熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

注目すべき判決

2021-10-03 20:02:24 | 裁判
注目すべき判決が東京地裁でありました。

インクジェットプリンターの設計を変えて純正品のインクカートリッジしか使えないようにしたとして、互換品のカートリッジを販売するエレコムなどがブラザー工業を相手取り、設計変更の差し止めと約1500万円の賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁でありました。

朝倉佳秀裁判長は、設計変更が独占禁止法違反(不公正な取引方法)にあたると認め、約150万円の賠償をブラザーに命じました。

判決によると、ブラザーは2018年12月以降に製造・販売したプリンターについて、インクカートリッジの読み取り機能の設計を変更し、互換品を認識しないようにしました。

判決は、プリンター製造業者は、プリンター本体の価格を抑え、利益率の高い純正品のインクカートリッジを継続購入してもらうことで収益を上げていると指摘して、純正品に比べ価格が安い互換品が売れれば、プリンター製造業者への経済的打撃が大きくなると説明した。

そのうえで、ブラザーの設計変更の目的は「市場シェア率が高い互換品の販売を困難にするため」とし、消費者が純正品を購入せざるを得ない状況になったと認めました。

このため、設計変更は「正当性はなく、市場での公正な競争を阻害するおそれがある。不当な抱き合わせ販売だ」と判断しています。

被告のブラザー工業は控訴するでしょうから、結論は持ち越しになりますが、独禁法違反に対する配慮は必要ですね。



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最高裁判決

2021-05-17 23:32:43 | 裁判
建設現場でアスベストを吸って肺の病気になった元建設労働者と遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた4件の集団訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は17日、健康被害が明らかになっていた1975~2004年の29年間について、国には防じんマスク義務付けなどの対策を怠った違法があるとの初判断を示しました。
75年以降に建設現場で作業した人らへの国とメーカーの賠償責任を認めたものです。
裁判官5人全員一致の意見です。

建設石綿訴訟を巡る初の統一判断です。

最高裁は2014年の判決で石綿製品工場の元従業員らへの国の責任を認定し、被害救済が進んでいます。

国は17日の判決後、被害者1人当たり最大1300万円の和解金を支払う方針を固め、元労働者らの救済にも乗り出すようです。

被害者の長い苦労が認められましたね。

第1小法廷は判決理由で、国は石綿の吹き付け作業を禁じた1975年には、肺がんや中皮腫の危険性を認識していたと指摘。建設事業者に労働者への防じんマスク着用を義務付けたり、建材に危険物と表示するようメーカーを指導したりすることを怠ったとし、国が石綿使用を原則禁止した2004年までの29年間を違法と判断しました。

至極まともな判決で、裁判の信頼性が損なわれなくて良かったです。

これからもまともな判決が出されることを願っています。




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判決に関心が集まりますね

2020-10-24 19:33:44 | 裁判
インクカートリッジの仕様を変更してリサイクル品の販売を妨げたのは独占禁止法に違反するなどとして、リサイクル品を製造・販売する「エコリカ」(大阪市)が、大手精密機器メーカー「キヤノン」(東京)を相手取り、3千万円の損害賠償などを求める訴えを27日にも、大阪地裁に起こすそうです。

インクカートリッジは主に家庭用プリンターに装着するインクを収めた容器。原告側の代理人弁護士によると、インクカートリッジをめぐってリサイクル業者がメーカーを訴えるのは異例中の異例ですね。

インクカートリッジは年約2億個が流通するとされ、リサイクル業者とメーカー間の市場争奪に影響を与えそうです。

インクカートリッジに関する訴訟は、修理か再生産かで最高裁まで争われた注目の裁判でした。

今度は、独占禁止法違反の有無が争われることになります。

公正取引委員会での排除命令ではなく、裁判所に損害賠償を求めるということにしたのも興味深いですね。

結果が楽しみです。



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至極真っ当な判決

2020-06-30 17:09:18 | 裁判
国がふるさと納税の対象自治体から外したのは違法だとして、大阪府泉佐野市が除外処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(宮崎裕子裁判長)は30日、市側の敗訴とした大阪高裁判決を破棄し、総務相の除外処分を取り消す判決を言い渡しました。

国が過去の募集態様を問題にしたのは違法で、除外処分は無効と判断したもので、至極真っ当な判決ですね。

そもそも法令の遡及適用はできないというのが、法律のイロハのイだと思うのですが、政府も地裁、高裁も何を考えていたのか、理解に苦しみますね。

官僚も裁判官も政権に忖度していたわけではないと思うのですが。

裁判官はもう一度司法試験を受験しなおした方が良いのでは。

この地裁、高裁の判断は後世に残る馬鹿げた判決として評論されるでしょうね。

最高裁が真っ当な判決を出して良かった。




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司法独立が試される

2019-09-04 09:38:54 | 裁判
政府の恣意的な政策を裁判所がどのように判断するのか、司法の独立が試される場面がきましたね。

東京電力福島第一原発事故の賠償費用について、送電線の使用料(託送料金)に上乗せして徴収するのは法的な根拠がなく違法だとして、九州や中国、関西地方の生協でつくる新電力「グリーン・市民電力」(福岡市)が国を相手取り、電力会社の託送料金の認可取り消しを求める訴訟を起こす方針を固めたそうです。

原発事故の賠償費用の利用者負担の是非を問う、初めての訴訟になりますね。

この新電力は太陽光発電などを手がけ、大手電力の送電線を使って契約者に電気を送っています。

上乗せ徴収が来年4月以降に始まるとみて、その時期をふまえて福岡地裁に提訴する方針だということです。

九州電力に上乗せ徴収分の返還などを求める訴訟も起こすそうです。

政府は当初、原発事故の賠償費用を全国の電気利用者から電気代を通じて集める仕組みをつくりました。

しかし、賠償費用が5・4兆円から7・9兆円に膨らんだため、2016年末に託送料金に上乗せして徴収する追加策を決めました。

新電力に対しても「積み立て不足があったため、追加分をわかち合うのはやむを得ない」との理由から、計2400億円の負担を割り振った経緯があります。

正当な理由になっていませんね。

さて、裁判所はどのように判断するのか。

韓国の最高裁判決を政治的だと批判していた日本の司法独立が試されていますね。





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