「まいど(^◇^)いまにしです」と、思わずほっこりしてしまう登場の仕方で、自己紹介をしてはる今西憲之さんは、大阪在住のジャーナリスト。
大阪を拠点に、週刊誌や月刊誌の取材を手がけ、権力の腐敗や原発問題について、手も口も緩めずガンガン執筆してはります。
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まいど!週刊!今西憲之ジャーナル
http://www.mag2.com/m/0001439730.html
その今西さんが、よく一緒に仕事をしてはった岩路記者が、先日亡くなってしまわはったのですが、
岩路記者というと『報道ステーション』。
それも、他の局ではビビってしまって、あるいは上からのお達しで、絶対に報道せんような内容の取材を、
ハリケーンやモンスーン、大型台風並みの風当たりにも耐えて、必死でやっておられた方でした。
その取材の内容は、ここで何回も文字起こしをさせていただきました。
その中には、今も頻繁に、読み返していただいているものもあります。
岩路さんは、被災者の心に添い、権力と戦い続けてこられました。
その岩路さんの同志である今西さんが、岩路さんの死を受けて書かれたみっつの記事と、岩路さんの最後の仕事の動画を、ここに転載させていただきます。
↓以下、転載はじめ
訃報 報道ステーション 岩路真樹記者
ホンマ、悲しいです
追記あり
2014年09月02日
昨夜、いっぱいやっていたら、よういっしょに仕事してた、
テレビ朝日の報道ステーション、岩路記者が亡くなった、との報が飛び込んできた。
絶句やった。
原発報道、テレビでは、岩路記者の右に出る記者はおらんかった。
テレビ局の中には、TEPCOにとりいって、原発独自取材を目論むヤツ、けっこといるんやって。
原発、ヤバイと報じる岩路記者。
風当たり強いことあったそう。
けど、岩路記者は、まったくTEPCOにとりいるようなかけらもなく、被災者目線で報じていた。
今年3月の、福島の甲状腺ガン問題を、報道ステーションでやったのも岩路記者。
聞いた話やけど、古舘キャスターも、高く評価していたそうよ。
ワシと、原子力ムラの陰謀もやった。
福島のデタラメ除染も、いっしょに報じた。
こないだも、広島の被災現場のことや、次にいっしょにやろうってしていた、新しいネタの話をしたばっかり。
いまも、信じられんです。
なんでやのん?
しかも、自殺とは。
ご冥福をお祈りしますm(_ _)m
追記
岩路記者のご逝去について、たくさんのメッセージが寄せられました。
私は。先に書いた内容の情報しか持ち合わせていません。
そないな状況なので、これ以上、なにもわかりません。
いろいろな話が出ているようですが、ご遺族もいらっしゃいます。
そのような中で、仮定で話をするような気持ちにはなれません。
いっしょに仕事をし、ネタを追っかけ、権力と戦ってきた同志として、ただ、涙するばかりです。
岩路さん、ありがとう、おおきに。
ご冥福をお祈りいたします。
報道ステーション 岩路記者の告別式
2014年09月04日
今日、午後、報道ステーション、岩路真樹記者の告別式が、東京で執り行われました。
ご焼香だけでもと思ったのですが、残念ながら弔問はかなわず、会場の外からお別れしました。
これが、最後かと思うと、悲しみでいっぱいでした。
岩路記者とは、これからやるネタ、いろいろ打ち合わせしたのが、ついこないだのこと。
突然の死に、ただ、呆然とするばっかりです。
合掌m(_ _)m
報道ステーション、岩路記者「最後の仕事」にまた涙
2014年09月05日
まいど、いまにしです。
テレビ朝日、報道ステーション、岩路真樹記者が亡くなられたことは、このブログでも、書きました。
けさ、友人から連絡があり、
岩路記者の最後の仕事が、動画でUPされているとのことです。
わざわざ、UPしていただいた方には、感謝です。
動画は、私と昨年からずっと一緒にやっていた、
福島県田村市都路のデタラメ除染。
イチエフから21kmくらいの、都路の集落にある民家から、ガラクタが発見されたのは、今年4月でした。
ワシはすぐに、
週刊朝日で書いたのですが、
岩路記者は、なかなか放映できませんでした。
その時、岩路記者から聞いたのは、
「
会社でも、原発に厳しくという側とそうでない側、二つあって、大変」
「
けど、キャスターの古舘さんは、ええやんって言うてくれるんよ」
という話でした。
