![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/43/32ee25ef043f02a5028c86d56ca93fe9.jpg)
とんぶりは畑のキャビアと呼ばれ、秋田の名産になっている。昔、秋田に旅行したおり一、二度食べたことがある。口の中でプチプチとはじけるような食感が記憶に残っている。斎藤茂吉の好物で、歌にも詠んでいることは、以前このブログで書いている。紅葉のニュースにひたち海浜公園のコキアが登場する季節だが、この実がとんぶりであることは意外に知られていない。それも、この実を食べるまでに加工するのに大変な手間を要するからだ。乾燥させた実を、何度も水に浸して皮を剥いて食べられる状態にしなければならない。飢饉やお婆さんの手がなければできない根気のいる作業だ。今では機械化で、大量生産が可能で、産地の大館では通販も行っているので誰でも入手が可能である。昔はどこでも栽培したホウキ草だが、あくまでも枝先を切り揃えて箒にするのが目的で食用は考えられなかった。トチの実せよ、とんぶりにせよ山村で何とか食べられないか、という執念が可能にしたことだ。飢饉のなかを生き抜いてきた先人の知恵である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます