昨日、二十四節季の霜降。日一日と秋が深まる。三吉山は朝目覚めて、南の戸を開けると最初に目にする山だ。その姿を見るだけで、一日を気を入れて過ごすことができるような気がする。東に見える千歳山とともに、三吉山は朝一日の元気をくれる山である。歌人の斎藤茂吉は、この山がもっと近くに見える金瓶で生まれた。帰省してこの山を見ると、茂吉の幼いころを思い出した。「をさなくて見しごと峯のとがりをる三吉山は見れども飽かず」と詠んだのは、茂吉61歳で帰省した時である。かつて茂吉が朝な朝なに眺めた三吉山を見ながら不思議な縁を感じる。
千歳山か、三吉山かと迷いながら向かったのは三吉山である。昨年の暮以来の訪問になる。山中を歩きながら、紅葉が進んでいることを実感した。先日の笹谷峠よりも、赤や黄色が濃さをましている。岩海にきて、赤いブドウの葉が散っていた。猿の群れが餌を求めて動いていたのは、この辺りだ。目を凝らしたが猿の姿はない。人影もなく、一人で歩くのは、不思議な体験でもある。
登ってきた岩海をふり返ると、対岸に紅葉が美しく見えた。山道は落ち葉が朝方の雨に濡れている。足を滑らせると危険なので、慎重に歩く。SWの運動量は3.2を示している。ここまで、千歳山よりも数字は大きい。登山口から1時間ほどで山頂につく。秋には葉山へいく道の辺りにキノコが出る、と聞いていたので目配りをしながらに歩行である。しかしどの枯木にもその姿はない。木陰から葉山見せる姿も、紅葉の始まり告げている。来週、もう一度くれば葉山の紅葉も楽しめそうだ。
帰りは山道の湿りは乾いていなかったが、意外に安定して下ることができた。水場を過ぎてすぐに見晴らし台へのコースをとる。階段のような道の途中でモダシが出ていた。夜の食卓に一回分のキノコ汁ができるほどの量であった。下りになって、三々五々、登ってくる人に出会う。歩数10000歩。所要時間2時間弱の行程。下山して北の空に雨雲が出た。