gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

壇一雄『壇流クッキング』

2015-01-17 10:28:00 | ノンジャンル
 西加奈子さんが『本棚2』で紹介していた、壇一雄さんの‘00年作品を’05年に改版した『壇流クッキング』を読みました。荻昌弘さんによる解説によると「昭和44年2月から、毎週1回サンケイ新聞に連載され、前半53回分が、昭和45年7月、同社出版局によって上梓された。今回、本文庫におさめられたのは、その分を含めて、昭和46年6月までの、全94回分である。新聞連載中は、毎回、自作を実践される氏のスナップ写真が紙面を飾ったが、ここでは惜しみつつそれを除外せざるをえなかった」とのことです。
 紹介されている料理は、「春から夏へ」と題された章では、カツオのたたき、具入り肉チマキ、タケノコの竹林焼き、イカのスペイン風・中華風、レバーとニラいため(モツ料理1)、前菜用レバー(モツ料理2)、タンハツ料理(モツ料理3)、コハダずし(オカラ料理1)、大正コロッケ(オカラ料理2)、みそ汁と丸鍋(ドジョウとウナギ1)、柳川鍋・ウナギの酢のもの(ドジョウとウナギ2)シソの葉ずし・メハリずし、サケのヒズ漬と三平汁、豚マメと豚キモのスペイン料理、東坡肉(豚の角煮)、イモの豚肉はさみ蒸し、トンコツ、「カキ油」いため二料理、ツユク、梅酢和え・蒸しナス、梅干・ラッキョウ、「夏から秋へ」では、柿の葉ずし、インロウ漬け、ソーメン、窯揚げうどん、ヒヤッ汁、アジゴマみそのデンガク、ユナマス、カレーライス(西欧式、インド式、チャツネのつくり方)、ピクルス、干ダラとトウガンのあんかけ、イモ棒、獅子頭、ロースト・ビーフ、ブタヒレの一口揚げ、シャシュリークと川マスのアルミ箔包焼き(野外料理1)、鶏の「穴焼き」(野外料理2)、サバ・イワシの煮付け、小魚の姿寿司、トウガンの丸蒸しスープ、「秋から冬へ」では、鶏の白蒸し(白切鶏)、オクラのおろし和え、キンピラゴボウ、ビーフ・ステーキ、ビフテキの脇皿、ショッツル鍋、タイチリ、キリタンポ鍋、ボルシチ、サフランご飯、鶏の手羽先料理、バーソー、オニオン・スープ、アナゴ丼、魚のみそ漬、クラム・チャウダー、ヨーグルト、ヒジキとと納豆汁、からしレンコン(おせち料理1)牛タンの塩漬(おせち料理2)、ダイコン餅(おせき料理3)、博多じめ(おせち料理4)、酢カブ(おせち料理5)、伊達巻(おせち料理6)、ザワーブラーテン(おせち料理7)、蒸しアワビ(おせち料理8)、「冬から春へ」では、タイ茶漬、アンコウ鍋、羊の肉のシャブシャブ、ジンギスカン鍋、朝鮮風焼肉(朝鮮料理1)、牛豚のモツ焼(朝鮮料理2)、ナムル(朝鮮料理3)、野菜料理三種(朝鮮料理4)、朝鮮雑炊・心平ガユ(朝鮮料理5)、豚の足と耳、麻婆豆腐、杏仁豆腐、焼餅、モチ米団子、鯨鍋、チャンポンと皿うどん、パエリヤ、ブイヤベース、干ダラのコロッケ(バステーシュ・ド・バッカロウ)、牛スネのスープと肉のデンブ、スペイン酢ダコ、スペイン風と松江の煎り貝、牛の尻尾のシチュー、ビーフ・シチューです。
 著者は9歳の時に、母が家出をしてしまい、それ以降家族を養うため、数十年にわたって料理をしてきたとのことでした。そして現在、日に3、4度は買い出しにまわり、日本中はおろか、世界中の市場を買い漁ってまわっていたそうです。
 この本で教えられたことは、野蛮なタケノコの料理ほど贅沢なものはないのであって、竹林の中で、掘り取った瞬間のタケノコでしか、うまくないこと、豚でも、牛でも舌の先から、腸の末端に至るまでことごとくの内臓が一本につながっていること、サケの頭の軟骨のところを「ヒズ」といっていること、バルセロナの裏路地に「カラコーレス」という飲食店があって、大変繁昌していること、親しい男女、親しい友人達と、打ち連れて、海や野山に遊び、その波打際や、湧き出す泉のほとりで、野蛮な料理を煮たり、焼いたり、それをまた手掴みで食べたり、飲んだりすることほど、愉快な心身の解放がまたとあるだろうか、ということ、ビーフ・ステーキは、中年以上の人達には、脂肪が少なくて軟らかいヒレの部分がよろしかろうし、この部分を焼いたものをテンダロインステーキといい、ヒレが無い時はランプのところがよいこと、若者には、脂の乗ったロースのところが一番よかろうし、これをサーロインステーキといっていること、ビーフ・ステーキは買ってきたら、大切にくるみ込み、冷蔵庫の中で、1,2日様子を見ること、楊貴妃は鶏の手羽先が大そう好きだったこと、フランスには、有名なビストロ(食堂)でピエ・ド・コション(豚の足)という店があり、映画見物の帰り道など、ご婦人も、豚の足を召しあがること、などでした。
また、この本で紹介されている料理で食べてみたいと思った料理は、イカのスペイン風・中華風、大正コロッケ、サケのヒズ漬と三平汁、納豆汁、アンコウ鍋、ジンギスカン鍋、豚の足と耳、などがありました。
「~するがよい」、「~するがよろしい」という独特の文体で書かれたこの“レシピ本”は、嬉々として料理する著者の雰囲気が伝わってきて、料理好き、食通である著者の姿が偲ばれる本となっていました。私のようにまったく料理をすることがない人でも楽しく読める本です。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/