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初野晴『退出ゲーム』

2009-11-15 12:24:00 | ノンジャンル
 朝日新聞で紹介されていた、初野晴さんの'08年作品「退出ゲーム」を見ました。4つの短編からなっている本です。
 「結晶泥棒」は、高校の文化祭を前にして毒物の結晶が盗まれる事件が起きますが、高1のわたし・千夏が幼馴染みの春太の推理によって、生物部の女子が飼っている熱帯魚の病気を治すために盗んだことをつきとめる話。
 「クロスキューブ」は、吹奏楽コンクールに出場している間に病気の弟を亡くしたことで自分を責めている成島さんを自分たちの吹奏楽部に入部させようとする千夏らは、入部の条件として弟の残した全面白のルービックキューブを解く課題を与えられますが、春太が見事にそれを解く話。
 「退出ゲーム」は、中国人でアメリカに養子に出され現在演劇部にいるマレンを吹奏楽部に転部させるため、千夏らと演劇部の部長の名越が演劇で相手の演者を先に退出させた方が勝ちというゲームをして、千夏らが見事勝利を収めるという話。
 「エレファンツ・ブレス」は、発明部が自分たちの発明品を勝手に売買していたことが問題になり回収することになりますが、1人の買い主の祖父が「エレファンツ・ブレス」という存在しない色の謎を解けばそれに応じると言い、春太がそれが祖父のベトナム戦争時の体験に根ざしていることをつきとめる話です。
 読みやすい文章ですが、少年少女向けの推理小説といった体裁で、読みごたえはあまりありませんでした。中国の一人っ子政策とか、ベトナム戦争とか、深刻な問題を扱ってはいるのですが、その深刻さがあまり伝わってきません。軽い読み物として暇な方にはオススメでです。