工藤栄一監督の'61年作品『権九郎旅日記』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
土佐での5年の浪人生活を終え、江戸に旅立つ人のいい権九郎(市川右太衛門)の道中を心配する使用人の夫婦。二人の男に山中に連れ込まれ助けを求めている若い女を助けようとした権九郎は、追い剥ぎの集団に囲まれ騙されたことを知りますが、立ち回りで権九郎の強さを知った彼らは逃げ、そのリーダーだった女はいつもの癖を出して権九郎に惚れてしまい、部下を二人連れて彼を追跡することを決意します。道端でうずくまる尼僧を助けた権九郎でしたが、何と彼女は陣痛で苦しんでいて、権九郎は後家(清川虹子)の住む民家に担ぎこんで無事出産させますが、後家に夫と勘違いされて困ります。誤解が解け旅立った権九郎は若い娘に女の一人旅は不安なので沼津まで同行してほしいと頼まれ喜んで引き受けますが、一人旅というのはその娘の隣に住む酒屋の婆さんでした。がっかりしながら重い荷物を持ってやる権九郎。見事な富士山を見た後、無事婆さんを沼津に送り届けますが、つけを払ってもらおうとした婆さんがやくざ者の親分につまみ出されようとしているのを見た権九郎は、彼らと立ち回りを演じ、駆けつけた役人の前で親分に金を払わせます。場面は変わって山中の廃寺。能役者と駆落ちした大名の一人娘・由利姫(桜町弘子)は体を求めようとする役者を拒みます。そこへ宿を求めて権九郎がやってくると役者は逃げ出し、彼を追う姫は雷鳴の音に気を失い、権九郎は彼女を助けますが、そこへ姫を追ってきた藩の武士たちがやってきて権九郎を駆落ちの相手と勘違いして立ち回りになり、そこへ駆けつけた家老(進藤英太郎)は権九郎に話し合いを持ちかけます。姫の一途な思いを聞いた家老はさっきあくびをしていた権九郎を思い出して腑に落ちません。駆落ちが公になることを恐れる家老は権九郎と交渉の入りますが、家老が勘違いしていることに権九郎は気付かず、話はちぐはぐになり、やがて双方ともに怒り出します。そこへ役者が出頭してきたのを知らされた家老はやっと自分の勘違いに気付くのでした。命乞いをする役者を見て姫は失望し、自ら権九郎の元へ行き謝罪の意味を込めてもてなそうとしますが、権九郎は楽しい夢を見させてもらったと言って格好良く去ろうとしてずっこけます。江戸屋敷についた権九郎は元の同僚に暖かく迎えられ、権九郎の行いをずっと見守っていた追い剥ぎ団のリーダーの女は、すっかり彼に惚れてしまい追い剥ぎの仕事を止める決心をするのでした。
ロングショットの多用、アクションシーンでの短いショットを畳みかける編集、カメラを斜めに動かす工夫など、画面構成とカメラワークの見事さはすべてストーリーを効果的に語ることに奉仕していて、素晴らしいプログラム・ピクチャーとなっていました。傍役陣も充実していて、由利徹、南利明コンビのコメディリリーフは見事な芸を披露してくれ、ミス・ワカサもワンシーンだけ使われるといった贅沢さで、谷村昌彦、トニー谷も出演しているはずなのですがどこに出ていたのか判明しないほどの充実ぶりでした。お姫さま女優としての桜町弘子を確認できたことも収穫でした。映画ファンなら必見の映画です。文句無しにオススメです。
土佐での5年の浪人生活を終え、江戸に旅立つ人のいい権九郎(市川右太衛門)の道中を心配する使用人の夫婦。二人の男に山中に連れ込まれ助けを求めている若い女を助けようとした権九郎は、追い剥ぎの集団に囲まれ騙されたことを知りますが、立ち回りで権九郎の強さを知った彼らは逃げ、そのリーダーだった女はいつもの癖を出して権九郎に惚れてしまい、部下を二人連れて彼を追跡することを決意します。道端でうずくまる尼僧を助けた権九郎でしたが、何と彼女は陣痛で苦しんでいて、権九郎は後家(清川虹子)の住む民家に担ぎこんで無事出産させますが、後家に夫と勘違いされて困ります。誤解が解け旅立った権九郎は若い娘に女の一人旅は不安なので沼津まで同行してほしいと頼まれ喜んで引き受けますが、一人旅というのはその娘の隣に住む酒屋の婆さんでした。がっかりしながら重い荷物を持ってやる権九郎。見事な富士山を見た後、無事婆さんを沼津に送り届けますが、つけを払ってもらおうとした婆さんがやくざ者の親分につまみ出されようとしているのを見た権九郎は、彼らと立ち回りを演じ、駆けつけた役人の前で親分に金を払わせます。場面は変わって山中の廃寺。能役者と駆落ちした大名の一人娘・由利姫(桜町弘子)は体を求めようとする役者を拒みます。そこへ宿を求めて権九郎がやってくると役者は逃げ出し、彼を追う姫は雷鳴の音に気を失い、権九郎は彼女を助けますが、そこへ姫を追ってきた藩の武士たちがやってきて権九郎を駆落ちの相手と勘違いして立ち回りになり、そこへ駆けつけた家老(進藤英太郎)は権九郎に話し合いを持ちかけます。姫の一途な思いを聞いた家老はさっきあくびをしていた権九郎を思い出して腑に落ちません。駆落ちが公になることを恐れる家老は権九郎と交渉の入りますが、家老が勘違いしていることに権九郎は気付かず、話はちぐはぐになり、やがて双方ともに怒り出します。そこへ役者が出頭してきたのを知らされた家老はやっと自分の勘違いに気付くのでした。命乞いをする役者を見て姫は失望し、自ら権九郎の元へ行き謝罪の意味を込めてもてなそうとしますが、権九郎は楽しい夢を見させてもらったと言って格好良く去ろうとしてずっこけます。江戸屋敷についた権九郎は元の同僚に暖かく迎えられ、権九郎の行いをずっと見守っていた追い剥ぎ団のリーダーの女は、すっかり彼に惚れてしまい追い剥ぎの仕事を止める決心をするのでした。
ロングショットの多用、アクションシーンでの短いショットを畳みかける編集、カメラを斜めに動かす工夫など、画面構成とカメラワークの見事さはすべてストーリーを効果的に語ることに奉仕していて、素晴らしいプログラム・ピクチャーとなっていました。傍役陣も充実していて、由利徹、南利明コンビのコメディリリーフは見事な芸を披露してくれ、ミス・ワカサもワンシーンだけ使われるといった贅沢さで、谷村昌彦、トニー谷も出演しているはずなのですがどこに出ていたのか判明しないほどの充実ぶりでした。お姫さま女優としての桜町弘子を確認できたことも収穫でした。映画ファンなら必見の映画です。文句無しにオススメです。