吉澤ステーブル在厩のアスカビレン’20は、おもにBTCの坂路を中心にハロン18秒ペースのキャンターを開始しています。12月上旬の馬体重は442kgです。
◇鷲尾マネージャーのコメント 「準備運動の前にチャカチャカと落ち着きのない様子を見せますが、坂路に向かう頃には平常心を保てるようになってきましたね。しっかりとハミを取った走りが目立っており、前向きな性格であることは間違いないでしょう。中間、トモに疲れやすさがありましたが、我慢が利くレベルの話。少しずつ背丈が伸び、体重以上に体を大きく見せていますので、あとは筋肉のボリュームや身幅が出てくれば、もっと体重が増えてくるものと思われます」
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アスカビレン’20は、先月の近況では「テンションが上がりやすいように見えるが、イレ込みや気難しさではなく、走ることへの前向きさ、闘争心の表れ」とのコメントをもらっていました。それから一ヶ月経った今回も、テンションが高めでも調教に支障はなく、『あくまで前向きな性格の範囲内』といった評価は変わっていないようです。
ただ、18秒ペースのキャンターが始まったことで、「しっかりとハミを取った走りが目立つ」と、走りについても前向きなコメントがあったのは嬉しいです。本格的に鍛えていくのはこれからながら、現時点でもしっかり前進気勢があるのは、きっと今後のトレーニングにプラスになると思いますので。
好バランスながらまだ幼さが残る馬体も含め、全体的に成長途上、覚えることがたくさんあるのは当然ですが、そんな中でも良いかたちでスタートが切れたのは確かなようですし、この調子で体力向上、そして様々な経験を積んで欲しいと思います。
【吉澤ステーブル在厩のアスカビレン’20:公式HP(2021/12/3更新分)より】
ファンタストクラブ内木村牧場在厩のクエストフォーワンダー’20は、おもに屋内ダートコースで軽めのキャンター3000mを消化。週2回、屋根付き坂路でハロン17~18秒ペースのキャンター1本を乗られています。12月上旬の馬体重は470kgです。
◇川嶋担当のコメント 「柔らかさばかりが目立っていた身のこなしですが、調教を進めていくにつれて、少しずつ踏み込めるようになってきた様子。段々と良化傾向を示してくれていますので、この調子で力をつけていきたいですね。冬場を迎えてもまだ毛づやはピカピカですし、脚元や飼葉喰いなども問題なし。当面は地道に乗り込みを重ね、いっそう力強く踏み込めるように鍛えていきたいと思います」
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川嶋さんのコメントにあるように、クエストフォーワンダー’20のような柔らかい馬は、トモに力がついてくるかどうか、それがどのタイミングになるかでデビュー時期が変わってきますからね。その意味では、まさに17~18秒ペースのキャンターで基礎体力をつけているこの時季に、「少しずつ踏み込めるようになってきた」「段々と良化傾向を示している」とのコメントが聞けて良かったです。
加えて、馬体重も先月から10kgほど増えていますから、成長しながら良化が進むという、理想的な流れになりつつあるように思います。最近はどの牧場、育成場でも、早いうちからバンバン進める傾向がありますし、それだけに、成長とペースアップの両輪がうまく揃うことは、大きなアドバンテージになると思うんですよね。
まあ、この段階で理想的もクソもないだろ、というご意見もあるでしょうが、とにかくクエストフォーワンダー’20が元気に、順調に過ごしているのは確かなようです。脚元や飼喰いが良いとなれば、年が明ける頃にはさらにペースも上がりそうですし、是非とも「この調子で力をつけて」いって欲しいと思います。
【ファンタストクラブ内木村牧場在厩のクエストフォーワンダー’20:公式HP(2021/12/3更新分)より】
三嶋牧場(野深分場)在厩のステラエージェント’21は、引き続き、おもに日に19~20時間ほどの昼夜放牧で管理されています。
◇清水厩舎長のコメント 「相変わらず元気いっぱいで、ここにきて腹袋や肩周りが大きくなってきた印象でしょうか。全馬と顔合わせが済んだこともあって我先にと前に前に出てくるなど、だいぶ本領を発揮し始めています。とはいえ、扱いづらさは全くなく、学習能力は高そう。放牧地でみんなと走る時はいつも先頭を駆けており、見ていて飽きない馬ですよね。昨年同様に雪が少なく放牧地の土が凍っているため、どの馬も爪が心配ですが、今のところ何ら問題はありません」
