常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

小東岳

2020年10月26日 | 登山
仙台と山形が隣接して、いかに近い場所にあるか。小東岳に登れば、それがよく分かる。ただし、その二つの間には、深い渓と急峻な山が幾重にも折り重なるように続く。この二つの街をつないだのは、二口街道である。山寺の馬形から山伏峠を越して、宮城の秋保磐司岩から愛子へと抜ける。ここは山寺に立石寺が開基されたころからの古い街道で、宗教の道としての側面を持っている。山伏峠の名を持つのは、月山や湯殿山などの出羽三山へ向かう行者が使った道であるからだ。山形城と仙台城を結ぶ最短のコースで、火急の使者が通る道たして重視され、幕府によって道路の整備が進むと荷駄の量も増えていった。

明治になると、寒風沢の入り江に汽船が入るようになり、生魚の搬送が活発になった。深い渓筋は日陰が多く、夏も涼しいので鮮度を保つためにも都合がよかった。余談になるが、私が仙山線に乗って山形へ来たのは昭和34年であったが、一斗缶に魚を背負って商いをするお婆さんが数多く乗っていた。仙山線こそは仙台から愛子を経て面白山トンネルを抜けて山寺から山形に至る二口街道の現代版だ。仙台の海からの物資は山形の人たちが待ちのぞんでいたものである。

天気予報では晴れのはずだが、霧のような雲が立ち込め視界がきかない。あまつさへ、小雨がぱらつきカッパを着るはめに。しかし雲が薄くなって日が見えると、姿を現したのは頂上手前の紅葉に彩られた甲岩。日がさした部分がスポットライトを浴びたように素晴らしい景色となって見えて来る。
秋の空は変わりやすい。日が見えてくると急に折り重なるような谿の彩る紅葉の競演。一気に青空が広がる。今日のコースはアップダウンが激しく変化に富んでいる。登山口を6時45分に出て、1230ⅿの糸岳には8時、1時間15分を要した。やや下って石橋峠から登って山王岳へ、このピークから滑りやすい濡れた坂道を枝につかまりながら下る。標高900mの地点まで下って甲岩を見たのが10時10分。小東峠でおやつを食べると、ここから最後の急登。頂上に着くまで日がさして、最高の紅葉、そして指呼の間にどっしりと居座る大東岳の雄姿が我々を見守っている。頂上で円陣をつくって弁当開き。さっきまで強かった風もおさまり、絶好の秋日和となった。達成感があるものの、あの下りを考えれば下りが恐ろしい、という声も聞こえる。下りで使うえにるぎーは、上りの約30%である。これはスポーツ医学の能勢先生の指摘したことだ。これを頼りに、「下りは楽だよ」と下りが苦手な自分が声を出す。しかし、登りで使った筋肉の疲労は無視できない。足吊りを起こす人もでてゆっくりと下る。本日の参加8名。内男性2名。二口峠には2時50分、全員無事到着。
二口峠からヘアピンカーブの街道を、折からのピークとなった紅葉の谿や山を見ながら白糸の滝までドライブ。白糸の滝で車を停め、みごとな滝を彩る紅葉をカメラに収める。今シーズン最高の紅葉が堪能できた。
コメント
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