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初夏の花が美しい。昨日の雨が、花のうるおいをもたらしてくれているのかも知れない。城や寺の庭に咲くシャガ、香りのいいライラック、そして夏の山を彩るシャクナゲ。今年は八十八夜の前に、その美しさをあますところなく見せてくれている。
片道は歩いて春を惜しみけり 安住敦
春の味覚といえば、コゴミとワラビだ。採ったワラビの灰汁をぬいて、朝の味噌汁で味わうと、今年も元気で春を迎えられたことに感慨も深い。コゴミのゴマ和えもいい。鮮度のいいコゴミは柔らかく、春の味覚そのものだ。近所の空き地にツクシが萌えはじめた。ツクシを摘んでハカマを除き佃煮にするのも春の味覚だ。昔、関西からやってきた親戚がツクシの佃煮の作り方を教えてくれた。今は、aiの検索があるから、どんなものの作り方も自由自在だ。
俳人の安住敦の随筆の「土筆」がある。少年のころの思い出を書いたものだ。
「ツクシは丘の斜面にいくつもはえていた。まだどのツクシも青頭で、ハカマとハカマの間隔も短かった。わたしはそのツクシをつんだ。ツクシをつみながら、少年のころよく近くの野にいってツクシをつだことを思い出していた。ツクシをつんで家に帰ると、母はていねいにハカマをとって煮てくれたものだった。ツクシの頭はほろにがかった。
母が煮てくれし土筆よ蕗味噌よ 敦」
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