鈴木則文監督の'65年作品『大阪ど根性物語 どえらい奴』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
大正時代。大阪の葬儀屋・篭房で働く勇(ゆう、藤田まこと)は、父が亡くなり身寄りがなくなった時に父の葬式を出してくれた親方に恩義を感じ、ライバルの葬儀屋・篭花の仕事を横取りして初めて自分が仕事を取ることができますが、その手口を親方に叱られます。不況で商売が成り立たなくなり、そんな中でも旧来のお客には赤字覚悟で立派な葬儀を行う親方のやり方に限界を感じた勇は、知り合いの蜂(長門裕之)の運転するトラックにはねられたことがきっかけで、葬列の代わりに自動車で棺桶を運ぶ方法を思い立ちますが、親方に相談すると弔いを愚弄するものだと激怒され、口答えすると辞めさせられます。親方の娘みつ(藤純子)と結婚した勇は蜂と自動車葬儀社を始めますが、なかなか注文が取れず、やっと取れた注文は自動車が好きだった息子のためと全財産を差し出した老婦人のもので、勇は一般大衆のための葬儀社を作るという目標を見い出し、安値で再出発します。すると注文は次々と舞い込み始め、それまでの篭を使った葬列を駆逐していきます。危機感を持った篭花は組合でサービス内容と料金の一本化を図りますが、篭房の親分の反対で頓挫し、大阪一の薬問屋の前代未聞の高値の葬儀の仕事を勇に取られると、実力で妨害を図り、最後には殴り込みをかけ、葬儀の一時間前に会場を破壊しつくします。勇は部下に次々に指示を出し、蜂は宮中の行列に挟まれて車をゆっくり走らせて時間を稼ぎ、その間に会場は白い布に覆われた神社の内部のようになっていて、薬問屋はさすがだと満足します。しかし、そこへ親方が倒れたという知らせが入り、勇とみつは何とか間に合って、孫の顔を見せ、すべてを許してもらうことができますが、親方はお前のやり方で葬ってくれと言って亡くなります。勇は親方のやり方で立派に弔うことを誓い、葬列の中で無心で毛槍を振るのでした。
製作年度が'65年ということはマキノ雅弘監督の『日本侠客伝』がまさに進行中という時代で、音楽の使われ方も人物設定も『日本侠客伝』にそっくりであり、勇とみつの夫婦愛、そして二人のバックの夜空の星のまたたきの美しさは加藤泰監督の『車夫遊侠伝 喧嘩辰』の内田良平と桜町弘子の関係、そしてあの雪の場面を思わせる素晴らしいものでした。画面がすべてストーリーの進行に奉仕されているという点においても、最良のマキノ映画や最良の加藤泰映画を想起させるものだったと思います。鈴木監督にとっても、藤田まことさんにとっても間違いなく代表作の一本でしょう。なお、くわしいあらすじやスタッフは、私のサイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Movies」の「その他」のところにアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。
大正時代。大阪の葬儀屋・篭房で働く勇(ゆう、藤田まこと)は、父が亡くなり身寄りがなくなった時に父の葬式を出してくれた親方に恩義を感じ、ライバルの葬儀屋・篭花の仕事を横取りして初めて自分が仕事を取ることができますが、その手口を親方に叱られます。不況で商売が成り立たなくなり、そんな中でも旧来のお客には赤字覚悟で立派な葬儀を行う親方のやり方に限界を感じた勇は、知り合いの蜂(長門裕之)の運転するトラックにはねられたことがきっかけで、葬列の代わりに自動車で棺桶を運ぶ方法を思い立ちますが、親方に相談すると弔いを愚弄するものだと激怒され、口答えすると辞めさせられます。親方の娘みつ(藤純子)と結婚した勇は蜂と自動車葬儀社を始めますが、なかなか注文が取れず、やっと取れた注文は自動車が好きだった息子のためと全財産を差し出した老婦人のもので、勇は一般大衆のための葬儀社を作るという目標を見い出し、安値で再出発します。すると注文は次々と舞い込み始め、それまでの篭を使った葬列を駆逐していきます。危機感を持った篭花は組合でサービス内容と料金の一本化を図りますが、篭房の親分の反対で頓挫し、大阪一の薬問屋の前代未聞の高値の葬儀の仕事を勇に取られると、実力で妨害を図り、最後には殴り込みをかけ、葬儀の一時間前に会場を破壊しつくします。勇は部下に次々に指示を出し、蜂は宮中の行列に挟まれて車をゆっくり走らせて時間を稼ぎ、その間に会場は白い布に覆われた神社の内部のようになっていて、薬問屋はさすがだと満足します。しかし、そこへ親方が倒れたという知らせが入り、勇とみつは何とか間に合って、孫の顔を見せ、すべてを許してもらうことができますが、親方はお前のやり方で葬ってくれと言って亡くなります。勇は親方のやり方で立派に弔うことを誓い、葬列の中で無心で毛槍を振るのでした。
製作年度が'65年ということはマキノ雅弘監督の『日本侠客伝』がまさに進行中という時代で、音楽の使われ方も人物設定も『日本侠客伝』にそっくりであり、勇とみつの夫婦愛、そして二人のバックの夜空の星のまたたきの美しさは加藤泰監督の『車夫遊侠伝 喧嘩辰』の内田良平と桜町弘子の関係、そしてあの雪の場面を思わせる素晴らしいものでした。画面がすべてストーリーの進行に奉仕されているという点においても、最良のマキノ映画や最良の加藤泰映画を想起させるものだったと思います。鈴木監督にとっても、藤田まことさんにとっても間違いなく代表作の一本でしょう。なお、くわしいあらすじやスタッフは、私のサイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Movies」の「その他」のところにアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。