全米オープン女子シングルス決勝で、第20シードの大坂なおみが優勝した。まさか日本人がテニス(やゴルフ)の四大タイトルを獲れるとは正直なところ思っていなかった。しかも錦織圭(や松山英樹)ではなかったから、驚いた。以前なら弱冠二十歳と言うべきところ、最近は若い人が臆することなく活躍する時代なので、以前ほどの違和感はないが、36歳の対戦相手セリーナ・ウィリアムズと並べてみれば、初々しさが際立つ。
何しろ相手はテニス界のWTAツアーでシングルス72勝、ダブルス23勝を挙げ、男女を通じてシングルス・ダブルスともにキャリア・ゴールデンスラム(=四大大会制覇+五輪金)を達成した唯一の選手であり、生涯獲得賞金が8千万ドルを超えるという点では全ての女子プロスポーツ選手の頂点に立つ、絶対女王である。彼女(大坂なおみ)にとっては物心ついた頃からの憧れの選手であり、地元(彼女にとって育った地ではあるが、アウェイ)の四大大会の一つで決勝で対戦するとは夢見心地だったことだろう。
しかし、なかなか厳しい試合だったようだ。朝日新聞デジタルは次のように伝えている。
(引用)ウィリアムズが、審判に対して抗議を続けるなどし、ポイントやゲームを失った(注:審判に抗議して警告を受け、苛立ってラケットをコートに叩きつけて破壊して二度目の警告を受け、納得が行かないばかりにゲームの合間にも抗議して三度目の警告を受け、大坂に1ゲームが与えられるという、決勝という厳粛な試合にしては珍しく荒れた)。後味の悪さが残る形で決着がつき、満員のスタジアムは異様な雰囲気に包まれた。その重圧は相当なものだったのだろう(注:産経新聞デジタルは端的に「表彰式が始まると、S・ウィリアムズの出産後初の全米制覇を期待していた客席からブーイングが起こった」と伝えた)。
大坂は(注:わざわざ「ちょっと質問じゃないことを語ります」と断った上で)「みんなが彼女(セリーナ)を応援していたのは知っています。こんな終わり方ですみません。ただ、試合を見てくださってありがとうございます」と声を詰まらせた。幼い頃に過ごした街・ニューヨークで、あこがれの元世界女王への敬意も忘れなかった。「セリーナと全米決勝で対戦できてうれしい。プレーしてくれてありがとう」と涙ぐんだ(注:このときセリーナにお辞儀した)。(引用おわり)
最近、齢のせいか涙もろくなって、TVのニュース映像やウェブ記事を読んで、何度も涙ぐんでしまった(苦笑)。
全米オープンの観客の反応には、アメリカ人ではなく、日本人であり、またハイチ共和国人でもあるという、その出生が影響しているようにも見受けられるのは、アメリカの地でアメリカ人に囲まれれば、ある程度は仕方ない。問題は日本人である私たちの方だ。
日本人の活躍と言いながら、ダルビッシュやオコエ瑠偉、ウルフ・アロンやベイカー茉秋、ケンブリッジ飛鳥やサニブラウン、中村優花など、最近はハーフの活躍も目立つ(渡嘉敷来夢のようなクォーターもいる)。ハーフやクォーターはまだいい方で、血が入らないと余計ややこしくなる。移民の国とは露にも思わない純血主義が根強い日本人には、法律はそれとして、感情的に日本人と認められるかと言うとそれほど簡単なことではなさそうだ。例えば最近、トルコ系移民問題に揺れるドイツで、W杯ドイツ代表のメスト・エジル選手が代表引退を発表した。本人は生まれも育ちもドイツながら、トルコ系移民の両親をもつ三世で、試合前にコーランを唱えたり、トルコを訪問した際にエルドアン大統領に謁見したりして、ドイツ国内で批判の声があがり、W杯予選敗退すると戦犯のような扱いを受けたことが記憶に新しい。彼が残した言葉、「勝った時にはドイツ人、負けた時にはトルコ人と言われる」とは、哀しい。
私がオーストラリアに駐在したときのビザ申請では、入国にあたってオーストラリアという国に忠誠を誓わされたことを思い出す。短期滞在ですらそういう次第だから、国籍となると、ますます重い。その意味では純血日本人の中にも日本人らしくない人が一杯いることになりはしないだろうか(笑) その点、彼女の180センチ、69キロの恵まれた体格は、日本人離れしているし、3歳のときに生まれ故郷の大阪を離れて、日本語もたどたどしいが、シャイなところ(日本語で言えば謙虚で奥床しくさえあるところ)や、先ほどの引用文中に補足注記したようにお辞儀するなんぞは、どう見ても日本人だ。
試合後、今一番したいことを聞かれて、日本語で「抹茶アイスクリーム食べたい!」と答えたらしい。Wikipediaのプレースタイルには、「豪快でパワー溢れるグラウンドストロークを持ち味とし、両サイドからウィナーを打つことが出来る。パワフルなフォアハンドが武器だが、脚を踏ん張り、一度の強打で形勢を逆転できるバックハンドも得意」とあって、その通りと思うが、インタビューで見せる舌足らずなところや天真爛漫な子供っぽいところとの落差がとてもチャーミングだ。弱冠二十歳とは死語かも知れないが、今後の活躍に大いに期待したい。
何しろ相手はテニス界のWTAツアーでシングルス72勝、ダブルス23勝を挙げ、男女を通じてシングルス・ダブルスともにキャリア・ゴールデンスラム(=四大大会制覇+五輪金)を達成した唯一の選手であり、生涯獲得賞金が8千万ドルを超えるという点では全ての女子プロスポーツ選手の頂点に立つ、絶対女王である。彼女(大坂なおみ)にとっては物心ついた頃からの憧れの選手であり、地元(彼女にとって育った地ではあるが、アウェイ)の四大大会の一つで決勝で対戦するとは夢見心地だったことだろう。
しかし、なかなか厳しい試合だったようだ。朝日新聞デジタルは次のように伝えている。
(引用)ウィリアムズが、審判に対して抗議を続けるなどし、ポイントやゲームを失った(注:審判に抗議して警告を受け、苛立ってラケットをコートに叩きつけて破壊して二度目の警告を受け、納得が行かないばかりにゲームの合間にも抗議して三度目の警告を受け、大坂に1ゲームが与えられるという、決勝という厳粛な試合にしては珍しく荒れた)。後味の悪さが残る形で決着がつき、満員のスタジアムは異様な雰囲気に包まれた。その重圧は相当なものだったのだろう(注:産経新聞デジタルは端的に「表彰式が始まると、S・ウィリアムズの出産後初の全米制覇を期待していた客席からブーイングが起こった」と伝えた)。
大坂は(注:わざわざ「ちょっと質問じゃないことを語ります」と断った上で)「みんなが彼女(セリーナ)を応援していたのは知っています。こんな終わり方ですみません。ただ、試合を見てくださってありがとうございます」と声を詰まらせた。幼い頃に過ごした街・ニューヨークで、あこがれの元世界女王への敬意も忘れなかった。「セリーナと全米決勝で対戦できてうれしい。プレーしてくれてありがとう」と涙ぐんだ(注:このときセリーナにお辞儀した)。(引用おわり)
最近、齢のせいか涙もろくなって、TVのニュース映像やウェブ記事を読んで、何度も涙ぐんでしまった(苦笑)。
全米オープンの観客の反応には、アメリカ人ではなく、日本人であり、またハイチ共和国人でもあるという、その出生が影響しているようにも見受けられるのは、アメリカの地でアメリカ人に囲まれれば、ある程度は仕方ない。問題は日本人である私たちの方だ。
日本人の活躍と言いながら、ダルビッシュやオコエ瑠偉、ウルフ・アロンやベイカー茉秋、ケンブリッジ飛鳥やサニブラウン、中村優花など、最近はハーフの活躍も目立つ(渡嘉敷来夢のようなクォーターもいる)。ハーフやクォーターはまだいい方で、血が入らないと余計ややこしくなる。移民の国とは露にも思わない純血主義が根強い日本人には、法律はそれとして、感情的に日本人と認められるかと言うとそれほど簡単なことではなさそうだ。例えば最近、トルコ系移民問題に揺れるドイツで、W杯ドイツ代表のメスト・エジル選手が代表引退を発表した。本人は生まれも育ちもドイツながら、トルコ系移民の両親をもつ三世で、試合前にコーランを唱えたり、トルコを訪問した際にエルドアン大統領に謁見したりして、ドイツ国内で批判の声があがり、W杯予選敗退すると戦犯のような扱いを受けたことが記憶に新しい。彼が残した言葉、「勝った時にはドイツ人、負けた時にはトルコ人と言われる」とは、哀しい。
私がオーストラリアに駐在したときのビザ申請では、入国にあたってオーストラリアという国に忠誠を誓わされたことを思い出す。短期滞在ですらそういう次第だから、国籍となると、ますます重い。その意味では純血日本人の中にも日本人らしくない人が一杯いることになりはしないだろうか(笑) その点、彼女の180センチ、69キロの恵まれた体格は、日本人離れしているし、3歳のときに生まれ故郷の大阪を離れて、日本語もたどたどしいが、シャイなところ(日本語で言えば謙虚で奥床しくさえあるところ)や、先ほどの引用文中に補足注記したようにお辞儀するなんぞは、どう見ても日本人だ。
試合後、今一番したいことを聞かれて、日本語で「抹茶アイスクリーム食べたい!」と答えたらしい。Wikipediaのプレースタイルには、「豪快でパワー溢れるグラウンドストロークを持ち味とし、両サイドからウィナーを打つことが出来る。パワフルなフォアハンドが武器だが、脚を踏ん張り、一度の強打で形勢を逆転できるバックハンドも得意」とあって、その通りと思うが、インタビューで見せる舌足らずなところや天真爛漫な子供っぽいところとの落差がとてもチャーミングだ。弱冠二十歳とは死語かも知れないが、今後の活躍に大いに期待したい。