今朝から台風のような強い風が吹いている。朝のうちは曇っていたが、午後からは青空が広がり日差しがまぶしいくらいだ。けれども、風は相変わらず吹き荒れていて、ルーフバルコニーのバラが大きく揺れている。根付いてきたサルビアが強風に煽られ、千切れそうだ。朝見た時、デイゴの赤い花がたくさん落下していたのに、風に飛ばされて、今はもうどこにも見当たらない。
今日は学校の廃品回収が予定されていた。昨日の夕方、外から帰って来たカミさんに、「中止の貼り紙が出ていなかった?」と尋ねると、「新聞、雑誌、ボロ布の場所を示す貼り紙が出ていたから、やるのよ。さあー、持って行くわよ」とハッパをかけられた。「私が会長なら中止にするのになー」と呟くと、「今の若い人は、明日の天気もスマホで分かるから、大丈夫なのよ」と、時代遅れねと言わんばかりの口調で言う。
カミさんの予想通り、今朝、学校の運動場にはたくさんの車が集結していた。運動場はそれほどの強風ではないのか、子どもたちも出てきて、楽しそうに回収の手伝いをしていた。中学何年の時だったのか覚えていないが、学校で廃品回収をしたことがある。教室に山のように積まれた雑誌を整理していると、「大人の雑誌」が何冊も出て来た。目ざとく見つけた友だちがサッと隠し、彼の家でみんなで回し読みした。
あの頃は自動車が無かったから、みんなでリヤカーを引いて集めて回った。その時はそんな「大人の雑誌」が出されているとは気が付かなかったが、学校へ戻って作業していた時だったから、目の利く奴だったことを今になって思い出す。しかも、先生に見つからないように手早く隠して持ち帰るスゴ技だった。女性の裸の写真に見とれていると、彼は「もっとすごいのがある」と言う。
彼の父親が同好の人たちと作っているというガリ刷りの冊子だった。「禁断の書」を見てしまい、興奮と恐怖が入り混じった。教師になった時、先輩から野坂昭如編集の雑誌『面白半分』をもらった。話題になっていた「四畳半襖の下張」が掲載されていたが、文語調でなかなか読めなかった。いつか読んでみようと思って雑誌はとってあるが、今、開いてもまだスラスラと読めない。友だちのお父さんたちが作っていた冊子はどんなものだったのだろう。今日は「父の日」。