北からの冷たい高気圧に覆われると、真っ青な秋の空が見える。朝の気温が下がった分、天がくれるご褒美か。随分、しばらくぶりにみたような気がする。智恵子の見た安達太良山の上の、「ほんとの空」だ。昨日、千歳山の上で見た。ナナカマドの赤い実が、この青い空にはよく映える。一転して、今日の空には雲が広がって青空が見えない。明け方、雨が降った跡が見える。鶴間池での紅葉を見る登山は、明日に延期。秋空のもとで、鳥海山麓の紅葉はどんな姿を見せるか、想像しただけで気分が高揚する。
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。(高村光太郎『智恵子抄』より)
秋が短くなった。あれほど暑かった9月から、ほんの2週間で、高い山には冬が来た。北海道で雪、月山で初冠雪。日本は四季の国から、冬と夏に二季の国に変じたようだ。それだけに、秋空はだんだんと貴重になる。光太郎の時代は
東京を離れれば、福島の山の近くに行けば、いつでも秋空を見ることができた。今は、本当の秋空を見るのは、僥倖といえる。