベラルーシは、野菜とかの基準値が100ベクレル、というエリアです。
ですから、暫定基準値が、4月1日以降になると、近い値になるということを前提で、博士はおっしゃっていると思います。
通訳:まあ、野菜もいろいろありますけどね。
司会:そうですね、わかっています。
通訳:ま、主に、ということで。
司会:あと、4月以降の、ロカイサ?の、暫定基準値の移行期間というのがありまして、
結局、前の基準で、半年間は運用可能だ、という状況になっていることもご存知なので、
そういうのをふまえて、いろいろ思ってらっしゃるということです。
次の方、あとおひとりかおふたり。
ー:内部被曝が、非常に重要だと、今おっしゃっていますけれども、仮に、内部被曝の分を、口径摂取するのを管理できた場合、
土壌汚染で、健康的に暮らせる、安全的な閾値は、どのようにお考えですか?
具体的に言うと、福島、郡山市、二本松市というのは、健康に住める環境にあるのかどうか、
仮説として、口径による内部被曝を、完全に管理できた場合です。
バンダジェフスキー博士:たとえば、牛乳を例にとってみますと、牛乳の場合は、クリーンなものが、100bqということになってますよね。
101bqになったらもう、汚染されている、ということですよね。
99bqは汚染されていない、ということになりますよね、基準は。
ですから、何が基準なのか?、ということなんです。
どこに差があるのかと。
難しいです。
汚れたら危険なんです、すべて。
基準というのは、そういう形で、あくまでも運用的なものなんですね。
土地についてお答えしますと、土地の表面で、汚染が低かったとしても、土の中で、汚染が高ければ、危険です。
結局、今、線量を測っているのは、土地の表面だと思いますけれど、農作物は、土の中で吸収して、その食品を得ることで、被曝が起こります。
今の状況は、セシウムが、地上にあるわけですね、表面に。
こういう所で、高い濃度があった場合、背の低い子供たち、これが一番、危険になります。
たとえば、1平方メートル37キロベクレルであれば、外部被爆としても、小さな子供にとって、非常に危険です。
長い間、汚染されている地域に住んでいる人たち、そして、そういう人たちが、また新たに、新しい放射線核種を、体に取り込む、ということになりますと、それは本当に、さらに危険になってきます。
もともと持ってたものに、さらに、新たなものが取り込まれるのが、非常に危険なんですね。
もっとも危険なのは、食品を通して、体の中の臓器に、とりこまれることなんです。
病気が誘引される放射性濃度、また、放射線量の限界というのが、どこにあるのかは、はっきりしていません。
子どもの場合、10から30bq/kgで、大体60%の子供が、心電図に異常が出てきてしまいます。
そのベクレル数が、さらに上がっていくと、心臓の動悸が悪い子ども達の数が、どんどん増えます。
ベラルーシには、たくさんいるんです、そういう子が。
汚染地域でですね。
だから死んでいくんです。
70~100bq/kgからが、突然死のリスクのあるグループです。
他の器官も、いろんな疾病が出るわけで、そういうところは、治療が行われますが。
これは、チェルノブイリ原発の横にある、地区の死亡率です。
原発から30キロの所にある、イワコフ地区ですね。
1000人あたり、30人が死亡します、1年間に。
実は、キエフ州全体でも18人、これは多い方です。
結局、そこに住んでる住民が、死んでいってるんです、今。
これが、ベラルーシの、もっとも汚染されているところ。これも死亡率ですね。(図を参照にしている)』
ここで会見が終わり、勉強会に入った。
彼の説について、いろいろな意見があることは読んだことがある。
けれども、彼が、現地で患者を実際に治療し、検査し、亡くなった方の御遺体を解剖し、そこから得たデータをまとめたことは事実で、
沈黙を決め込んだ政府や原発マフィアから迫害を受け、資料やデータを隠滅され、投獄されたことも事実。
今朝、つい最近、日本に法事で帰った友人と会うた。
関東の人で、2番目の娘さんとあちこち回った、楽しい旅の報告の後に、ポツンとこんなことを言うた。
「なんか、日本、ほんとにヤバいような気がする……」
なんか普通過ぎる。花見の話で盛り上がってたりする。
テレビも新聞も、原発事故の現場がどうなってんのか、どんな進展があり、どんな問題があるのか、
放射能汚染を、どうやって切り抜けていくのか、どんな防護の工夫ができるのか、
検査はどこでできるのか、汚染の状況はいったいどこで教えてもらえるのか、
そんなこと、滅多に報道してないし、今まで通りの、うるさいバラエティ番組だらけ。
特に若い子達は、もう事故なんて昔のことで、すっかり忘れてしまってるような様子やったと。
「もしかしたら、あんまり深刻過ぎて、現実回避の思考が働いてるのかもとちゃう?」
「う~ん、そうは思えないなあ……」
博士が言わはった。
「日本の皆さんは、何でも知っていて、何でもできると、そんな感じに思っているのではないでしょうか」
やっぱり、わからんだけに、見えへんだけに、匂わんだけに、痛まんだけに、
ナメてるわ、みんな。恐がってはいるけどナメてる。
博士の会見を何回も聞き返して、つくづくそう思た。
今は、経済なんか気にしてる場合とちゃうねん。命やねん命!
あれから1年も経ってもまだ、誰かに、徹底的に厳しく、有無を言わさん勢いで、正式に、できたら政府発表ぐらいの威厳付きでもって、
「なにグズグズしとんねん、そっから逃げ言うてるやろ、ドアホ!」ぐらい言われんと、目の前の現実を正視できひんねんな。
ほんで、できたら、保証と支援付き、はいはいこっちですよ~のガイド付きでもないと、どこにも行けへんねんな。
今まで通り、言葉も通じるのに。法律も文化もえろう変わらんのに。
国が助けへん言うてんねん。いや、それも言わんとダンマリを決め込んでんねん。
一番卑怯なやり方や。
黙ってたら済むと思てるんやろし、実際それで済んでいってるんやから、向こうはニヤニヤや。
住民のほとんどは、思惑通り、今までのとこで暮らし続けてるし、そやから税収にもそれほど損害が無い。
あと数年、十数年もしたら、博士の言うてはることが事実やとしたら、住民の数は自然に減っていくやろけど、
今の自治体の長も政治家も、そんな頃には責任取る必要のないとこにいるやろから、今はただただ時間が過ぎるのを待ってるんやろな。
いや、ただ待ってるんやない、拡散大作戦を成功させな、訴訟された時にトボケられへんから、けっこう忙しいんかもしれん。
日本人という国民が、本当にわずかになってしまいます。
この言葉の意味、わかる?
いつまでも黙らせてんと、いつまでも待ってんと、自分にできることでええからやって。