風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

アジア紀行(下)マニラ

2016-09-01 23:25:26 | 永遠の旅人
 一昨日に続き、今宵はマニラ編である。
 フィリピンでは、小一時間のプレゼンを行ったのだが、失言をしてしまった。何かの拍子に、「南シナ海South China Sea」と発言すると、すかさず会議室の奥から「フィリピン海Philippine Sea」と訂正を求める声が飛んだ。えっ、ゴメンね、と謝りながら、確かにそういうこともあるかも知れないと自らを納得させ、その場はやり過ごしたのだが、後で調べてみると、正確にはフィリピンでは「南シナ海」のことを「西フィリピン海」または「ルソン海」と呼ぶようだ。「フィリピン海」とは太平洋の付属海で、日本、台湾、フィリピン、ミクロネシアに囲まれた海域のことを言うようだ。とまれ、主権にかかわる問題が論理を超えるのは何処も同じだ。因みに、フィリピン同様に中国との間で領域問題を抱えるベトナムでは、「南シナ海」のことを「東海」と呼ぶようだ(そう言えば韓国も「日本海」のことを「東海」と呼ぶ)。フィリピンにしてもベトナムにしても、地理的に、自分たちにとって明瞭に議論なきよう簡潔に、表現している。
 マニラを訪れたのはここ数年内に三度目だったが、地元フィリピン料理になかなかありつけない。今回も、昼はイタリアン、夜は和食居酒屋だった。
 今回の出張は、またしても在シンガポールのアジア大洋州地域統括会社に駐在している日本人とずっと一緒で、土曜日朝、ホテルが呼んでくれたタクシーに乗って、空港にも一緒に向かった。乗る前にタクシーのメーターを作動させたのだが、陽気なフィリピン人運転手は、「二人の目的地が違うのでターミナルも違う、だから料金は高くなる」などとワケの分からないことを言い出し、「500ペソくれ~」と吹っかけてきた。吹っかけると言っても、数百円程度のことだから目くじらを立てる話ではない。アジアには古くから対面相場なるものがあって、金持ちは貧乏人より多く払うものだとも聞いている。しかし、こうした話に安易に乗ると、自分一人にとどまらず、今後ずっと日本人旅行客は(値段の多寡にかかわらず)吹っかけられ続けることになりかねないので、「何が変わるものか、メーターに従って払うだけだ」と突っぱねた。昼日中でもあり、男二人だったからでもあるが、変なことをされても困るので、「しかし快適に感じたら、ちょっと大目に払ってもいい」と言い添えるのを忘れなかった。そして後部座席に座りながら、日本人駐在員と、単に「陽気なフィリピ―ノ」だといいけど、「ちょっと壊れたヤツ」だったらコワイねえ・・・なんて話をしていた。それが、駐在員が先に降りて、車内に一人とり残されて、現実のものとなる。そこからタクシーは空港を出てしまうではないか。一瞬、不安が募り、焦る。「どこに行こうとしてる?」「第一ターミナルだろ~。迷子になったか~!?」 相変わらず陽気にまくしたてる。気に障るヤツだ。その内、標識に従い再び空港に入るのを目で追って、杞憂だったことにホッとする。「お前が500ペソくれるから、朝飯でも食いに行こうかな~」 相変わらず陽気だがしつこい。メーターは159ペソを表示していたので200払って釣り銭は受け取らなかった。夜だったら、とても強気になれない。東南アジアの油断ならないところだ(因みにマニラに到着したのは木曜夜9時で、ホテル・リムジンに1600ペソ払わされた)。
コメント
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