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曼珠沙華はヒガンバナとも言われるが、中国大陸からの帰化植物である。根が鱗茎でユリのようにデンプンを蓄えているが毒性である。分布しているのは、人が住む畑や田のまわり、荒地などだ。江戸時代に中国から鱗茎で持ち帰ったと考えられている。作家の富士正晴の証言がある。富士の曾祖母は昭和9年に80歳を超える年齢で亡くなっているが、曼殊沙華の鱗茎のことを覚えていて、度々語ったという。鱗茎の澱粉をよく水にさらして作った餅を、知人に貰って食べたという。なかにさらし方の足りない餅を食べて、ぎゃっと叫んで血を吐いたという話を聞いたということだ。江戸時代には、日本の各地で天候の異変のよる大飢饉に襲われている。この飢饉のさいに役立たないないか、と持ち帰ったものらしい。農業の技術が進んで、曼殊沙華の根の餅を食べずともいいようになって、その利用法は後世まで伝わらなかった。彼岸のころに咲く、赤い花として鑑賞される存在になっていった。