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本当に大きく育つのはこれからですが、牧場での印象として「腹袋や肩周りが大きくなってきた」のであれば、きっと日々少しずつ成長してくれているのでしょう。寒い間の昼夜放牧は大変ですが、この時季にしっかり運動しておくことで力強い心身が作られるはずですから、凍った土の上でも事故などないように、元気に乗り切って欲しいと思います。
ちなみに「見ていて飽きない馬」と言われると、ついついヴィジャーヤを思い出してしまいますが(^^;) 「扱いづらさはなく学習能力は高そう」ということであれば、きっとステラエージェント’21の方が常識的な馬なのでしょう(希望的観測)。。
そうですねぇ、多少、出たがりなところがあるぐらいは全然構いませんので、放牧地に穴を掘ったり、四肢を空に突きだして寝るようになったら要注意… いや、土が凍っていたらやりたくてもできないので、冬の間は安心ですね(^^ゞ
【三嶋牧場(野深分場)在厩のステラエージェント’21:公式HP(2021/12/3更新分)より】
坂東牧場在厩。前回の騎乗調教後に再びトモの運びに違和感が生じたことから、現在は馬場入りを見合わせ、トレッドミル調整のみで様子を見ています。なお、本年9月の乗り出し以降、一進一退が続き、継続的な調教を課すことができない現状に鑑み、来春の繫殖入りを前提として年内にも競走馬デビューを断念し、引退する方向で調教師はじめ関係者と協議を進めていくことになりました。
◇荒木マネージャーのコメント 「休養が長かったものですから、復調までにある程度の時間を要するケースは想定内でしたが、それにしてもトモが疲れやすく、踏み込みなどに力強さを欠いてしまい軌道に乗り切れず、思うような筋力アップが進まない状況が続きます。昨年暮れの寛骨臼の骨折が少なからず心身に影響を及ぼしているものと思われ、段々と見通しを立てることが難しくなってきてしまいました」
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厳しい状況の中、なんとか調教を継続し、競走馬デビューへの道を探ってきた本馬ですが、ここにきて再びトモの運びに違和感が出てしまっては、さすがに競走馬としてやっていくのは厳しいでしょう。そうですねぇ、もともと私も『年内にキャンター継続ぐらいまで進めなければ、未勝利戦番組終了に間に合わせるのは難しくなる』と考えていましたし、この段階で「来春の繫殖入りを前提として競走馬デビューを断念」と判断されたのも致し方ないと思います。
個人的にはレフィナーダ最後の産駒として、また、木村さんの牧場で生まれて間もない姿を見せて頂いたこともあり、特別な期待感を持って応援していた馬ですから…。過ぎてしまったことを言っても始まりませんが、寛骨臼骨折というアクシデントは痛恨でしたし、素質、能力の一端すら発揮させてあげられなかったのは残念無念です。
ただ、このタイミングで引退の判断となれば、比較的的早い時期に産駒が募集されるかもしれません。競走馬として果たせなかった夢を産駒に託すことができるのであれば、私も違った形で応援したいと思いますm(_ _)m
【坂東牧場在厩のハキ:公式HP(2021/12/3更新分)より】
栗東トレセン在厩のパンサラッサは、16日朝、Cウッドを単走で追い切られています。
- 21.12.16 菱 田 栗CW良 6F 80.8-64.8-50.1-36.3-23.3-11.5(4) 一杯に追う
- 21.12.15 助 手 栗東坂良 1回 60.7-44.0-29.0-14.2 馬ナリ余力
- 21.12.12 助 手 栗東坂良 1回 56.4-41.2-26.8-13.3 馬ナリ余力
- 21.12.10 助 手 栗東坂良 1回 54.0-38.7-25.1-12.5 馬ナリ余力
◇矢作調教師のコメント 「いつも以上に元気が良すぎる感じで、15日の坂路で力んでいた点が少々気掛かりでしたが、16日朝の追い切りではそのようなところがなく、動き・時計ともに良かったので、まずはひと安心です。騎乗した菱田騎手によれば、『とても乗りやすかったですし、感触を掴むことができました。良い追い切りができたと思います』とのこと。現時点ではやや余裕のある体つきですが、長めからしっかりとやったことにより、いい形で本番を迎えられそうです。来週12月26日(日)中山11R 有馬記念(G1・芝2500m)、引き続き、菱田裕二騎手で臨みます」
