「平家花ぞろへ」より、平重衡を花にたとえている文章を抜き出します。(「室町時代物語集成12」角川書店)
重衡は、千手の前との恋話が好き。
我から、世のおぼえ、ことに思ひのままにうちほこり、入道殿にも又二位殿にもおぼえの子にてものし給へる。
あかぬことなきを、ことさら人のため思ひやり深く、こころざま懐かしくなさけしくもてなし、見目(みめ)も例の一もとゆかりにや、いとよくて、うち笑ひたまへるなどこそ、ことに見まくほしけれ。
ぼたんの花の、におひおほく咲きみだれたる、朝ぼらけに初ほととぎすの一こゑおとづれたるほどとや聞こえむ。