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ダン・シモンズ『夜更けのエントロピー』

2007-03-08 15:24:53 | ノンジャンル
 爆笑問題の太田光氏が著書「トリックスターから空へ」の中で、不思議な世界を体験させてくれるとして挙げていたダン・シモンズの本「夜更けのエントロピー」を読んでみました。7編の短編からなる本です。
 第一話「黄泉の川が逆流する」は、父が復活主義者だったため、死んだ母が蘇り、首を吊った兄、手首を切った父も蘇り、死者たちと暮らすことになる話。
 第二話「ベトナムランド優待券」は、ベトナム戦争体験ツアーに参加し、本物の戦争を始めてしまう元アメリカ兵の話。
 第三話「ドラキュラの子供たち」は、チャウシェスク政権の崩壊後の悲惨なルーマニアで、生き延びようとする吸血鬼の話。
 第四話「夜更けのエントロピー」は、末の娘とそり遊びをする自動車保険のセールスマンが息子の死や過去の自己を回想する話。
 第五話「ケリー・ダールを探して」は、教師の主人公はジープで鉱山の縦穴に落ち自殺を図りますが、気が付くと元教え子に縛られていて、時間と場所を操る教え子と殺し合いをしますが、出会った二人はセックスではない肉体的な統合を遂げたと思ったら、教師は目覚めて、現実の世界に戻ります。教え子のデータは現実では失われていて、再び鉱山の穴で異次元空間に飛び込み、そこで教え子を見つけだす、という話。
 第六話「最後のクラス写真」は、大災害のあともゾンビと化した生徒達を教えていたギーズ先生は、100人を越える大人のゾンビを撃退した後、生徒を解放するが、生徒はなぜか教室に戻って来る、という話。
 第七話「バンコクに死す」は、同性の恋人を殺した、長い舌でペニスを勃起させ吸血する母娘に、自分のエイズ感染した血を飲ませる事で復讐を遂げる男の話。
 以上です。面白かったのは、四話、五話、六話で、確かに不思議な感覚に捕らわれました。ただ、絶賛するほどの読後感はありませんでした。今まで体験したことのない世界に浸りたい方には、オススメかもしれません。