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菱田騎手を背にした一週前追い切りは、スポーツ報知さんの記事で池田厩務員さんが予告していた通り、折り合い面を考慮してCWを単走で。JRAの動画で動きを確認したところ、馬場の真ん中を気持ちよさそうに走っていましたし、「一杯に追う」との表現以上に、最後まで手応え良く素軽い脚捌きで駆け抜けていたと思います。時計に関しては、今回から美浦同様に自動計測になったため過去との比較はできませんが、ディープボンドやステラヴェローチェとの比較で言えば、かなりイイ感じではないでしょうか。
ZBAT!競馬『【有馬記念】ステラヴェローチェがシャープな伸び披露』
《栗東》凱旋門賞14着以来となるディープボンド(大久保、牡4)は、CWコースで併せ馬。6ハロン81秒0-11秒2で力強く駆け抜け、ゴールドハイアー(2勝クラス)に半馬身先着した。和田竜騎手は「行きっぷりがいいし、走りに推進力が出てきています」と好感触を伝えた。
菊花賞4着のステラヴェローチェ(須貝、牡3)は、CWコースでラスト1ハロン11秒2(6ハロン83秒2)とシャープな伸び。リレーションシップ(OP)と併入した。「理想的な攻め馬ができた。挑戦者の立場ですがチャンスはあるんじゃないかな」と須貝調教師。
福島記念で重賞初制覇を飾ったパンサラッサ(矢作、牡4)は、CWコースで単走追い。馬なりで6ハロン80秒8(ラスト1ハロン11秒5)で駆け抜けた。菱田騎手は「いい動きでした。コース形態に左右されないでしょうし、この馬の能力を出したい」と意気込んだ。
ジャパンC12着のユーキャンスマイル(友道、牡6)は、4ハロン54秒5-12秒6で登坂。ヒャッカリョウラン(2歳新馬)に1馬身先着した。「いい状態をキープしています。あと1週あるので、きっちり仕上げたいですね」と大江助手。
しかしアレですよね、2週前の時点で有馬記念出走圏内が確定し、予定通りのメニューを心置きなくやれていること、これはすごく大きいんじゃないでしょうか。狙い通りの追い切りをこなし、菱田騎手が良い感触を掴んでくれた上に、「現時点ではやや余裕のある体つき」なのだとすれば、本番までにはさらに上積みがあるかもしれませんしね!
こうなると、前半戦の盛り上げ役以上の何かを期待したくなりますが、まあ、今回は完全チャレンジャーの立場ですし、スケベ根性的な部分は心の奥に秘めておいた方が良いでしょう。その上で、まずはあと一週間の調整が無事に進むこと、抽選会でなるべく内側の枠を引くこと、何なら大雨が降って馬場が渋ることなどを祈って、一日一善に励みたいと思いますm(_ _)m
【2021/11/14福島11R 福島記念(G3/芝2000m)でのパンサラッサ:公式HPより】
栗東トレセン在厩のカイザーノヴァは、15日、坂路で追い切られています。
- 21.12.15 助 手 栗東坂良 1回 53.4-39.1-26.2-13.7 一杯に追う
キムケンリアン(新馬)馬ナリを0.4秒追走0.5秒遅れ
◇矢作調教師のコメント 「終いの迫力に欠ける感じで正直まだちょっと物足りない動きでしたが、体つきや状態などは悪くないですからね。このひと追いで良化してくれればといったところでしょう。今後も疲れを溜めないようにうまく調整を施し、来週12月25日(土)中山12R クリスマスC(2勝クラス・芝1600m)への出走を意識していきたいと思います」
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矢作先生が「終いの迫力に欠ける感じで物足りない」と仰っているように、0.4秒追いかけた馬ナリの新馬に0.5秒離されたのは頂けません。もともと坂路では動かないタイプと分かっていても、それにしても、もうちょっと何とかして欲しかったのが本音です。一応、「体つきや状態などは悪くない、この一本で良化してくれれば」とフォローされていますが…。
まあ、矢作厩舎の調整力に疑う余地はないわけですし、まだ目標のクリスマスCまでに2本はやれますので、この一杯追いでカイザーノヴァが目を覚ましたことを信じたうえで、今後の追い切りに注目するしかありません。(もしかしたら、要所要所に混ぜてくる『最終追い切りはCウッドで…』のパターンになるかもしれませんね)
しかし、パンサラッサやバスラットレオンと違い、カイザーノヴァのように調教で動かない馬というのは、(実戦タイプと分かってはいても)どうしても心配になってしまいます。調教でもレースにいっても、気分屋で荒削りなのが個性であり魅力とは言え、そろそろもう少し大人になって欲しい気もしています(^^ゞ
【2021/11/13東京8R 3歳以上2勝クラス(芝1600m)でのカイザーノヴァ:公式HPより】