書き損じや住所不明で戻って来た年賀状を引き出しの奥に保管していた。ある時、卒業生から「先生の年賀状、全部見たい」と言われて、残っているハガキをパネル貼りして展示しようと思った。そう思っていたのに、ちょっとした集まりで、知人が作った冊子を見せてもらい、ハガキを冊子してみようと気が変わった。
彼の冊子を制作した名芸大の卒業生に、ハガキを見せて冊子にまとめてくれるように頼み、年内を目標に取り組んでもらっている。今日は雨の中、その打ち合わせに来てもらった。若い彼女と話すのは楽しいから、ついつい余分な話をしてしまう。『あいちトリエンナーレ』を見てきた話や映画『蜂蜜と遠雷』の感想など、彼女のためになるだろうと思って話した。
彼女もまた、私の孫くらいの年代だから、「話題になるものが違う」と興味を持って聞いてくれた。先月、彼女は東京で開かれていた『ジュリアン・オピー』展を観に行ったので、その時のチラシを持って来て、作品の感想などを話してくれた。私は「ジュリアン・オピー」という作家を知らなかったが、今、世界的に活躍している作家で、日本の浮世絵のコレクターでもある。
チラシの作品を見ると線と面だけで出来ているようだから、印象派が受け止めた日本よりもやはり現代的な受け止めのようだ。私が勤めた工業高校の卒業生で、イラストレーターとして大活躍している三浦均さんの作品を見せる。映画『蜜蜂と遠雷』を引用して、「どんな天才も続けていなければ天才になれない」と話す。先生を辞めて半世紀近くなるのに、先生根性が抜けないようだ。