そんな中、岩路記者は、粘り強く取材を重ねて、放映したのが、先の動画です。
いかに、ひどい状況か、動画を見れば、よくわかります。
こういう状況にもかかわらず、福島県警、田村市は、現状を「放置」したまま。
民家の家主は、放射能をTEPCOにまき散らかされ、
国や自治体の除染では、庭に、放射能まみれのガラクタを勝手に埋められ、
福島県警からは、「あんたが埋めたんやろう」と犯人扱い。
これが、現実。
「放送で、原発被災者が、デタラメなTEPCO、国、役所に、二重、三重の被害、苦しみを受けているのか、わかってほしい」
そない、岩路記者は、新橋の居酒屋で、ワシに言うとった。
昨日、葬儀が終わり、岩路記者の自宅にうかがいました。
主がいない、閉じられた自宅の玄関先には、岩路記者の大好きなビールが、お供えされていました。
手を合わせてから、岩路記者の同級生が経営されている、お寿司屋さんに行きました。
「なぜ、岩路が…。おかしい…」
と、お寿司屋さんのご主人も、言葉を詰まらせていました。
↑以上、転載おわり
ここに、岩路記者の最後の仕事の動画を、載せさせていただきます。
この動画は、限定公開だそうですので、文字起こしをしておきます。
故岩路真樹氏 追悼映像
(テレビ朝日報道ステーション・ディレクター)
庭に埋められた大量のごみ
除染作業での不法投棄か
2014.8.13(木)On Air
福島第一原発の事故で、放射性物質が付着した地域の除染作業。
この時に出た廃棄物を、庭に埋めたという、内部告発があった。
現場は、福島第一原発から、約20キロ離れた、福島県田村市の住宅。
地権者が避難している去年7月に、除染が行われた。
去年11月、地権者の許可を得て庭を掘ると、告発通りに、ビニールや瓶などのゴミが出てきた。
除染を行った業者は、「除染前から埋まっていた」と主張。
しかし、地権者は重機も使えず、「埋めてないし、『埋めてくれ』とも言っていない」と話す。
「掘り返して確認してほしい」と、地権者は、市や警察に訴えたが、対応はなかった。
そこで、地権者の要請を受け、我々が、再び掘り返したところ、ビニールやプラスチックだけでなく、
トタン板やタイヤまで出てきた。
なぜ、こんなことが起こったのか。
業者を直撃すると、驚くべき実態が明らかになった。
スタジオ:
続きまして、自宅の庭から…。
■除染済みの庭から、大量のゴミ出現
自転車出てきました!
去年11月、
除染時に、ゴミを庭に埋めたという、複数の、元除染作業員の内部告発を受けて、取材を開始した。
掘り返してみると、告発通りに、ゴミが出てきた。
除染は、地権者が避難をしている時に行われたのだが…。
元除染作業員:
除染の仕事しながら、集めたゴミの類いがあるでしょう。
そういうゴミの類いを、20人ぐらいで、片っ端から順番に入れていきましたから。
これに対し、掘り出されたゴミを見た業者は、
除染業者:
これ(除染の)前から埋まってたんでしょ。
市や警察も、ゴミは昔から埋まっていたものではないかと、現場はそのまま放置された。
しかし、
地権者は、重機も使えない。
地権者:
埋めてないですし、埋めてくれとも言ってないですし。
実は、去年の掘り起こしの後、我々は、元作業員から、重大な証言を得ていた。
元作業員:
ビニールの類いとかあるでしょう。
そういうのはその、一番最後に捨てたようなゴミです。
もっと深く掘れば、今言ったように、
木材とかビンとか、あの割れたビンの破片とか、
あと今言った
自転車とか、そういうの出てきますよ。
本当に、自転車まで埋められているのか。
我々は、再び掘り返すことにした。
掘り始めると、
ビニール袋やビン、布などのゴミが、土の中から出てきた。
そして…、
作業員:
なんかあるね。
今度は、
トタン板やタイヤが出てきた。
いずれも、除染作業前には、地権者の敷地内に置かれていたものだ。
そして、
証言通り、自転車も出てきた。
さらに、ボーリング調査をすると、
穴に隣接した場所の土は、離れた場所に比べ、密度や構成も違うことなどから、
埋め戻されたものであり、元々の土壌と違うことが判明した。
地権者:
(市は)私が埋めたっていう感じのことを言っていたので、私は埋めていないと。
ふざけるなって、ものすごく憤りは感じます。
私たちは、除染業者を訪ねた。
すると、
驚くべき実態が、明らかになった。
元請けの除染業者:
一回も、除染の現場なんか行ったことねえから。
岩路ディレクター:
管理責任とか、そういうのはないんですか?
