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ティム・バートン監督『ヴィンセント』

2015-01-04 15:41:00 | ノンジャンル
 ティム・バートン監督・脚本・デザインの’82年作品『ヴィンセント』をWOWOWシネマで見ました。
黒い木と塀。黒猫が塀に飛び乗り、窓から家の室内に入ると、少年が縦笛を吹いている。ヴィンセント・プライスによるナレーション。「ヴィンセント・マロイは7歳。礼儀正しくて素直で(少年、猫を抱き上げる)とても心のやさしい少年だ。でも憧れは怪奇俳優ヴィンセント・プライス。(少年の髪が逆立ち、タバコを吸う。猫は悲鳴を上げて逃げる。少年、隣の部屋へ)彼は妹や犬や猫と暮らしているが、頭の中ではクモやコウモリが同居人。(電灯を消すと、コウモリの群れ)そこは彼が創り出す怪奇の館だ。彼は暗い廊下を歩きながら、人生を苦悩する。(電灯つく。巨大な叔母の体。画面から顔ははみ出ている)せっかく訪ねてきた叔母をもロウ人形にしたい欲望に駆られてしまう。(鎖が降りてきて、ヴィンセントが引っ張ると、叔母が吊るされ、鎖を放すと、叔母は沸騰している湯に落ちる。電灯消える)犬のアバクロンビーを実験台に、恐ろしいゾンビを作るのが夢。(犬の頭に無数の針金。ヴィンセントは機械のレバーを降ろす)ゾンビ犬と一緒に(犬、爆発)霧にむせぶロンドンで獲物をあさるのだ。(夜の路地を歩くヴィンセント。女の絵)だが、そんな彼も人の子。絵を描いたり本だって読む。ただ他の子と違うのは愛読書がエドガー・A・ポーだということ。ある夜、怪奇小説の一節に彼の顔は青ざめた。なんと恐ろしいことだ。愛妻が生き埋めにされていたとは! 死を確かめに墓を掘り返す。(陽が昇る)その墓は母の花壇なのだが、彼は気づかない。(スタイルのいい巨大な母の下半身。ヴィンセントを指差す)母は彼を部屋に入れた。(階段をトボトボと登るヴィンセント)本当は塔に監禁されて、そこで一生を送る運命なのだ。美しい愛妻の写真1つを胸に。(写真のアップ)監禁で気のふれた彼の塔へ(泣くヴィンセント)突然母が入ってきた。“少しは外へ出て遊びなさい。外はいい天気よ”。(暗い部屋の中のヴィンセント)彼は何か言おうとしたが、長年の孤独で力を奪われていた。それで紙にペンで書いた。“私は監禁されたまま、ここで死ぬ運命です”。母は言った、“何をバカ言ってるの。空想もいい加減にしなさい。あなたはV・プライスじゃないのよ。監禁もされてない普通の男の子。ママの7歳の息子よ。さあ、外で遊んできなさい。”母は言うだけ言って出て行った。彼が壁の方へ後ずさりすると、部屋がガタガタと揺れ始めた。彼の錯乱は頂点に達する。(雷鳴)壁にはゾンビ犬の影。妻が墓から呼ぶ声もする。柩の中からうなり声を上げている。壁の裂け目からはガイコツの手が。夢の中から這い出た怪物たちが(叔母がドロドロと溶ける。ヴィンセントは時計の針のようにグルグル回る)彼の奇妙な笑いを絶叫へと変える。逃れようとドアに向かうが(ドアと床はゆがんでいる)その努力もむなしく、力なく床に倒れた。彼は息も絶え絶えに(カメラは遠ざかる)ポーの『大鴉』の一節をつぶやいた。“そして私の魂は床を覆う影に捕らわれ、立ち上がることはない。もう二度と……。”

 6分ほどの、シンプルな作りのストップモーションアニメでしたが、既にティム・バートンの世界が余すところなく展開されていました。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/