6月になってしまった。中学からの友だちはブログに、「これまでの人生、嫌なことよりも楽しいことの方が多かった」と書いていたが、私もそう実感する。嫌なことばかりだったら、もうとっくの昔にこの世から消えているだろう。彼との出会いは中学3年の時からで、明るく調子がよくて、すぐに女の子が好きになるのに、彼のことを悪く言う子はいないし、嫌われることもなかった。
成績もよく運動もできたが、小説や詩を好み、私の知らない作家をよく知っていた。中学3年のクラスにはいつも学年で上位の女の子がいて、私が「一度も勝てなかった」と言うと、彼は「オレはあの子より上の時があった」と言う。彼女よりもいい成績が取れるなんて凄いじゃーないかと感心した。
人生はいろいろ、彼は私の知らない苦労をし、私も彼が知らない苦労をしたと思う。それでもその時は、苦労などと思ったことは無かった。自分が何になりたいとか、何が出来るとか、考えたことも無いうちに歳を重ねてきた。振り返れば転機だったと思う時がいくつかある。悩んだ末に決断したというより、成り行きだったとしか思えない。
彼が隣町の学校から転校してきたいきさつや、学年で1番を取り続けていた女の子に引き合わされた時のこともブログに書いていた。私が通った小学校ではない、新しい小学校から来た子たちはみんな成績がよかった。中でもその子は小柄で目がぱっちりしていて、中学だけでなく高校もトップだった。私は一度も同じクラスになったことがなく、話したことは一度しかなかった。
彼女は「東大へ」と言われていたのに、お茶の水女子大へ進んだ。「結婚して多治見に住んでいる」と、彼女のことが好きだった友だちが教えてくれた。成績は常に学年のトップだったのに、「継母だった」と聞く。小柄な身体なのに、マラソンは毎回トップだったから、根性のある子だったと思う。今はどんな老後を過ごしているのだろうか、友だちのブログで彼女のことを思い出した。