元請けの除染業者:
俺はわかんねっての。
下請けに任せている、というので、下請け業者を訪ねた。
一次下請け除染業者:
現場には、一度も行ったことがないので、わからない。
一次下請け業者は、さらに下請けに任せていた。
その業者を訪ねた。
二次下請け業者:
うちの下請けがやったのなら、責任はあると思うが、現場はやっていないのでわからない。
さらにその下請けがあった。
岩路ディレクター:
あの、除染のことについてお伺いしたいんですが。
三次下請け業者:
ちょっと、そういったお話は、現時点ではできないんで…。
岩路ディレクター:
それは、どういった理由からなんでしょうか?
三次下請け業者:
…。
田村市では、除染は、一次下請けまでと決められている。
しかしこの現場は、
三次下請けが請け負っていた。
さらに、
元請け業者は、全く管理していないというのが実態だった。
掘り返した状況を確認してもらうため、市の担当者を呼んだ。
市の担当者:
市の方としては、具体的な対応というのは、まず警察の結果を見さしていただいてから、
掘られた経過を見てないわけですからね、我々もね。
内部告発した元作業員によれば、
埋めたのはごく単純な理由からだという。
元除染作業員:
必ず写真撮影するから、こういうところはきちんときれいにしておいてくれ、とか、
きれいにしなければいけないということで、見た目を。
除染作業の最後には、現場の写真を撮影して、報告書を作る必要がある。
現場がきれいになったと見せるために、敷地にあったタイヤやトタン板を、わざわざ埋めたというのだ。
元除染作業員:
放射性線量がどうのこうのとか、土壌汚染がどうのこうのとか、考えてませんよ。
手っ取り早く仕事を終らせよう、この現場を終らせよう、まずそれが本音ですよ。
大量のゴミが掘り出されてから4ヵ月。
ゴミは今も、庭に放置されたままだ。
スタジオ
恵村順一郎・朝日新聞論説委員
(大阪社会部を経て、政治部、AERA編集部。自民・民主・外務省などを担当)
除染にかかる費用というのは、総額で5兆円以上かかると言われているわけですけれども、
国がまず負担して、それを東電に請求するんですね。
つまり、国民が、税金とか電気料金の形で、負担することになるわけです。
ですから、その費用は国民から回ってくる、その上にこの、責任の所在が曖昧なんですよね。
行政にあるのか、それとも東電にあるのか、というのが曖昧なわけです。
モラルが働きにくい構造になっているわけですね。
で、その上にこの、何重もの下請け構造をくぐっていく。
それで、住民の方が、普段いらっしゃらない被災地であれば、住民の方の目も届きにくいってことがありますよね。
これはやはり、除染事業の主体である市と、それから元請け業者の責任というのは、大きいと思います。
住民の方から、不正があったかもしれないという可能性が指摘されれば、
やはり、何が起こったのかをしっかり調べると。
そして、不正があれば正させるということは、当たり前だと思うんですね。
除染が正しく行われていないという指摘っていうのは、もう震災の直後から、ずっと繰り返されているわけですから、
放置するばかりでは、不正の再発は防げませんし、住民の方の不安も解消されないと、いうふうに思います。
アナウンサー:
しかも、住民の方が処理しようとしても、捨てられていた廃棄物が、産業廃棄物か除染廃棄物かもわからないから、処理できない。
市や警察に再三お願いしても、なかなか進まないという現状ですから、これじゃ不安は解消できないですよね。
恵村氏:
やる気さえあれば、できると思うんですね。
テレビ朝日の取材でも、これだけのことが分かっているわけですからね。
↑以上、文字起こし終わり
岩路ディレクター、ほんまにありがとうございました!
この不正投棄の現場検証の際には、福島県警本部から来た責任者らしい捜査員に尋ねようとマイクを向けたら、
急に肘鉄食らわされて、ぬかるんだ土の上に倒れて、着てはったレインコートがドロドロになって、かなりの怪我を負わされたんでしたね。
いっぱいいっぱい大変な思いしてはったんやと思います。
岩路さんが精一杯取材してくださったことを、しっかり受け取って、自分の頭でよう考えて、自分にできることを見つけて行動したいと思てます。
ありがとう岩路さん!
ほんまにありがとう!