常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

安達太良山

2023年09月01日 | 登山
夏山シーズンは最盛期である。異常ともいえるこの夏の暑さを避けて、高い山を目指す登山家が多い。わが山友会も、今夏のメインイベントで燕岳~東鎌尾根~槍ヶ岳の4泊5日の山行中である。この晴天で、眺望良しの報告が毎日届く。会ではこのレベルの山行に参加できない人のために、低山、登りやすい山を計画している。低山グループが目指したのは、福島の安達太良山(1700m)。奥岳温泉からロープウェイを利用するコースである。ロープウエイを降りるとすぐに目につくのは、皇太子ご夫妻登頂記念の杭が打たれている。道はしっかりした木道で歩きやすい道が続いている。
山形市内の気温が38.2℃、空は雲ひとつない快晴である。安達太良山の山頂から見える空を「本当の空」と言ったのは、高村光太郎の妻智恵子である。

あどけない話

智恵子は東京に空がないといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりとけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だと言ふ。
あどけない空の話である。

東京に生まれ育った光太郎には、智恵子の「ほんとの空」の意味が深く分からなかったようだ。昭和4年には故郷、二本松の実家の酒蔵は破産する。このころから智恵子は、体調を崩すことが多くなるが、その病を癒すの故郷の空であった。年に何度も何度も空を見に、そこの空気を吸いに帰郷した。
山頂に立つと、磐梯山が見えた。頂上から見える空の色はどこまでも青く、智恵子が見たままの空に思えた


登山道は、頂上が近づくにつれて。ごろ石の傾斜道になる。案内書には初心者向きとあるが、脚の筋肉を使って2時間ほどで頂上に立った。見おろすと、爆裂火口の荒々しい姿も剥きだしになっている。参加者4名、84歳を筆頭に高齢者の山の楽しみは十分過ぎた。帰路、奥岳の湯の露天風呂で、降りてきた山を仰ぎながら汗を流してさっぱりと。やはり、山歩きと温泉は対の楽しみである。


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