常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

鳥の声

2021年11月12日 | 登山
新日本の野鳥
静かな山を歩いていて、鳥の声に癒される。残念ながら、知識に乏しい身には、その声聞いても、姿を見てもその鳥を判別することは難しい。一度だけ地図学者の五百沢智也先生のご家族と、翁山の登山をご一緒したことがある。奥さまとお子さんが探鳥を趣味とされていて、鳥の鳴き声を聞く度に、あの鳴き声は何、これは何と、楽しそうに話ながら歩かれていたのを羨ましい思いで聞いたのを今も覚えている。探鳥の基本は、鳴き声の識別であることをその時に知った。YouTubeから「新日本の野鳥」を共有させていただいたので、鳥たち声を聞きながらブログの記事を読んでいただきたい。

『遠野物語』に「色々の鳥」という話がある。一番寂しい鳥の声として語られるのが「オット鳥」。夏の夜、谷底から「オットーン、オットーン」と鳴く声が聞こえてくるという。昔、長者の娘がある長者の男の子と親しくなり、いつも山へ遊びに行っていた。ある時山中で遊ぶうちに、突然男の子の姿が見えなくなってしまった。日が暮れて、夜になるまで探し歩いたが、男の子は見つからない。娘はついに鳥になって鳴きながら探し続けた。「オットーン」というのは夫のことで、鳴き声の語尾がかすれてあはれな鳴き声であるという。

馬追鳥は「アッホー、アッホー」となく。長者の奉公人が山へ馬を放しに行き、夕方になって家に帰ろうとしたがどうしても一頭の馬が足りない。夜通し探しても見つからず、この奉公人も鳥になってしまった。「アッホー」といのは馬を追う時の声である。

また昔いた姉妹の話がある。二人は芋を掘って焼いて食べるのが常であった。姉は外側の固いところを自分が食べ、柔かいおいしいところを妹に与えるの常であった。妹は姉の食べるところがおいしいのではと疑い、包丁で姉を殺して外側を食べようとした。刺した途端に姉は鳥になり、「ガンコ、ガンコ」と鳴いて飛び去った。妹は姉の心を知り、後悔にくれた鳥になり、「包丁カケタ」と鳴いたという。土地の言葉でガンコは固いところ、包丁カケタはホトトギスのことであるという。

もうすぐ山には雪が来る。雪の上で走り回るのは兎である。熊は冬眠につき、鳥たちは暖かい環境を求めて山をさる。人と山のかかわりは希薄になるが、この季節でなかれば見ることのできない絶景もある。季節の移ろいに、休みはない。

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