NHKも民放も「即位礼」に終始していた。「即位礼正殿の儀」の前には、皇室の先祖と言われている天照大神に報告する「賢所大前の儀」が行われた。これは皇室行事ということで、入室されるところしか報道されなかったが、天皇と皇后は白い装束を身につけられていた。迂闊にも皇居内に神社があったことを知る。
「即位礼正殿の儀」は皇居の松の間で行われ、国内外から招かれた2千人が見守る中で、天皇は高御座にそして皇后は御帳台に着かれ、とばりが侍従と女官によって開けられて始まった。天皇が即位を宣明するお言葉を述べられ、安倍首相がお祝いの「寿詞」を読み上げた。
古式にのっとり厳粛に行われる儀式、日本は天皇を戴く国であると実感した。天皇家の血は絶えたことが無いとかあるとかは、どうでもいい気がする。天皇が力を持った時期は僅かで、常に象徴として利用されてきた。天皇を無くしてしまうことより、利用することの方が為政者には都合がよかったのだ。そこが日本人の気質か知恵なのだろう。
遥かに高い高御座の天皇を仰いで「寿詞」を読み上げ、最後に「バンザイ」を叫ぶ安倍首相を見て、「臣下として敬愛の気持ちを持っているんだろうか」などと誠に不敬なことを思ってしまった。皆がそれぞれに、日本の国民として、天皇のお言葉にあるように、「我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与すること」に邁進すればよいのだと思う。
「即位礼正殿の儀」は成人の皇族しか参列できないようで、愛子さんも秋篠宮の長男も姿が無かった。伝統行事を継承するためにも、子どもたちも参列させて欲しい。2千年を超す皇室の伝統と言うけれど、伝統はどこかで必ず修正されているし、そうでなければ受け継がれていけないだろう。それでいいのだと私は思う。