友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

病院の待合いで

2019年06月23日 17時23分21秒 | Weblog

 日赤病院での定期検診の時だった。呼び出しがあるまで、診察室前の廊下に置かれた長椅子で30分は待つことになる。以前は文庫本を持って行ったが、最近は目がよく見えないのでただ座っていることが多い。ぼんやり座っていたからか、隣の男性から声をかけられた。長いこと通って来ているが、隣の人と話すことは初めてだった。

 「オタクもペースメーカのチェックですか?」と聞かれた。「はい、そうです」と答えると、「ペースメーカは何年持つんですかね。先生から何か言われないかと心配で、心配で」と言うので、ペースメーカ手帳を見せて「私は手術を受けて7年になりますが、一度も何も言われたことがありません。ここの先生は患者に声をかけてくれません」と話す。

 私の愚痴が幸いしたのか隣の男性は饒舌になり、「何にも言ってくれんもんだから余計、心配なんですよ」と言い、「手帳の字が見えるんですか?」と聞く。「ええ、メガネを取れば読めますが、右目はボケています。眼科の先生は白内障の兆しはあるが様子をみましょうと言うので、そのままにしています」と話すと、「それがいい。私は緑内障の手術を受けたけど、うまくいかなくて2度もしたんです。目にゴミが入っているような違和感があって、今も病院に通っているけど、ダメですね」と言う。

 廊下で大きな声で話すのは迷惑になると思ったが、隣の男性はさらに話続けた。「私を何歳だと思われる?」と訊くので、「80歳くらいですか」と答えると、「来年で90歳になります。今、ひとりで暮らしてますが、どこか施設に入らんといかんと探しているけど、あんまり多すぎてどこが良いのか分かりません」と言う。「お子さんは?」と聞くと、「近くにはいますが、嫁に行ったので世話にはなれんですよ」と言う。

 「それでも娘さんたちが見舞に気やすい、近いところがいいでしょうね。施設に入るにはいくらかかりますか?」と訊くと、「ピンからキリまでありますが、20万円台が適当でしょう。それなら年金でやっていけますから」と答えてくれた。隣の男性が呼び出されて先に診察室へ入って行く。ふたりとも半年後の12月20日午後3時が次の診察日だった。この日の若い担当医は、「具合はいかがですか?」と訊いてくれた。

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